執筆者 | 坂下 史幸(東京大学)/角谷 和彦(研究員(政策エコノミスト))/井上 俊克(一橋大学)/橋本 由紀(研究員(政策エコノミスト)) |
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発行日/NO. | 2022年5月 22-P-009 |
研究プロジェクト | 総合的EBPM研究 |
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概要
本稿では、平成27年度ものづくり補助金を事例として、補助金政策を効果検証する際の注意点を指摘する。分析には、ものづくり補助金の執行団体から提供された申請事業者リストを用いる。補助金政策の効果検証では、合否の境界にある評価点の採択事業者と不採択事業者を比較する回帰不連続デザイン等の因果推論の方法を用いることが多い。その際、今期の不採択事業者が同補助金の将来の公募に採択され得る点を考慮しなければ、補助金の効果を過少に推定してしまう可能性がある。本稿では、平成27年度1次公募で合否の境界にあった不採択事業者は、同様の採択事業者よりも将来の公募で採択される確率が高かったことを示す。この結果は、研究者に対して効果検証上の注意喚起をするものである。最後に、考えられる対処法をいくつか提示する。