執筆者 | 岩本 晃一 (上席研究員(特任)) |
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発行日/NO. | 2020年3月 20-P-009 |
研究プロジェクト | 人工知能のマクロ・ミクロ経済動態に与える影響と諸課題への対応の分析 |
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概要
「AIが日本の雇用に与える影響」に関しては、広範なテーマが存在する。それらを全て書き下すと大変な量になるため、本稿では、PDPであることも踏まえ、「将来予測」と「政策提言」の2点に絞って記述することとした。これまで世界中から数多くの推計値が発表されたが、それらは、「雇用構造」「雇用者の総数」「減少する雇用者数」を推計するもの、など大まかに3つに分類される。本稿では、これまで世界で発表された推計値を紹介し、それに基づき、日本における①雇用構造の将来予測(女性への影響の将来予測、Routine Cognitive の将来予測を含む)、②減少する雇用数の将来予測、③雇用総数の将来予測、の3点に絞って記述した。
今後の対応に関する政策提言としては、①経済格差の事後対策としての富の再配分の議論、②経済格差の事前対策としての人材育成・雇用対策の議論、を記述した。後者については、i)中長期的課題としての第四次産業革命のデジタル時代を生き抜く人材の育成、ii)失われる雇用に対する当面の課題としての誰が再就職/円滑な労働移動を担うのか、について記述した。
最後に、注釈ではあるが、筆者が2019年11月、ドイツの各所を訪問し、「The Future of Work ; 雇用の未来」に関する3人の専門家との意見交換の主要点を紹介している。論文だけではわからない内容があり、非常に興味深い。