消費税率引き上げ対策と消費者行動:個人サーベイによる分析

執筆者 森川 正之 (副所長)
発行日/NO. 2020年3月  20-P-008
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概要

本稿は、2019年の消費税率引き上げとこれに付随して行われた各種の対策への消費者の反応について、個人を対象としたサーベイに基づく観察事実を提示する。その結果によれば、第一に、消費税率の引き上げに伴って実質消費を減少させた人が多く、標準的な理論的予想と整合的である。第二に、軽減税率の導入、キャッシュレス決済への還元制度について、消費者は総じて肯定的に評価しているが、所得水準によって違いがある。第三に、キャッシュレス決済を始めた又は増やした人は4割以上にのぼる。第四に、軽減税率の導入に伴う外食サービスから家計内サービス生産への代替はほとんど見られない。