新興国における知識生産活動とグローバルネットワーク

執筆者 飯野 隆史 (新潟大学)/占部 寿美子 (経済産業省)/齊藤 有希子 (上席研究員)/山内 勇 (リサーチアソシエイト)
発行日/NO. 2019年5月  19-P-009
研究プロジェクト 組織間のネットワークダイナミクスと企業のライフサイクル
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概要

企業がグローバル展開をする際、自らの技術を守るため、進出先の国で特許出願を行うと考えられる。輸出やFDIによるグローバル展開は、進出先での特許出願にどのように関係しているのか、特に新興国への海外展開に着目し、その後の現地企業の知識生産活動との関係性について分析を行った。分析の結果、新興国における特許出願の構成として、発展の初期段階においては、海外からの先進国企業の出願割合が高いが、発展に伴い国内企業の出願割合が高まっていくことが確認された。また、2000年以降の外国特許出願傾向と輸出およびFDIの傾向を比較すると、外国出願傾向と輸出との相関は減少傾向にあり、FDIとの相関が上昇傾向にある。このことは近年FDIを通じた先進国からの技術波及が、新興国の知識生産活動を活発にし、その発展を促すことを示唆している。