執筆者 | 近藤 恵介 (上席研究員) |
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発行日/NO. | 2019年4月 19-P-006 |
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備考 |
初版:2019年4月 |
概要
本研究は、移住支援金政策を事前評価するための簡易的な分析枠組みを提案する。2014年度より議論が始まった地方創生では、東京一極集中の是正に向けて地方への移住促進を政策的に進めている。2019年度から移住支援金事業が実施されているが、移住支援金の金額をどのように決めたらいいのか、現在の金額でどれほどの政策効果があるのかについてまだ十分議論できていないのが現状である。本研究で提案する事前評価の枠組みでは、移住を投資行動として捉え、投資回収に必要な居住期間の観点から政策議論を深める。移住後に毎期発生する便益の累積和が移住費用を超える時点が投資回収に必要な居住期間となり、それ以降から居住から移住の純便益が正となる。移住支援金は、この投資回収に必要な居住期間を短くすることで、地方移住へのインセンティブを高めることにつながると解釈する。政策の事前評価の具体例として、新型コロナウイルス感染症以降、「転職なき移住」が移住支援金の対象となった効果を反実仮想シミュレーションに基づいて検証する。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:22-P-031