働き方改革と女性活躍支援における課題―人事経済学の視点から

執筆者 大湾 秀雄 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2017年3月  17-P-006
研究プロジェクト 企業内人的資源配分メカニズムの経済分析―人事データを用いたインサイダーエコノメトリクス―
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概要

本稿において、まず日本企業の人材育成、管理職登用に見られる男女格差を概観する。続いて、雇用均等推進策、女性の継続就業支援策、非正規労働待遇改善策、働き方改革の4つの政策とその影響の間にどのような関係があるか、簡単なゲーム理論を用いて解説を行う。その上で、働き方改革や女性の活躍支援策を進める上で、どのような点に配慮しなければいけないか、人事経済学の視点からいくつかの課題を提示する。具体的には、(1)長時間労働や転勤に対するリターンが高いこと、(2)性別職域分離が存在すること、(3)女性への業務配分や能力評価にバイアスが存在しうること、(4)働き方の柔軟性および管理職からの支援が不足していること、(5)遅い昇進が出産に対するペナルティを引き起こしていること、などが男女格差を助長している可能性を指摘する。