多様化する正規・非正規労働者の就業行動と意識-RIETI Webアンケート調査の概要

執筆者 久米 功一  (リクルートワークス研究所) /大竹 文雄  (大阪大学) /鶴 光太郎  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2014年3月  14-P-003
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

人々の働き方や嗜好が多様化する中で、従来の正規・非正規の雇用形態の区分だけでは、政策的に十分に対応しきれない事象が起きている。この現状に鑑みて、本稿では、多様な就業行動や意識、法改正に対する賛否を明らかにするために実施された(独)経済産業研究所のWebアンケート調査の結果を概観して、その政策的なインプリケーションを議論した。具体的には、雇用形態と就業実態、スキル、限定正社員、雇用不安定や転勤・異動の補償賃金プレミアム、労働契約法や派遣法改正の賛否、解雇の金銭補償、税・社会保障に対する考え方をまとめた。その結果、雇用形態の区分以上に、実際の働き方や労働者の嗜好が多様であることがわかった。法改正に対して賛否を明確に表明できる人は多くなく、解雇の金銭補償額に関する仮想的質問への回答にもばらつきがみられた。これらの結果は、多様で複雑な雇用問題に対しては、多様化する働き方や意識の実態を踏まえて、法改正の影響に対する合意と納得感を得ながら政策的に対応することが望ましいことを示唆している。