執筆者 | 森川 正之 (理事・副所長) |
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発行日/NO. | 2012年5月 12-P-010 |
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概要
本稿は、日本企業を対象に行った調査結果に基づき、東日本大震災の企業への影響と対応、今後の経済成長のための政策課題について概観するものである。サプライチェーン問題の影響を受けた企業は多く、日本企業の過半数が国内での調達先の分散を中心に対応を講じ始めている。また、多数の企業が計画停電・電力使用制限等の影響を直接・間接に受けた。電力供給不足が生じた際の対応策として、価格メカニズムを用いることへの企業の支持は少ないが、調査結果は、電力需給逼迫時の価格引き上げが企業の電力需要を抑制する上でかなりの効果を持つ可能性も示唆している。日本経済の成長力を高めるために重要な政策としては、「政府財政の安定化」、「法人税率の引き下げ」、「電力の安定供給確保」、「社会保険料の企業負担抑制」が約4割を超える選択となっている。復興のための財政支出が増加する中でも財政の健全性への懸念が強いこと、社会保険料負担が企業経営にとって大きな影響を及ぼすことを示している。