執筆者 | 植杉 威一郎 (ファカルティフェロー) /内田 浩史 (神戸大学) /内野 泰助 (研究員) /小野 有人 (みずほ総合研究所)/間 真実 (一橋大学)/細野 薫 (学習院大学)/宮川 大介 (日本政策投資銀行) |
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発行日/NO. | 2012年1月 12-P-001 |
研究プロジェクト | 効率的な企業金融・企業間ネットワークのあり方を考える研究会 |
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概要
本稿は、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の被災地において企業が受けた被害と回復の過程について分析するとともに、東日本大震災への含意を整理する。最大で約9万社の個別企業データを用い、震災が企業の存続と倒産に与えた影響、震災が企業移転に与えた影響、震災後の被災企業による復旧・復興のための設備投資に関する3つの分析を行う。主な分析結果は以下の通りである。第1に、被災地金融機関と取引関係にあった被災地企業において、震災後の倒産確率が有意に上昇する。第2に、被災地では産業集積の進んでいた地域に立地していた企業ほど移転率が高まるが、半数近くの企業の移転距離は1kmに満たない。第3に、被災地金融機関と取引関係があった被災地企業では、設備投資の増加幅が抑制されている。