フィジカルインターネットの実現に向けて~物流危機の克服のために~

開催日 2022年5月11日
スピーカー・パネリスト 中野 剛志(経済産業省商務・サービスグループ物流企画室長)
パネリスト 小野塚 征志(株式会社ローランド・ベルガー パートナー)
パネリスト 堀尾 仁(味の素株式会社上席理事 食品事業本部物流企画部長)
パネリスト 平澤 崇裕(国土交通省総合政策局物流政策課長)
モデレータ 佐分利 応貴(RIETI国際・広報ディレクター / 経済産業省大臣官房参事)
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開催案内/講演概要

近年の日本の物流業界は、Eコマースの需要拡大に伴う配達量の増大や人手不足、さらには2024年度から始まるトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制により、これまで運べていたものが運べなくなるという物流危機(物流の2024年問題)に直面している。そうした中、デジタルを活用した次世代の革新的な物流システム「フィジカルインターネット」が注目を集めている。本セミナーでは経済産業省の中野剛志物流企画室長が、2022年3月に策定された「フィジカルインターネット・ロードマップ」について解説するとともに、ローランド・ベルガーの小野塚征志氏、味の素の堀尾仁氏、国土交通省の平澤崇裕物流政策課長を交えて、物流危機の克服に向けたポイントについて議論した。

議事録

わが国に迫る物流クライシス

中野:
素人は『戦略』を語り、プロは『ロジスティクス』を語る – これは第二次世界大戦の米国の将軍だったオマール・N・ブラッドレーの言葉です。ロシアのウクライナ侵攻もそうですが、ロジスティクス、これは軍事用語で兵站、後方支援という意味で、民生でいえば物流ですが、この物流が今産業にとって決定的に重要になっています。

このため、われわれ経済産業省と国土交通省は、次世代の革新的な物流システム(フィジカルインターネット)を実現するべく、「フィジカルインターネット実現会議」を2021年10月から6回開催し、2022年3月にロードマップを公表しました。

フィジカルインターネットのロードマップは、欧州において、産業団体が2020年に出したものがありますが、政府レベルで出したのはおそらく世界初です。日本のロードマップは、欧州のフィジカルインターネット・ロードマップの作成に携わった人にも知られており、彼らから「自分たちのものより出来がいいのではないか」と褒められています。

次世代の物流システムが必要なのは、物流コストのインフレが起こっているためです。物流コストは1980年代の後半にバブルで上昇し、その後ずっと下がり、道路貨物輸送サービスの価格は2010年代後半に過去最高となりました。特に宅配便の上がり方が異常です。売上高に占める物流コストの比率も2012年以降上昇しています。今は足元では、6%近くになっています。一方、2010年代以降、トラックドライバーの年収は伸び悩み、全産業平均を下回っています。トラックドライバーが稼げていないのに物流コストが上がっているのは異常な事態です。既存の物流システムが時代にそぐわなくなってきているということかと思います。

物流コストのインフレの原因は需要サイドと供給サイドにあります。

需要サイドから見ると、ネット通販(Eコマース)の拡大に加え、多品種・小ロット輸送の増加でトラックの積載効率が低下しています。供給サイドから見ると、労働環境の悪化でドライバーの人手不足が深刻となっています。平均年齢は、全産業平均よりも高くなっており、大型のトラックドライバーの平均年齢は、50歳近くになっています。

このままいくと、2030年には物流需要の約36%が運べなくなるという試算もあります。

そこで、トラックドライバーの労働環境を改善するため、働き方改革が行われ、2024年度からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることになりました。しかし、労働時間だけ制限されれば運べる量が減るのは決まっており、物流コストのさらなる上昇が危惧されます。これは「物流の2024年問題」といわれており、物流関係者が恐れています。加えて脱炭素もやらなければいけませんが、これも他の条件が同じのまま、脱炭素だけ推し進めると、もっと運べなくなります。

フィジカルインターネット実現会議では、2030年に最大10.2兆円の経済損失が生じるとの試算も出されました。物流の制約によって、いくらがんばっても経済が成長しなくなることもあり得るのです。そうすると、物流が競争力の源泉になるはずですが、日本企業は、ロジスティックスやサプライチェーンをあまり重視しない傾向があります。 ガートナー社がサプライチェーンを牽引するグローバル企業TOP25を発表していますが、ここにわが国の企業は入っていません。

物流クライシスに立ち向かうために

物流コストを抑制するため、2000年代までは物流事業者の競争を激化させ、運賃を圧縮していましたが、ドライバーの減少を招き、かえって物流コストが上がってしまいました。ドライバーを確保するためには運賃を上げ、労働環境を改善しないといけないのですが、それではコストが上がるので、コストに占める非運賃の部分を生産性向上で圧縮しなければなりません。

ここからのインプリケーションは2つあります。

1つは、非効率性のところを効率化するとなると、もはや、物流事業者だけの問題ではなく、むしろ荷主側の問題です。荷主の発注の仕方など荷主側の改革をする必要があります。2つ目に、運賃を上げつつ物流コストを下げるということをやろうと思うと、物流システム全体を違うものに変えていかなければなりません。それはもはや、企業努力だけではどうにもならず、日本全体でやらなければなりません。そこで、フィジカルインターネットの実現が求められているわけです。

フィジカルインターネットとは、輸送容器や業務を徹底的に標準化し、物資や倉庫、車両の空き情報をデジタルの力で見える化し、シェアリングすること、すなわち究極の共同輸配送を指すものです。しかし、1社でできるものではなく、日本全体で色々なステークホルダーがやっていかなればなりません。そして、フィジカルインターネットは、SDGsの8つの目標とも非常に関係しています。

フィジカルインターネットは今日明日でどうにかできる問題ではないことから、われわれは2040年までのロードマップを作りました。

また、実現会議の下には3つのワーキンググループ(WG)があり、その1つのスーパーマーケット等WGでは2030年までのアクションプランを策定しました。また、アクションプランのうち、特に重要な4テーマ(商流・物流のコード体系の標準化、物流資材の標準化、商慣行の改善、データ共有のプラットフォーム作り)についてさらにWGを作り、2年以内に道筋を付けたいと考えています。

パネルディスカッション

物流クライシスの現状認識

佐分利:
物流クライシスの現状とその要因について、皆さんどのように認識されていますか。

堀尾:
加工食品業界としては、いわゆる2024年問題を含む物流クライシス、に加えて、「物流業界から嫌われている加工食品業界」という要素が加わります。その要因としては全業界中ワースト1の「納品先での長時間待機」、ドライバーの運転以外の「附帯作業」の多さ、厳しい「日付管理・納品期限管理」、短い「リードタイム」、納品先での棚入れ等、非効率で非合理的な「悪しき商慣行」、「小ロット多品種多頻度納品」などが挙げられます。以上のことから私たち加工食品業界としては、ものが運べなくなる危機が目の前に迫っている、ととらえています。

小野塚:
コンサルの立場から俯瞰すると、人手不足はより厳しくなっていくと思いますが、フィジカルインターネットは足元の物流クライシスを対症療法で治すためのものではありません。

そもそも日本の物流市場は構造的に効率化を追求しにくく、全体最適を志向しにくい構造にあります。発荷主(商品を届ける方)が物流費を払う商習慣があるため、着荷主(商品を受け取る方)からすれば物流費がどれぐらいかかっているのかがよく分からない構造なのです。そうした商習慣を抜本的に変えることで最適な流通構造にすることが大事だと思います。

佐分利:
政策担当者のお二人はいかがでしょうか。

平澤:
物流業界が直面している担い手不足は本当に深刻な状況です。それはドライバーの処遇改善が進んでいないことが要因であり、働き方改革を推進して人材を持続的に確保できる環境整備が必要です。生産性向上も重要な課題であり、宅配便の再配達を削減することも求められています。

中野:
物流コストデフレから物流コストインフレになり、環境が激変したので、2000年代の企業戦略と同じでいいわけがありません。つまり、物流の能力が企業競争力を決定する時代になっていると思います。

物流コストのことを考えなくてもよかった時代は「製造」や「販売」が競争力の源泉でした。しかし、今は早く安く運ぶ「物流」に競争力の源泉がシフトしています。このことは、相当大きな産業構造や企業経営の変革をもたらす可能性があると思うのです。

サプライチェーンのマネジメントを行うには、上流から下流までの垂直統合を考えなければなりません。例えば製品の設計段階から物流コストを安くする設計をしたり、消費者情報や需要予測を上流と下流でシェアできていたりする必要があります。そうでないと、ロスや在庫の問題で、そもそも運べなくなってしまいます。最近は垂直統合でうまく連携している企業が力を増してきていますが、こうした取り組みを急ぐ必要があると思っています。

それから、デジタル化(インターネット空間)が流行っており、必要性自体は誰もが感じています。他方で、デジタル化だけ進めば社会がうまくいくわけではなく、フィジカル(物理的な空間)もうまくいかないといけません。デジタルのインターネットだけが進むのではなく、フィジカルのインターネット、まさに物流もセットで考えないとバランスを欠いてしまいます。

ロードマップ、アクションプランへの期待

佐分利:
政府が策定したロードマップおよびアクションプランに関して期待などがあればお願いします。

小野塚:
物流クライシスへの対応はもちろん必要なのですが、目先の単なる改善ではなく、フィジカルインターネットという新しい物流プラットフォームを日本で実現することが期待されます。結果としてドライバーや物流に携わる人々の賃金が上がり、売上高物流比も最適化されて、世界で最も物流が効率的で強靱な国になることが理想です。

2040年に向けてフィジカルインターネットという新しい概念ができれば、法規制も新しいステージに向かうことも期待されます。労働環境を守るために、数年先にはドライバーのスマートフォンにアプリを搭載することで労働時間を管理できるかもしれませんし、積載率を高めるためにトラックにGPSを付けて最適化すればよほど効率的です。そのように未来志向でフィジカルインターネットの可能性を考えられると思います。

堀尾:
スーパーマーケット等ワーキンググループの座長である明治大学の橋本先生がまとめられた「フィジカルインターネット実現に向けた重要項目の抽出」(堀尾資料P3)は、私たちがやらなければならない項目を網羅的に順序だてて整理された大変意義の大きい表だととらえています。究極的にオープンな共同物流に向けての課題が明確になりこれを順々に取り組んでいかなければならないと考えています。もう1つ重要なポイントがあります。これまではロードマップやアクションプランは「出して終わり」ということが多かったのですが、最優先課題(表の右下部分の赤と橙色になっている項目)については、これからメーカーと卸売業者、小売業者が集まった「製・配・販連携協議会」に4つのWGを設け、精力的に議論を進め、結果を出すことになっているのは非常に大きなことだと思います。

これからのアクションは

佐分利:
業界レベルでこれからどのようなアクションが必要になるのでしょうか。

堀尾:
堀尾資料P4の「持続可能な加工食品物流の構築に向けた当社の取り組み」をご覧ください。これは2022年度の私どもの活動内容をまとめたものですが、業界全体の動きも同じだと思いますのでご紹介します。

私たちは「持続可能な加工食品物流の構築」に向け、総合物流施策大綱で謳われた「強くてしなやかな物流~止めない物流」「担い手にやさしい物流~足元課題の解決~」「簡素で滑らかな物流~標準化推進~」という3つに分けて取り組んでいます。これは本日のテーマであるフィジカルインターネット実現のためのロードマップと同じだととらえています。

「止めない物流」に関しては、物流費のマネジメントを高度化・デジタル化し、改善結果が反映される料金体系にしようと検討しています。それにより改善に向けたモチベーションを上げていきたいと思っています。それから、大雨、洪水、台風、地震など頻発している中で、いかに安定した物流を構築するかは大きな課題です。いわゆる事業継続計画(BCP)への対応も求められます。

「足元課題の解決」は、物流従事者の労働環境を改善することに他なりません。納品リードタイム延長、長時間待機撲滅、付帯作業撲滅などを一つ一つ片付けていきたいと思っています。ただ、この項目はメーカーだけでは解決できません。卸売業、小売業を含むサプライチェーン全体で議論していかなければならないと考えます。

「標準化推進」に関しては、納品伝票の電子化、外装サイズの標準化、コード体系の標準化、外装表示の標準化に向けて社内外にプロジェクトを設け、前に進めているところです。

小野塚:
2024年問題に関しては、積載率を何とかしない限り、物が運べなくなるという状況は改善されないでしょう。積載率を上げるため、業界内で物流を共同で運ぶ動きが広がることにぜひ期待したいと思いますし、国の後押しも必要になると思います。

他方、コンサル視点としては、残念ながら能動的な物流の構造改革に取り組んでいる企業・業界はまだ少数ではないかと思います。売上高物流比がここ数十年ずっと変わらない管理構造になっている企業が多いのではないでしょうか。

そうした企業にとっては逆に、物流は宝の山である可能性があるので、2024年問題に向けていち早くロジスティクスの改革を進め、収益力向上にトライしていただきたいと思います。

平澤:
担い手不足を解決するには、機械化・自動化を進め、標準化等をしっかり行うことが重要です。共同輸配送をしっかり進めることで積載効率を上げる取り組みも極めて大事ですし、適正な運賃料金を収受できていない現状も踏まえると、適正な取引環境の整備は今後の物流業界の機能を維持する上で極めて重要だと思います。これは関係者が一体となって取り組んでいかなければならないことですので、ロードマップで示された課題をしっかりと認識した上で進めることは極めて重要だと思います。

中野:
2024年問題は正直かなり難しいです。1つは商慣行の是正という問題が大きいですが、これは国が決めていることではないため、一企業の努力や政府が持っているツール(対策)でどうにかなる問題ではありません。

商慣行の是正や標準化を進めるためには、本当に知恵を出さないといけません。われわれも業界とたくさん連絡を取り合っていますし、問題意識の高い方々が自主的に集まって検討されていることもあります。それら全体をオーケストレーションしていくことが必要だと思います。

しかし、物流の問題は非常に構造的な問題です。世界的な視野で見ても物流をしっかりしないと日本企業の競争力が沈没してしまうのですが、企業の競争力や利益についての議論の中でなぜか物流の視点が抜け落ちているのです。これは欧州や米国、中国の企業ではあまりないことで、日本の企業に非常に顕著なようです。これは一昔前のデジタル化と同じ現象であり、物流に対する意識が落ちてしまっています。そうすると、いくら役所側でオーガナイズしようと思っても、意識にないものは動かせません。

ただし、今回はウクライナの危機があって、物流費の上昇に皆様が敏感ですので、問題意識がぐっと高まっていると感じます。この機をうまくとらえて運動を起こしていきたいと思いますし、そのためには従来のような政策ツールではとても解決できなません。2024年問題に向けて早急に考えなければならないと思っています。

質疑応答

Q:

スーパー・小売業者側の協力をお願いすることも多いと思いますが、彼らの理解は得られそうなのでしょうか。

堀尾:

その答えは「理解が得られそう」ではなく「理解が得られてきている」です。私ども加工食品メーカー8社は製配販課題を論議する場として食品物流未来推進会議(SBM会議)を組織していて、日本加工食品卸協会(日食協)とともにこの2年間さまざまな取り組みをしてきました。2022年に入って両者で小売業界3団体に物流の危機的状況の話をして、まさに先週フードサプライチェーン・サステナビリティ・プロジェクトをキックオフしました。加工食品の現状を3団体にもきちんと受け止めていただき、サプライチェーン全体で改善に取り組むための大きな一歩を踏み出したところです。

Q:

物流事業者間でのコストの責任やルール作りは今後どうしていけばよいでしょうか。

小野塚:

SIP(内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム)のスマート物流サービスの取り組みでも議論されていることですが、今後非常に重要になってくるのはダイナミックプライシングの考え方です。積載率を高めるときに一番簡単なのは、例えば2週間以内に届くのであればいつでもいいという荷物が多ければ多いほど積載率を上げやすいのです。では、その荷物はいくらで運ぶのかというプライシングや積載率の管理の仕組みが出来上がると、スマート物流へのシフトは一気に進むでしょう。事業者としてそれをサステナブルな仕組みにしていくための取り組みが進みつつあります。

中野:

この質問は、フィジカルインターネット実現会議でも、議論が盛んに行われた部分です。簡単に言えば、どこかの一企業が情報を独占するようなことではいけないであるとか、国はどのように関わっていくのかという議論がありました。

今後、いろいろなスタートアップやプラットフォームの取り組みが政府で行っているスマート物流の取り組みと並行して自発的な形で進んでいくと思います。それが成熟して標準のルールができればいいと考えていますが、できなかった場合には問題になるので、ロードマップでは2026年頃からのスケジュールとして、ルールの確立を明記しています。実現会議の中では、国が主導してルールを決めていってほしいというような意見もございましたが、そこについて、私どもは慎重になっています。そのようなルールを作ることができるほど能力があるわけではありませんし、今いろいろな提案が出てきている状況です。もう少しそういった状況を見させていただきたいと思っています。

一方、パレットの標準化や商慣行の是正が行われないと、ルール作りやプラットフォームだけきれいにできたとしても誰も参加できません。そうした環境整備を2025年まで集中して行いたいと考えています。

平澤:

トラック事業者に関しては、適正な運賃を収受するためにトラック法を改正し、標準的な運賃を告示しています。それを基に荷主と交渉しながら、適正な運賃料金の収受に努めていただきたいと思います。

Q:

ロジスティック、サプライチェーンを軽視してきたのはなぜでしょうか。

小野塚:

日本には現場力があるからです。一番分かりやすいのは宅配ビジネスで、日本の宅配ビジネスほど素晴らしい物流サービスはないと思います。日本の場合、現場の人に連絡するといつの間にか対応してくれて、がんばって届けてくれます。それがだんだん普通になってしまい、「明日持ってきてね」と言うのも普通になってしまって、これが限界に来てしまっているのです。ですから、まさにシステムと現場力が融合すれば、世界最高の物流を築けると思います。

Q:

最後に皆さまから一言ずつコメントを頂きたいと思います。

小野塚:

クライシスで新しい取り組みを進めるということは、裏を返せばチャンスだということです。日本の物流業は成長産業です。このセッションがそういうことを考える機会になったとすれば大変ありがたく思います。

堀尾:

先ほどご紹介した橋本先生の一覧表によってやらなければならないことは明快になりました。後はどう進めるかということです。大事なのは、今何をやっているのか、それが全体目標に対してどこに位置付けられているのかを把握しておくことだと思います。堀尾資料P5をご覧ください。現状→レベル1のデジタル化→レベル2の業界標準化(エコシステム化)→レベル3の当該業界における新しいサプライチェーン構築、そして究極の目標である業界を横断した新しい物流構築(レベル4)という全体の流れの中で今導入しようとしているシステムはレベル1にすることである、というような意識を持つことが重要だと思います。私は加工食品業界に身を置いていますが、加工食品業界のみならず、いろいろな業界とつながることで、商慣習や規制の見直しをしていかなければならないと思っています。

平澤:

カーボンニュートラルへの対応や運賃の適正な収受など、物流事業者が取り組むべきアクションはあって、そうした状況にあることを荷主にも認識してもらい、一緒に取り組むことが大切だと思います。さまざまなステークホルダーの連携・協調が重要となる領域、いわゆる「協調領域」の考え方を物流業界にも広げていくのは非常に重要で、協調領域の必要性を認識してもらった上で標準化を着実に進めていきたいと思います。

中野:

足元は倉庫業やマテハン機器、ロボットメーカーが絶好調であり、物流関係のプラットフォームや新ビジネスもたくさん生まれています。ですから、実は物流・ロジスティクスも成長産業なのです。日本に限らず世界的に見ても物流は成長産業です。そのことが見えていないのはブラッドレー将軍がおっしゃるとおり、素人だからで、私も含めてプロにならないといけないなということで締めたいと思います。ありがとうございました。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。