Special Report

ロシア・貨物通過事件パネル報告書
-米国・232条紛争の行方とWTO体制への影響-

川瀬 剛志
ファカルティフェロー

ジュネーブ時間の4月5日、注目されていたロシア・貨物通過事件(DS512)のパネル報告書(注1)が、ついに公表された。本件ではGATT21条の安全保障例外条項について初めての判断が示された。昨年このサイトに掲載した拙稿(川瀬2018)で議論したように、この判断は米国による1962年通商拡大法232条(19 U.S.C. §1862)に基づく鉄鋼・アルミ製品への課税(以下232条措置)に極めて重大な示唆を与える。後述のように、既にこの措置についてはEUほか計9カ国がWTO紛争を提起し、パネルが設置されている。

232条措置とGATT21条

昨年の拙稿の繰り返しになるが、米国の232条措置とGATT 21条の関係を振り返っておきたい。

周知のとおり、232条は安全保障例外と言われ、輸入が米国の安全保障を害する恐れがある量・状況で行われる場合、商務省の調査・勧告に基づき、大統領が何らかの措置をとることができる。米国の調査報告書を見ると、安全保障目的に使用される鉄鋼・アルミニウムの調達に健全な国内産業を要するところ、輸入数量の増加が米国産業の稼働率を下げ、結果として安全保障が脅かされている、というロジックで措置の発動に至っている(注2)。

米国の措置は鉄鋼製品25%、アルミ製品10%の関税引き上げである。これは関連産品の米国のWTO譲許税率を超える課税であり、明白にGATT2条1項に反するもので、例外による正当化を要する。この時、米国が自国の措置を安全保障目的と称している以上、GATT21条の援用が予想される。

そのGATT21条は、次のように規定する。

第二十一条 安全保障のための例外

この協定のいかなる規定も、次のいずれかのことを定めるものと解してはならない。

  1. (a)締約国に対し、発表すれば自国の安全保障上の重大な利益に反するとその締約国が認める情報の提供を要求すること。
  2. (b)締約国が自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要であると認める次のいずれかの措置を執ることを妨げること。
    1. (i)核分裂性物質又はその生産原料である物質に関する措置
    2. (ii)武器、弾薬及び軍需品の取引並びに軍事施設に供給するため直接又は間接に行なわれるその他の貨物及び原料の取引に関する措置
    3. (iii)戦時その他の国際関係の緊急時に執る措置
  3. (c)締約国が国際の平和及び安全の維持のため国際連合憲章に基く義務に従う措置を執ることを妨げること。

(b)柱書を見ると、そこには「締約国が…認める(which it considers)」とあり、これを自己判断的な(self-judging)文言という。このかぎりでは、(i)〜(iii)の事態の存在とそれを踏まえて何が「自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要である」かは、この例外を援用する加盟国の自己判断にかかるもので、WTOパネル・上級委員会による事後の審査に服するものではない、というのが米国の見解であり、本件でも第三国意見書でそのように主張した(注3)。

パネル報告書の概要

本件は、クリミア危機(2014)に際して、ウクライナ経由でカザフスタンやキルギスに陸路で向かう貨物の通過をロシアが禁止・制限した措置について、ウクライナが貨物通過の自由を認めたGATT5条ならびに通商関連法令の透明性・公平性を求める同10条違反を申し立てた事案である。パネルはユーゴやルワンダの戦犯法廷で裁判官を務めた元WTO上級委員のGeorges Abi-Saab教授(エジプト)を長とし、WTO事務局法律部・経済産業省通商機構部でWTO法務に携わった荒木一郎横浜国立大学教授もパネリストとして加わっている(ちなみに氏はRIETI研究調整ディレクターの職にもあった)。つまりは案件の重大性に鑑み、WTO法、国際公法の「プロ中のプロ」を揃えたことになる。

それでは本件でパネルはどのようにこのGATT21条(b)を解釈したのだろうか。

まずロシアは、GATT21条(b)柱書の自己判断的な文言ゆえにパネルの事物管轄権は排除されると主張した。これに対してパネルは、WTO紛争解決了解(DSU)1条により、特段の定めがなければパネルはDSUに従って審理を進めることになるが、特にGATT21条案件であるからといってパネルが管轄権を否認される規定はDSUにないことから、21条適合性もパネルの付託事項の範囲内にあるとした(パネル報告書パラ7.53–7.56)。更に、次に述べるように(b)は完全に自己判断的ではなく、安全保障例外の援用について加盟国に無制限の裁量を与えるものでないことから、ロシアの(b)に基づく主張も退けた(7.57–7.58, 7.102–7.104)。

管轄権を認定すると、パネルは、21条(b)柱書の自己判断的文言の及ぶ範囲について、① 措置の必要性の判断のみに及ぶ、② 何が安全保障上の重大な利益であるかの判断まで及ぶ、③ (b)の(i)〜(iii)の事態の存在の判断にまで及ぶ、の3つの可能性を提示し、まず③を否定した。パネルによれば、文法上は柱書の自己判断的文言がこの(iii)に及ぶ可能性はあるものの、(i)〜(iii)には柱書の加盟国の安全保障例外援用の裁量を制限する役割があること、そして (i)〜(iii)に定められる状況が全て客観的に判断できる基準であることから、かかる条文の論理構造に鑑みて自己判断性はここまで及ぶと解すべきではない、とされる。(7.63–7.77)。パネルは加えてWTO協定およびGATTの条約としての趣旨・目的(7.78–82)、更にGATT1947の交渉史(7.83–7.100)を検討した上で、結論として、(iii)の状況、つまり「戦時その他の国際関係の緊急時」の有無の判断には加盟国の自己判断は及ばないと結論づけた(7.101)。

他方、パネルは本件の事実関係を検討した上で、2014年のクリミア危機は(iii)の「国際関係の緊急時」に該当し、また、問題のロシアによる禁輸措置はその時点で取られたものであると認定した(7.105–7.130)。

次に、パネルは上記②について判断するが、安全保障上の重大な利益を決定する加盟国の広い裁量は認めつつも、ウィーン条約法条約26条、31条1項に言及しつつ、その裁量は本件の場合(iii)を「誠実に(in good faith)」解釈・適用する義務により制約されると述べ、完全な加盟国の自由裁量を否定した(7.131–7.132)。また、パネルはこの安全保障上の重大な利益を「重大(essential)」である以上狭い概念であり、「国家の本質的機能(quintessential functions of the state)」に関するものと理解している(7.130)。その上で、例外の援用が義務の潜脱にならないよう、援用する加盟国は、(iii)であれば何が戦争その他の国際関係の緊急事態から生じる安全保障上の重大な利益を明示する義務を負う、と説示した。他方、本件ではロシアはクリミア危機に言及しただけで、何がこれに関連して安全保障上の重大な利益であるかを明示しなかった。これに対してパネルは、求められる明示義務の水準は(iii)の場合は関係する緊急事態の性質次第であるとした上で、本件ではクリミア危機が国連総会により武力衝突にかかると認定された事態(パネルは"very close to the "hard core" of war or armed conflict"、と形容)であることから、そこから生じるロシアの安全保障上の重大な利益は不明確("obscure or indeterminate")ではなく、最低限この明示要件を充足しているものとして、上記ロシアの説明を受け入れた(7.134–7.137)。

最後に①については、信義則に基づき、措置には問題となる安全保障上の利益の関係についてもっともらしい説明は最低限求められる("a minimum requirement of plausibility")。よって、問題のクリミア危機と問題の措置が「非常にかけ離れているか無関係("so remote from, or unrelated to")」であるか否かを検討し、そうでない以上、(b)柱書の自己判断的な文言から、ロシアにとって問題の措置は必要だったと結論づけている(7.138-7.146)。

以上のことから、ロシアの措置はGATT21条(b)(iii)によって正当化できると結論づけている。

解説

以上、GATT21条(b)の解釈、適用につき、パネルの判断は以下のように整理される。このように、パネルは(b)柱書の文言それぞれおよび(iii)を関連づけて解釈し、一体的な("holistic")なアプローチを採用している(注4)。

  • 紛争当事国によるGATT21条の援用はパネルの管轄権行使を妨げない。
  • 措置の(i)〜(iii)適合性の判断には柱書の自己判断的な文言は及ばず、事後的にパネルにより完全に客観的に審査される。
  • 自己判断的な文言により、安全保障上の重大な利益を決定する加盟国の裁量は広く認められるが、信義則に基づき、加盟国はかかる利益を明確に説明する必要がある。特に(iii)においては、説明の明確性のレベルは緊急事態の性質に依存する。
  • 措置と安全保障上の利益の関係については、自己判断的文言から最低限のもっともらしさだけを求める。

まず管轄権については、安全保障例外の解釈・適用にかかる案件であることにより直ちに法廷は管轄権の行使を妨げられるものではなく、この点は関連条文の文言に依存する。例えば、直近のイラン対米国国際司法裁判所(ICJ)事件の先決的抗弁判断でも同様に判断されている(注5)。

次にGATT21条自体の解釈については、本件パネルの判断は、自己判断的な文言に信義則による審査(good faith review)が及ぶとする昨今のICJや投資仲裁における先例(注6)の延長にある。特に同様に自己判断的な安全保障条項の解釈に信義則審査を採用したジブチ対フランスICJ判決の判断を、当事国の裁量を制約する方向で深化させたものと評価できる(注7)。特にパネルは、(i)〜(iii)が安全保障例外の適用を制約する機能を有することから、その判断には完全に客観的な事後審査を実施することで、その濫用を許さない姿勢を明確にしている。また、安全保障上の重大な利益も、何をそのように規定するかについては加盟国の裁量を認めつつ、概念としてはこれを狭く解釈し、具体的に明示する義務を加盟国に課している。

ただし、(b)柱書の自己判断的文言に鑑みて、パネルは加盟国の裁量にも配慮している。まず安全保障上の重大な利益については、(iii)の「緊急時」が深刻なものであれば、その存在についての説明義務を大幅に軽減している。本件ではロシアは明示的にこの利益を特定していないにもかかわらず、クリミア危機の重大性に鑑みて、この危機について言及しただけでロシアが最低限の義務を充足していると認めている。また、柱書には「必要である(necessary)」とあるので、ここでGATT20条(a)、(b)などで用いられる必要性テストが実施されることになる。従って、本来ならパネルは措置の政策目的に対する貢献度や代替手段の有無等を検討することになるが(注8)、自己判断的文言を理由にこの必要性テストを排除して、より簡便な「もっともらしさ」要件とその適合性を判断する「非常にかけ離れているか無関係」テストに代替した。この点、客観的評価に服する(i)および(ii)の「関する(relating to)」については、GATT20条(g)の同様の文言の解釈に関する先例(注9)から、「目的と手段の密接かつ真正な関係(close and genuine relationship of ends and means)」を要求したこと(7.69)とは対照的である。

本件と今後の関連WTO紛争

本件では、パネルの判断を仰いだロシアの措置の一部についてはパネルの付託事項外とされ、また残余は上記のように全てGATT21条例外で違法性が阻却されたため、申立国のウクライナは完敗である。ウクライナが上訴すれば、昨今の上級委員会の状況に鑑みれば、その判断が示されるまでに年単位の期間を要するだろう。その前にGATT21条ほか安全保障例外関連の事案については、この232条関連案件に加え、2017年のアラブ首長国連邦(UAE)ほかの対カタール断交に伴う通商制限措置にかかる紛争が付託されている(下記表参照)。これらの事件を判断するパネルが本件パネルの解釈にどの程度追随するかが注目される。

表:進行中の安全保障例外関連WTO紛争
表:進行中の安全保障例外関連WTO紛争
WTOウェブサイトを元に筆者作成(2019年4月8日現在)

232条事件への示唆

上記のように、結論としてパネルはロシアの措置の例外該当性を認めたが、本件パネルは安全保障例外の加盟国による完全な自己判断性を支持する被申立国のロシア、そして第三国参加した米国の主張を全面的に退けた。この判断は、今後の米国の232条措置に関するWTO紛争にいかなる影響を与えるだろうか。

本件のロシア勝訴の結果を受けて、これをトランプ政権への「追い風」とみる報道もあるが(注10)、筆者はこうした見方には懐疑的だ。本件と232条事件では、具体的な武力衝突に関連するかしないかの点で全く異なっている。米国は何らかの具体的紛争と今回の措置を関連づけておらず、安全保障上の重大な利益は極めて抽象的なものに過ぎない。よって、本件やカタールの事情と比べると米国の措置を安全保証目的とすることは「こじつけ(far-fetched)」であり、協定違反は明白であるとされる(注11)。また、皮肉なことに、ロシアは米国と共同してGATT21条3項の完全な自己判断性を主張したにもかかわらず、信義則審査の下で完全勝訴した途端、この判断で232条事件における米国に対するロシアの主張が一層説得力を持つようになった、とこれを歓迎している(注12)。ロシアもまた、232 条措置が本件パネルによる信義則審査の下ではGATT21条適合性を認められないと評価していることを窺わせる。

米国が仮にパネルでGATT21条を援用するとして、(b)(ii)に依拠することが予想される(それ以外はほぼ明白に当てはまらない)(注13)。(ii)は上記のように「並びに」の前後で「武器、弾薬及び軍需品の取引」、および「軍事施設に供給するため直接又は間接に行なわれるその他の貨物及び原料の取引」に分割される。前段には一般的な鉄・アルミ製品が該当しないことは明白なので(注14)、問題は232条措置が後段に該当するか否かである。本件パネルは、上記のとおり(b)(i)〜(iii)の状況が存在するかについては客観的に審査すると説示しているが、特に(ii)の「関する」については、上記のように安全保障上の重大な利益の保護と(ii)の措置に「目的と手段の密接かつ真正な関係」を求め、これを客観的に判断されるものと解釈している。よって米国は、どのような軍事施設にどのような物資を供給し、その原料としていかなるアルミ・鉄鋼が使われているかをある程度具体的に説明する必要がある。また、安全保障上の重大な利益が何であり、25%または10%の関税引き上げという手段がどのようにその利益の保護に「関する」ものであるかを証明しなければならない。232条報告書は極めて抽象的にこれら製品が軍事利用されるため国内産業の維持が必要であることを説明しているに過ぎず、このかぎりではかかる審査には堪えうるものではないだろう。

また、信義則審査にかかる柱書についても、パネルは上記のように「安全保障上の重大な利益」の内容については、(iii)の場合、「緊急時」の性質に依存してその説明義務のレベルが決まると述べている。本件は本格的な武力衝突を伴うクリミア危機という極めて重大な事態に直面して取られた措置であることから、パネルはロシアの曖昧な説明を受け入れている。仮に(iii)と同じく、やはり(ii)に規定される事項の具体性、緊急性、重大性に鑑みて説明義務の水準が決まるとすれば、米国の(ii)に関する事項についての現在の抽象的な説明では、何を「安全保障上の重大な利益」とするのかについて、十分な説明を求められることになろう。

GATT21条については、貿易救済措置に関するダンピング防止協定や補助金相殺措置協定の審査と異なり、232条調査報告書にない説明をパネルで追加的に行うことは妨げられないものと考えられる。その意味では、米国が今後パネルでどのような説明を行うのかが注目される。

もっとも、レスター(Simon Lester)は、米国はGATT21条を援用しても、完全な自己判断を主張する立場から要件適合性についての主張を行わない可能性を示唆する。また、目下のトランプ政権の強硬姿勢は、協定違反の判断が下されたとして、232条措置の撤廃に応じない可能性も低くないと指摘する(注15)。更に、かつてのヘルムズ=バートン法事件(DS38)の際には、やはり安全保障関連案件であったことから、米国はパネル手続参加を拒否しており(注16)、今回も同様のことが起きる可能性もある。仮に手続参加はしたとしても、GATT21条(a)を盾に取り、必要な情報を一切出さないことも考えられよう(注17)。

232条事件を超えて―WTO体制への影響―

予てから米国は、232条措置についてパネル・上級委員会がその協定適合性を判断するようであれば、WTO自体の存続を脅かすと強い警告をためらわなかった(注18)。本件パネルが示すように、一度付託された案件については、パネル設置要請の形式が満たされているかぎり、パネルの管轄権は否認されない。このため、アゼベドWTO事務局長も、制度上致し方ないにしても、このクリミア危機関連案件の判断を下すこと、そして232条措置をWTOで争うことの危険性について、懸念を表明してきた(注19)。安全保障例外に関する自己判断性を否定し、例外援用についてパネルが事後的に審査することを宣言した本件判断、そして今後の232条事件の判断により、WTOはトランプ大統領にとっての一線を超え、米国との衝突は不可避と評されるが(注20)、この「衝突」はWTOにどのような影響をもたらすだろうか。

まず、紛争解決手続への影響である。そもそも米国のWTO紛争解決手続に対する不満、不信感は根強く、その根底には上級委員会の司法積極主義(judicial activism、米国は"overreach"と表現)に対する強い批判がある。それゆえ、米国は2017年夏以来任期満了で空席になった上級委員の任命を阻止しており、本年12月には遂に個別案件の審理に必要な最低数の3名を下回り、上級委員会、ひいてはWTO紛争解決手続の機能は著しく損なわれる日が近づいている(注21)。今回の判断は上級委員会によるものではないが、232条措置を意識して安全保障例外の自己判断性を強く主張してきたトランプ政権にとっては、GATT21条適合性の審査を主張する本件パネルの判断は、行き過ぎに移るだろう。そうだとすれば、米国が態度を軟化させ、上級委員会の欠員選任手続開始に応じる可能性は一層遠のいたように思われる。

もう一点は、安全保障とWTOの関係である。今や安全保障の文脈で語られる領域は、サイバー犯罪、テロ、パンデミック、メディアやインフラへの脅威など、国家・民間、軍事・非軍事を問わず広がりを見せ、国際通商法はこうした新しい安全保障概念の包摂と向き合わなくてはならないことが指摘されている(注22)。GATT21条に投影される安全保障概念は主に国家の軍事的側面に着目するもので、ポスト冷戦の現代には明らかに時代遅れになっている。米国がこうした新しい安全保障概念を意識していることは、232条措置よりもむしろ1974 年通商法301条措置の対中発動に顕著であり、米国は5GやAIなど次世代技術の覇権争いやサイバーセキュリティといった新たな国家安全保障の確保を試みている。旧来型の安全保障概念に基づくGATT21条を誠実な遵守を求める本件パネルの判断はこうした米国の意識とは極めて乖離しており、本件判断への米国の挑戦は、否応なくWTOにおける安全保障概念の現代化を迫る圧力になるだろう。


注(5)および(7)にかかる記述につき、それぞれ菊間梓外務省中央アジア・コーカサス室課長補佐、濱本正太郎京都大学教授から示唆を得たことに謝意を表する。過誤は筆者に帰する。

脚注
  1. ^ Panel Report, Russian Federation – Measures Concerning Traffic in Transit, WT/DS512/R (Apr. 5, 2019).
  2. ^ 報告書の詳細は川島(2018)を参照。
  3. ^ Russia – Measures Concerning Traffic in Transit (DS512): Third Party Executive Summary of the United States of America (Feb. 27, 2018).
  4. ^ A WTO's "Kompetenz-Kompetenz" Moment, Posting of Sungjoon Cho to International Economic Law and Policy Blog (Apr. 5, 2019, 16:45).
  5. ^ Certain Iranian Assets (Iran v. U.S.), Preliminary Objections, Judgment, ¶¶ 38-47 (Feb. 13, 2019).
  6. ^ この点については川瀬(2018)を参照。
  7. ^ Certain Questions of Mutual Assistance in Criminal Matters (Djib. v. Fr.), Judgment, 2008 ICJ Rep. 177, 225, ¶145 (June 4, 2008). ただし当該ICJ判決で解釈・適用されたジブチ・フランス刑事共助協定2条とGATT21条では文言が異なることに留意しなければならない。
  8. ^ E.g., Appellate Body Report, European Communities – Measures Prohibiting the Importation and Marketing of Seal Products, ¶ 5.169, WT/DS400/AB/R, WT/DS401/AB/R (May 22, 2014).
  9. ^ E.g., Appellate Body Report, United States – Import Prohibition of Certain Shrimp and Shrimp Products, ¶¶ 135–136, WT/DS58/AB/R (Oct. 12, 1998).
  10. ^ 日本経済新聞2019年4月6日夕刊1面。
  11. ^ WTO Is Said to Plan Ruling on Security in Blow to Trump Strategy, INTERNATIONAL TRADE NEWS, BLOOMBERG LAW, Mar. 29, 2019, https://news.bloomberglaw.com/international-trade/ (available for subscribers only).
  12. ^ WTO Defies Trump with Historic Ruling on National Security, INTERNATIONAL TRADE NEWS, BLOOMBERG LAW, Mar. 29, 2019, https://news.bloomberglaw.com/international-trade/ (available for subscribers only).
  13. ^ なお、米ケイトー研究所のレスター(Simon Lester)は、(b)(iii)の適用可能性を指摘し、米国が国際的に多方面で展開する軍事作戦が「国際関係の緊急時」に該当しうる可能性を指摘する。ただし、この「緊急時」と関税引き上げの関係性の立証が困難であり、結局(iii)での正当化は困難であると結論づけている。The Russia – Traffic in Transit Panel Report, Posting of Simon Lester to International Economic Law and Policy Blog (Apr. 5, 2019, 12:28 PM).
  14. ^ 「軍需品」は正文で "implements of war"であり、その意味は「集合的に捉えられる兵器(weapons considered collectively)」なので、単なる鉄・アルミ製品は含まれない。Vocabulary.comThe Free DictionaryWeblio英和辞典などを参照。
  15. ^ Posting of Simon Lester, supra note 13.
  16. ^ Jackson (1997).
  17. ^ GATT21条は「この協定のいかなる規定も…解してはならない」と規定しており、同条が例外としてカバーする範囲は、WTO協定全体ではなく、GATTのみであると理解される。しかし、DSUはGATT22条・23条手続に言及するとともに、これらと密接に関連し、一体の手続を構成しており(DSU3条1項)、このような場合はGATT以外のWTO協定下の附属書にもGATT例外条項の効果が及びうる。Cf. Appellate Body Report, China – Measures Affecting Trading Rights and Distribution Services for Certain Publication, ¶¶216–233, WT/DS363/AB/R (Dec. 21, 2009). よって、仮に米国の情報提供拒否がDSU違反を構成するとしても、GATT21条の適用は直ちに排除されない。
  18. ^ Azevêdo: Challenging U.S. 232 Tariffs at WTO a 'Risky' Strategy, INSIDE U.S. TRADE, Dec. 7, 2018.
  19. ^ Challenging U.S. 232 Tariffs, supra note 18; WTO Is Said to Plan Ruling, supra note 11.
  20. ^ WTO Is Said to Plan Ruling, supra note 11.
  21. ^ 上級委員会危機については、川瀬 (2019)を参照。
  22. ^ Heath (2019).
参考文献

2019年4月9日掲載

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