RIETI ポリシーディスカッション

第7回:インフレ目標政策への批判に答える:ディスカッションルーム

高橋 洋一
コンサルティングフェロー

インフレ目標は「魔法の杖」ではない

上席研究員 池田 信夫

「無効論」と「弊害論」以外に、「無意味論」というのがあります。私の知る限り、多くの経済学者はこの立場です。私もインフレ目標が実現できる可能性はあると思いますが、so what? インフレになったら何が解決するのでしょうか。

日本経済の本質的な問題は、高橋さんもご存じのように、腐敗した政治家と無能な官僚と経営者の作り出した非効率な政治経済システムであり、これを変える「制度変化」は、マクロ経済とは別の問題です。まるでインフレ目標が「魔法の杖」であるかのような議論は、問題の所在をミスリードする点で有害だと思います。

2003年3月10日

インフレ目標政策は意味がある

コンサルティングフェロー 高橋洋一

コメントありがとうございます。

「魔法の杖」というのが、一つの政策で多数の目的を達成でしようとするものならば、割当問題からわかるように、すべての政策は「魔法の杖」でない。

1-3%のインフレ目標政策は、名目金利のゼロ下限や名目賃金の下方硬直性による金利・賃金調整機能の不全を是正できますので、意味があります。だから、マイルドデフレとマイルドインフレでは成長率に差がでます。

それに、池田さんのご指摘のとおり「制度変化」は、マクロ経済とは別の問題なので、インフレ目標政策があっても行えます。先進国は、インフレ目標政策も「制度変化」も行っています。インフレ目標政策と「制度変化」は両立できます。

もちろん、私自身も、インフレ目標政策を主張しながら「制度変化」も実践しています。

2003年3月13日

ディスカッションルーム

2003年3月13日掲載

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