貿易統計データに基づく経済連携協定による輸出効果の考察~日EU経済連携協定を例に~

執筆者 鶴田 仁(コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2026年9月  26-P-020
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概要

本稿は、日本と欧州連合(EU)のEPA利用分の輸入貿易統計データを基に、日EU経済連携協定(EPA)の輸出効果を考察するものである。これまで、輸出貿易統計データではEPA利用の有無は把握できないことから、輸出効果の検討は輸出企業からのヒアリングによることが多かった。

本稿では、相手国の輸入貿易統計から、輸出額、輸出数量、輸出価格、EPA利用率、EPA節税額などを比較検討した。日EU経済連携協定の輸出効果としては、EU側は、食品・化学・皮革・貴金属など幅広い産業でEPAを利用して全般的に輸出を拡大している。一方、日本側は、EPA利用率は上昇しているものの、EPA利用は自動車関連品目が中心となっており、他の品目の輸出効果が限定的となっている。

背景としては、日本産品と他国産品の価格差が大きくEPAの関税削減効果を踏まえても競争力改善につながっていない品目があること、EPA利用のための原産地等の管理費用の面から中小企業のEPA利用が進んでいないとみられること、などが挙げられる。

今後、EPA利用分の輸入貿易統計を公表する国が増加することが期待される。