執筆者 | 相澤 伸広(九州大学) |
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発行日/NO. | 2024年3月 24-P-004 |
研究プロジェクト | グローバル・インテリジェンス・プロジェクト(国際秩序の変容と日本の中長期的競争力に関する研究) |
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概要
本稿は、インドネシアの政策コミュニティに注目し、経済社会のデジタル化がもたらす国家と社会の関係再編について明らかにするものである。デジタル化を通じた経済成長を促進することに加え政府がそのガバナンス機能のデジタル化を進めること、加えて、市場、社会において、ますますその影響力を増すデジタル技術を用いた起業家を政策連合に包含していくことは、政治の安定、ひいてはインドネシアの民主化にとって中核的な課題である。その過程を国家と社会の相互浸透として分析し、相互の権力関係の新しい均衡を模索する政治過程として分析を行う。事例としては、第一にジョコ大統領の若手デジタル起業家やインフルエンサーの取り込みについて、第二に、コロナ禍期において政権の浮沈を握った保健医療体制のデジタル化をめぐる政府と企業の協力関係や、教育制度のデジタル化における官僚機構の再編等を具体的な事例として分析を行う。これらを通じて、インドネシアにおけるデジタル企業と政府の関係が、影響、代替、占領、の三つのレベルで展開していることを明らかにする。