概要
革新的なイノベーションが、経済的な課題だけではなく、社会的な課題の解決にも大きな貢献をなしうることは、COVID-19がmRNAワクチンによって早期に収束に至ったこと、また、オンライン会議など情報通信技術によるイノベーションも経済の停滞防止に大きな貢献したことが明確に示している。今後、地球温暖化の問題の解決にもイノベーションが中核的な貢献をすることが期待される。本稿では、日本のイノベーション能力の点検に貢献すべく、3つの分野の研究を紹介する。最初に、日本産業の研究開発能力の国際的な点検である。先行技術の早期活用、サイエンスの進展の活用などにおける国際的な動向を把握し、またそれが価値の高い発明の創造をいかにもたらしているかを分析する。第二に、COVID-19の克服に創薬が非常に重要な役割を果たしたが、mRNAワクチンが早期に開発された原因を分析する。第三に、日本における起業エコシステムの構築に向けての現状と今後の課題を明らかにする。
