執筆者 | 根本 拓(西村あさひ法律事務所) |
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発行日/NO. | 2023年5月 23-P-006 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第VI期) |
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概要
近時、各国は、信頼性を伴うデータの越境移転を促進するために多様なアプローチを用いている。経済協力開発機構(OECD)が2021年に発表した“Mapping Commonalities in Regulatory Approaches to Cross-Border Data Transfers”(「OECDマッピングレポート」)は、これらのアプローチを複数の類型に分類することによって体系的に整理した上で、それらのアプローチについての共通性(commonalities)、収斂の傾向(convergence)及び補完性(complementarity)を見出している。かかるレポートは、近時のOECD、G20、G7等の国際フォーラムにおけるいわゆるDFFT (Data Free Flow with Trust)に関する議論の基礎となっているため、その内容を理解する意義は大きい。そこで、本稿は、筆者自身が執筆者の一人となったOECDマッピングレポートの内容を紹介し、その上で、特に、上記のアプローチ間の補完性について検討を行うことにより、今後DFFTに関する議論をいかに進め得るかについての試論を示す。