CPTPP経過的セーフガード措置

執筆者 鶴田 仁(コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2022年8月  22-P-023
ダウンロード/関連リンク

概要

環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)は、2018年12月30日の発効から3年が経過した。

CPTPPでの日本の関税撤廃率は、95%と高い水準にあることから、輸入増加による国内産業への損害が生じることが懸念され、セーフガード(SG)措置への関心が高かった。CPTPPの経過的SG措置は時限的な措置であり、現在、経過的関税の発動が可能なのは、段階的な関税撤廃(ステージング)を行っている品目に限られ、CPTPP発効時に即時関税撤廃した品目については発動可能期間は既に終了している。一般に国内産業にとってセンシティブな品目ほどより長いステージング期間が設定されていることから、ステージングが進むにしたがって、経過的SG措置の必要性が高まることが考えられる。従って、これまでCPTPP経過的SG措置の発動に向けた動きはなかったようであるが、適時にCPTPP経過的SG措置の政府調査を行い、必要に応じて経過的SG措置をとることができるよう準備をしておくことが必要である。

本稿では、輸入増加が特に顕著であったCPTPP特恵税率適用産品を例に、経過的SG措置の政府調査を行うとした場合の論点を抽出し、対応策を示す。