中国は科学技術の国際競争力をどのように高めたのか――科学技術のガバナンス体制と制度設計の試行錯誤に関する考察

執筆者 孟 健軍(客員研究員)/潘 墨涛(武漢大学)
発行日/NO. 2022年8月  22-P-018
研究プロジェクト グローバル・インテリジェンス・プロジェクト(国際秩序の変容と日本の中長期的競争力に関する研究)
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概要

新中国成立以来、科学技術事業は著しい進歩を遂げた。国家の綜合計画や具体的な対策の変遷を見ると、政府は国家目標の指導の下で、科学技術のガバナンス体制に対する政策を適時に調整している。

建国初期の工業化という国家目標の段階では、科学技術の進歩が計画経済下の「挙国体制」で基礎科学研究の蓄積を行ってきた。改革開放後の市場化という国家目標の段階では、科学技術の進歩が市場経済に貢献し、科学技術事業の地位を高めた。科学技術の経済的意義を強調すると同時に、長い期間での科学技術の研究開発投資を重視している。

近未来の複雑な国際環境の下での国家目標の段階では、科学技術の進歩が関連政策や制度設計の効率性により相互に依存し、科学技術のガバナンス体制を最適化し、中国の国際競争力の向上を支援する。

今日、科学技術資源の流れと科学技術発展の「タイムラグ」を把握する意思決定の下で、2021年の科学技術のガバナンス体制に対する「新型挙国体制」の提起は、鮮明な時代性に内在する論理を持ち、制度設計のさらなる試行錯誤の特徴も持っている。