執筆者 | 平家 正博 (西村あさひ法律事務所) |
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発行日/NO. | 2021年7月 21-P-014 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第V期) |
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概要
本件は、ロシア・ウクライナ間の政治対立に端に発した一連のWTO紛争事例の1つである。ウクライナは、ロシアが、ロシア国内での販売に必要となる認証の取得等を制限し、ウクライナ産の鉄道機器のロシアへの輸出を妨げたとして、ロシアの適合性評価手続(Conformity Assessment Procedure)に関連する措置の協定整合性を争った。
適合性評価手続とは、ある製品が、強制規格や任意規格に適合することを実証するための手続である。そして、適合性評価手続により、強制規格に適合していることが立証されていることが、製品を輸入販売する条件とされる場合がある点で、各国の適合性評価手続の規定や運用は、物品貿易に大きな影響を与える可能性がある。実際、一部の研究では、2010-2014のTBT委員会で示された「特定の貿易上の懸念」(Specific Trade Concerns: STC)の約半数が、適合性評価手続に関連する措置であった。
そのような中で、本件は、適合性評価手続を規律するTBT協定5条の判断枠組みを初めて示す事例として、重要な意義を有する。