概要
本研究では、経済産業省からの要請に基づいて、経済産業政策のEBPMの一環として、商業・サービス競争力強化連携支援事業における補助金の効果分析を行った。その分析は、中小企業庁から提供を受けた申請企業リストと、東京商工リサーチ企業情報データを接合することでデータセットを構築し、それに対してマッチング差の差推定法を応用して行われた。分析の結果、以下の二点を発見した。第一に補助金に採択された連携体のコア企業の売上高と従業員数について、補助事業終了後に統計的に有意な正の推定値が観察されたが、分析の前提である平行トレンドの仮定が満たされていない可能性があり、解釈には注意が必要である。第二に、大学や公設試験研究機関と連携している企業に対して、ほぼすべての結果において正の推定値を得ているものの、補助金の効果がそれ以外の企業群と比べて有意に大きい、ということは観察されなかった。