「なでしこ銘柄」選定の株価への短期的効果

執筆者 角谷 和彦 (研究員(政策エコノミスト))
発行日/NO. 2021年2月  21-P-007
研究プロジェクト 総合的EBPM研究
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概要

本論文では、EBPM (Evidence-Based Policy Making) の一環として、経済産業省・経済社会政策室が選定する「なでしこ銘柄」の効果を実証分析する。本政策では毎年、女性活躍推進に優れた上場企業約45社が「なでしこ銘柄」として投資家に向けて発表される。選定企業一社の株価と、同規模・同業種の非選定企業群の株価を発表日前後の日次で比較することで、「なでしこ銘柄」選定の短期的効果を推定する。分析手法には量的事例研究 (特にSynthetic Control Method) を用いる。分析結果は以下の4点に要約される。1.オムロンが初選定された際はとりわけ投資家への露出が高く、株価は発表日に5%ポイント(選定されなかった場合よりも)上昇した。2.オムロンが再選定された際は、選定の効果は見られなかった。3.オムロンは中型株であるが、小型株のケイアイスター不動産が初選定された際は、選定の効果は見られなかった。4.中型株の千葉銀行が初・再選定された際も、選定の効果は見られなかった。