執筆者 | 髙橋 勇太 (横浜市行動デザインチーム(YBiT))/植竹 香織 (横浜市行動デザインチーム(YBiT))/津田 広和 (コンサルティングフェロー)/大山 紘平 (横浜市行動デザインチーム(YBiT))/佐々木 周作 (東北学院大学) |
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発行日/NO. | 2020年10月 20-P-026 |
研究プロジェクト | 日本におけるエビデンスに基づく政策形成の定着 |
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概要
本稿は、地方自治体のナッジ実装を推進するナッジ・ユニットである横浜市行動デザインチーム(YBiT)について体制及び普及戦略の観点から分析することで、日本全国の地方自治体へのナッジの展開方法に関する示唆を得る。第一に、海外自治体の諸事例と比較しながら、ナッジ・ユニット構築のための必要条件(行政内及び政治のサポート,人材,組織内の位置づけ,効果検証,専門家連携)について整理した。自治体によってユニット構築のプロセスに違いはあるが、その違いによらずこれらの条件を満たす必要性が示唆された。また、専門人材全てを内製化することは困難であるため、外部の専門家と連携する必要性を確認した。第二に、普及戦略について、独自の普及プロセスモデルに基づき、地方自治体内でナッジの普及を進める際に直面する課題と対応方法を整理した。ナッジの普及は、習得期・実践期・展開期の3つの段階に分類でき、いずれの段階においても、組織の文化やルールに配慮する必要性を確認した。今後は、国内地方自治体で蓄積されるナッジの実装事例について研究を重ね、本稿で紹介した必要条件や普及戦略を日本の実情に合ったものに更新し続けることで、日本の地方自治体における適切なナッジ実装の実現に貢献することが期待される。