九州における高度外国人材活用の現状と課題

執筆者 丸屋 豊二郎 (日本貿易振興機構アジア経済研究所)/九門 大士 (亜細亜大学アジア研究所)/浜口 伸明 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2020年2月  20-P-005
研究プロジェクト 人口減少下における地域経済の安定的発展の研究
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概要

九州は外国人労働者数が少ないだけでなく、高度外国人労働者数はもっと少ない。また、外国人留学生の受け入れ数は多いが、九州で就職する留学生数は少ない。本稿は、九州6大学に在籍する外国人留学生の九州(日本)での就職意識に関するアンケート調査を実施し、九州経済産業局が実施した九州企業の高度外国人材の採用・活用に関する意識調査の結果と照合して、留学生の九州(日本)での就職を促進するための課題を考察した。

分析結果から、留学生の多くは日本での就職を希望し、その意識も高く将来を見据えた職業観を持っているのに対して、企業は留学生の採用を労働力確保として捉えるなど消極的な姿勢が読み取れた。また、留学生の出身国/地域、日本語能力、希望する業種・職種、企業の労働環境、就労期間、インターンシップを巡って留学生と企業との間にミスマッチが存在することも確認された。これより、留学生の九州での就職を促進するため、企業だけでなく、経済界、大学、自治体、民間が連携して取り組むべき課題を提示した。