日本の第4次産業革命におけるIT, IoT, ビッグデータ, AI等デジタル技術の普及動向

執筆者 木本 裕司 (トーヨーカネツソリューションズ株式会社)/澤谷 由里子 (名古屋商科大学)/齋藤 奈保 (一般財団法人国際IT財団 (IFIT))/岩本 晃一 (上席研究員)/田上 悠太 (統計数理研究所)/井上 雄介 (東京大学)
発行日/NO. 2018年12月  18-P-019
研究プロジェクト IoTによる生産性革命
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概要

我が国の第4次産業革命におけるIT、IoT、ビッグデータ、AI 等デジタル技術の普及動向について、定期的な基礎データの整備がなされることとなれば、政策当局、研究機関、民間企業等、多くの関係者にとって有益であろう。その基礎データは、将来にわたって各機関から引用し続けられ、かつ日本の動向を世界に向けて発信することが可能である。本稿は、そうした全般的かつ俯瞰的な動向を対外的に説明できる科学的かつ基礎的な初のアンケート調査データであり、かつ、当該データに基づき、初めて数理的な分析を行ったものである。

本稿は、第Ⅱ章において、調査の制度設計について解説している。第Ⅲ章は、調査の単純な結果を挙げた。第Ⅳ章は、各参加者による分析結果である。①大企業では組織改善や新規開発を通じてIoT活用に取り組むが、中小・小規模企業ではその余力がない。既存事業への導入がIoT普及の鍵である。②IoTサービスの導入及び提供には業種別・企業規模別に格差が拡大しており、「どのように自社に適した技術を取り入れていくのか」が各企業にとって、最大の課題となっている。③IoTの取組に関して業種によって差異があり、製造業では生産性向上、金融・保険業及び情報通信業では新価値創造が重視されていた。④ドイツのフラウンホーファー研究所が行っている同様の調査と比較すれば、日本におけるデジタル技術の普及度は低い。第Ⅴ章は今後の課題や提言である。今後、当初の目的どおり、2年前後の間隔で定点観測として調査が継続されれば、我が国において、全般的かつ俯瞰的な動向を時間的な変化を伴った「動的な把握」が可能となる。