米国におけるEvidence-based Policymaking(EBPM)の動向

執筆者 津田 広和 (コンサルティングフェロー)/岡崎 康平 (内閣府 / 野村證券)
発行日/NO. 2018年11月  18-P-016
研究プロジェクト 日本におけるエビデンスに基づく政策の推進
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概要

本稿は、日本のEBPMの取り組みへの教訓を得ることを目的として、EBPMのトップランナーである米国の取り組みを分析するものである。米国では、超党派で設立されたCommission on Evidence-based Policymaking(CEP)が2017年9月に最終報告書をまとめた。報告書の問題意識は「米国におけるエビデンス供給不足」であり、エビデンス創出を促すため、①行政が管理するデータへのアクセス向上、②個人情報保護とデータ利用の透明性の改善、③データインフラの近代化、④政府機関の能力向上、の4本柱で勧告が行われた。

本稿では、まず米国におけるEBPMの歴史やCEP設立に至る経緯を振り返った上で、最終報告書の勧告を概観する。特に④政府機関の能力向上については、EBPMの取り組みや体制で遅れていた労働省が、首席評価室を中心にEBPMのモデル省庁に躍り出た経緯を紹介する。次に、エビデンスの構築や活用の在り方が施策の現場により異なることを踏まえ、米国の保健福祉省、教育省、労働省での具体的な取り組みを紹介する。その際、EBPM推進で活用された手法(Tiered Grant、Pay for Success、行動経済学)にも注目する。最後に、CEP報告書や事例紹介から、日本におけるEBPM普及・推進活動(EBPM推進委員会を中心とした省庁横断的な取り組み)への教訓を得る。