企業ダイナミクスの構造変化:企業間ネットワークと地理空間の観点から

執筆者 小倉 義明 (早稲田大学)/齊藤 有希子 (上席研究員)
発行日/NO. 2018年3月  18-P-004
研究プロジェクト 組織間ネットワークのダイナミクスと地理空間
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概要

本研究では、前例のない高齢化が、企業成長と退出にみる企業ダイナミクスに与える影響を過去10年分のパネルデータを用いて分析した。分析より、過去10年間、企業の参入退出、代表者の交代がさほど進展しなかったことが影響して、企業年齢、代表者年齢ともに上昇していること、およびこの傾向は都市部より地方において顕著であることが明らかとなった。企業と代表者の高齢化は企業成長を阻害する。また、代表者の高齢化は退出を増加させるので、今後の退出の増加が予想される。地方においては、企業立地の密度が低いことが新たな取引先の探索費用の増加につながっていると見られ、取引先退出に起因する企業退出、すなわち退出の連鎖が起きやすい傾向がある。これらの結果は、企業の年齢ステージや地域に合わせた政策の必要性を示唆している。

※本稿の英語版ポリシー・ディスカッション・ペーパー:19-P-031