執筆者 | 遠藤 業鏡 (中曽根康弘世界平和研究所) |
---|---|
発行日/NO. | 2018年3月 18-P-003 |
研究プロジェクト | 生産性向上投資研究 |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本稿はこれまで多義的に用いられてきたCSR活動の類型整理を行い、営利法人に許容されるのは利潤獲得動機と整合的なCSR活動であることを確認する。格付会社などが企業に付与する「環境、社会、ガバナンス(ESG)」スコアは、単に良い評判を形成するだけでなく、「経営の質」の推定や業績予測の改善といった実用的な用途に利用され、これがCSR活動を行う企業に誘因を与えていることを指摘する。実証分析のサーベイは、(1)CSR指標と企業業績との関係を考察する「アウトカム分析」と、(2)CSR指標の規定要因を探る「決定要因分析」の2つに分けて行う。これらは相互補完的であり、CSR活動を通じた価値創造プロセスを正確に理解するためには、同一のCSR指標について両方の分析を行っていく必要があることを強調する。ESGの各要因は並列でないことを明らかにし、ガバナンス要因(G)を環境要因(E)や社会要因(S)より上位に位置付けたリサーチ・デザインが必要であることも指摘する。