執筆者 | 岩本 晃一 (上席研究員)/波多野 文 (リサーチアシスタント / 高知工科大学) |
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発行日/NO. | 2017年6月 17-P-020 |
研究プロジェクト | IoTによる生産性革命 |
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概要
本稿は、筆者が研究プロジェクトリーダーを努める「IoTによる生産性革命」研究プロジェクトのうち、テーマ2「IoTによる中小企業の競争力強化」の研究の一貫として、2016年4月以降、主催してきた「IoTによる中堅・中小企業の競争力強化に関する研究会」の2016年度の成果をとりまとめるとともに、同研究会を支援するために行った調査結果を記述したものである。
日本の中堅・中小企業の生産現場に新たに本格的なIoTシステムを全面的に導入したという事例は極めて少ない。ドイツも同様である。中堅・中小企業にIoTがほとんど導入されていない要因は、「よくわからない」の一言に尽きる。「よくわからない」には2通りの意味があり、1つ目は「技術が難しくてよくわからない」、2つ目は「自分の会社にどのようなメリットがあるのかよくわからない」という意味である。
だが、その壁を乗り越えないと、我が国におけるIoTは、99.7%の中小企業の生産性を高めることなく、大企業だけを潤して終わってしまう。IoTによる恩恵は、全国津々浦々にまで広がらなければならない。
標記研究会では、中堅・中小企業4社をモデルケースとして取り上げ、現場を訪問して意見交換を行うなどにより、モデル企業がIoT導入に至るまでの試行錯誤を全て公開することで、日本の中堅・中小企業の社長の方々に、IoT導入を自社の現実の問題として捉えて頂きたいと考えた。
今回は、初年度であるため、中小企業の基本形である機械系製造業の工場の中をとりあげたが、次年度以降は、機械系以外の製造業なども取り上げ、ケーススタディを積み上げていきたいと考えている。