執筆者 | 関根 豪政 (名古屋商科大学) |
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発行日/NO. | 2017年6月 17-P-018 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第III期) |
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概要
近年、再生可能エネルギーの普及を目指して各国が促進策を積極的に導入しているが、当該政策は国産品を優遇するローカル・コンテント要求と結びつく傾向が強く、WTO協定との整合性が疑われる例が増えている。本件は、そのような再生可能エネルギー政策が問題とされている一連の事件の中で、パネルおよび上級委員会の判断が示された事例のうち2番目に位置付けられるものである。
本件は1番目の事例であるカナダFIT事件と事実背景が類似しており、同事件のGATT第3条8項(a)号に関する判断をより洗練させるものとなった。加えて本件は、GATT第20条(j)号について初めて解釈を示すと同時に、同条(d)号についても新たな解釈指針を示した点で新規性のある事例といえる。本稿では、本件のパネルおよび上級委員会が示した判断を概観した上で、それらが再生可能エネルギー政策をはじめとする各政策に対してどのようなインパクトを与えるか分析する。