多様な正社員の働き方の実態-RIETI「平成26年度正社員・非正社員の多様な働き方と意識に関するWeb調査」の分析結果より

執筆者 鶴 光太郎  (ファカルティフェロー) /久米 功一  (リクルートワークス研究所) /戸田 淳仁  (リクルートワークス研究所)
発行日/NO. 2016年1月  16-P-001
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

少子高齢化や産業構造の転換を背景として、職務、勤務地、労働時間などが限定的である、多様な労働力の活用が期待されている。しかし、その実態はまだ十分に把握されていない。そこで、本稿では(独)経済産業研究所が実施したWebアンケート調査の結果から、多様な正社員の働き方、認識、転換制度、雇用終了に対する考え方、満足度などを分析して、その政策的な示唆を議論した。

その結果、(1)多様な正社員はいわゆる正社員に比べ労働時間が短いこと、(2)多様な正社員はいわゆる正社員に比べ、若干賃金は低いものの、賃金に対する満足度はいわゆる正社員とあまり変わらないこと、(3)多様な正社員、特に、残業なしと労働時間短縮で働く正社員の仕事満足度は、いわゆる正社員よりも高く、ストレスは逆に低いこと、(4)多様な正社員は、上司との関わりが密であり、成長実感をもつこと、などがわかった。これらの結果は、労働契約における限定性の取り決めや上司による人事管理が、多様な正社員制度の実効性を高めうることを示唆している。