執筆者 | 絹川 真哉 (駒澤大学) /田中 辰雄 (慶応大学) /西尾 好司 (富士通総研) /元橋 一之 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2015年10月 15-P-015 |
研究プロジェクト | 日本型オープンイノベーションに関する実証研究 |
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概要
本稿においては、ビッグデータを利用したイノベーションに関する概念整理を行い、その上で、日本企業におけるビッグデータ活用事例を網羅的に収集している『ビッグデータ総覧』ならびに『日経ビッグデータ』(日経BP社)の情報を用いた統計分析によって実態を明らかにした。更に、ビッグデータを活用したイノベーションについて、代表的な事例(コマツ、日本調剤およびローソンイノベーションラボ)をケーススタディとして取り上げ、より詳細な分析を行った。その結果、企業内のデータ活用と比較して、外部データを利用するケースが増えていることが分かった。ただし、企業間連携によるオープンイノベーション型の連携についてかならずしも増えておらず、データの利用形態についても既存業務の効率化を目的とするものが全体の4分の3を占めることが分かった。新商品サービス型やオープンイノベーション型のイノベーションを増やすためには、企業においては、ビッグデータ活用に対する経営のコミットメントや標準化などで外部連携モデルの優位性が高まる状況における戦略的対応、政府においてはプライバシー問題への対応などに力をいれることが重要である。