「独り勝ち」のドイツから日本の「地方・中小企業」への示唆-ドイツ現地調査から-

執筆者 岩本 晃一  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2015年3月  15-P-002
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概要

我が国では、これまで政府が進めてきた「アベノミクス」により主に一部の大企業に恩恵が及んでいるが、今後は「地方・中小企業」にも恩恵を拡大するための方策が求められている。残念ながら日本には目指すべき成功モデルがないため、「地方・中小企業」の発展に成功したドイツに成功モデルを求めて現地調査した。ドイツは日本と同様、製造業を主力産業とし、人口減少・少子高齢化が進んでいる。合計特殊出生率は1.38(2012年)であり、日本の1.43(2013年)より低い。かつて「欧州の病人(Sick man of Europe)」と呼ばれていたが、今やユーロ圏で最強の経済力を有し、「独り勝ちのドイツ」と呼ばれるまでに経済再生に成功した。経済成長の果実を広く国民に広め、格差の小さい社会を作った(ジニ係数ドイツ0.293、日本0.336, OECD統計2012)。もし、ドイツが採用した手法が日本にも導入可能なら、日本もドイツのように、再び力強い産業競争力が可能になるのではないか、との問題意識で現地調査を行った。本稿は、ドイツの現地調査結果を踏まえ、日本の「地方・中小企業」が抱える中長期的かつ構造的な課題への処方箋に示唆を与えるものである。