執筆者 | 川島 富士雄 (名古屋大学) |
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発行日/NO. | 2013年8月 13-P-015 |
研究プロジェクト | 現代国際通商システムの総合的研究 |
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概要
中国を含む新興国の急速の経済発展は世界経済の構造転換をもたらしつつある。その1つの現れとして、国際的な「資源の奪い合い」現象が生じており、資源保有国は、資源の輸出規制をその一手段として用いる傾向にある。従来、GATT/WTOにおける輸出規制に対する規律は極めて脆弱であると考えられてきたところ、「中国-原材料の輸出に関する措置」事件パネル・上級委員会報告は、これに対する主要な法的規律(GATT11条1項、11条2項a号、20条g号等)について、WTO発足後、初めて本格的な法解釈を示した。本稿は、本件報告書を概観した上で、わが国が現在、申立国として争っている「中国-レアアース等の輸出に関する措置」事件に対し、本件報告書がいかなる実務的意義を持つか検討し、かつ、輸出規制に対する法的規律の抱える将来の課題を展望する。