【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑥】米国-マグロラベリング事件(メキシコ)(DS381)-TBT紛争史における意義-

執筆者 内記 香子  (大阪大学)
発行日/NO. 2013年8月  13-P-014
研究プロジェクト 現代国際通商システムの総合的研究
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概要

本件は、米国-クローブ入りタバコ規制事件に続いて、TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定:Agreement on Technical Barriers to Trade)を扱った2つ目の上級委員会の判断である。本件の後、米国-原産地国表示要求(COOL)事件の上級委員会報告が出され、2012年にはTBT協定に関する上級委員会報告書が3件発出されたことになるが、この3件のうちで本件は、TBT協定について最も多くの論点をカバーしており、報告書が大部である点に特徴がある。TBT協定の強制規格に関するコアな義務である2.1条および2.2条の解釈適用だけでなく、PPM(生産方法・工程:Process or Production Methods)規制の扱い方、強制規格の定義、国際規格の定義も争点となり、興味深い議論が展開されている。本稿では、TBT紛争史における本件の意義についてみていくこととする。