執筆者 | 深尾 光洋 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2012年6月 12-P-011 |
研究プロジェクト | 経済成長を損なわない財政再建策の検討 |
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概要
金融市場と金融システムの安定性を維持するためには、巨額の残高となった日本国債の信用を維持するのが必要不可欠である。銀行の自己資本比率規制でも、国債の信用リスクはゼロとされているが、2012年春に発生したギリシャ政府による実質的なデフォルトやアイルランド、ポルトガル両国政府に対するEUとIMFによる財政支援は、先進国においても、国債の信用リスクが無視できないことを示している。本稿では、欧州財政危機の背景とユーロ圏諸国による対応について概観し、財政悪化が著しい日本政府の財政運営への含意を探る。欧州財政危機の特徴は、金利上昇による政府の利払い負担増が危機の引き金となったこと、財政危機と金融危機の並行的な進行が特徴である。