経常収支をめぐる理論的展開とマクロ計量モデルにおける海外部門の概要

執筆者 田中 将吾  (コンサルティングフェロー) /及川 景太  (コンサルティングフェロー) /奥田 岳慶  (経済産業省) /中園 善行  (経済産業研究所)
発行日/NO. 2011年12月  11-P-017
研究プロジェクト 財政再建などを中心としたマクロ経済政策に関する研究
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概要

本稿は経常収支不均衡をめぐる日米間、米中間の外交交渉を整理し、経常収支をめぐる理論的展開をまとめたサーベイである。1970年以降、日本と米国の二国間の問題として顕在化した経常収支不均衡をめぐる経済摩擦は、2000年以降、産油国を含む新興国と米国との経常収支不均衡をめぐる経済摩擦へと変化してきた。本稿では、経常収支不均衡をめぐる日米間、米中間の経済摩擦が同じような軌跡をたどったことを振り返ったうえで、日米間の外交交渉の経験とその結果を踏まえると、国家間の外交交渉だけでは経常収支不均衡は本質的に是正されない可能性を指摘する。その上で、経常収支をめぐる理論的展開を踏まえながら、足もとで拡大を続けるグローバル・インバランスを生じさせている構造要因について、近年の研究を紹介する。また国内外の政策当局者がマクロ計量モデルによって自国の経済分析を行う際、海外部門をどのように定式化し、マクロ計量モデルに組み込んでいるのかについても紹介する。