| 執筆者 | 小林 慶一郎(ファカルティフェロー) |
|---|---|
| 研究プロジェクト | 持続的な経済成⻑に関する総合的な研究 |
| ダウンロード/関連リンク |
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。
マクロ経済と少子高齢化プログラム(第六期:2024〜2028年度)
「持続的な経済成⻑に関する総合的な研究」プロジェクト
資産価格バブルのモデルにおいて、我々は「再考(セカンド・ソート)」を導入することによってバブル均衡が唯一の均衡になることを示す。現実のバブルのエピソードでは、他の投資家の行動を見て「バブルの波に乗る」行動がみられるが、その現象を、ゲームにおける行動決定の「再考」(他のプレイヤーの選択を観察したうえで、改めて自分の行動選択を変更する)というかたちで定式化する。
バブルのモデルを同時手番ゲームとして再定式化し、そこに再考ステージを導入する(図2)。再考ステージでは、一部のプレイヤーは他のプレイヤーが選択した戦略を観察した上で、自身の戦略を変更することができる。再考ステージが存在する場合、バブル均衡のみが「弱支配戦略のバックワード・エリミネーション(BEWDS)」を生き残る。また、一方のプレイヤーが再考したあとに他方のプレイヤーが再考する場合(2つの再考ステージ)、バブル均衡が唯一のサブゲーム完全均衡になることも示すことができる。この一意性の結果は、次のようなグローバル・ゲームでよく分析されるタイプの理論モデルに応用することもできる。多数のプレイヤーが二者択一行動をするゲームにおいて、個々のプレイヤーが売り手と買い手のように互いに組になって行動選択するとし、それぞれが再考ステージを持つようにすると、均衡は一意になる。こうした結果は、複数均衡のある経済モデルの意思決定プロセスに再考ステージを導入することが、均衡を一意にする強力な理論的ツールであることを示している。現実の経済においても、さまざまな意思決定に「再考」ステージが存在していることが、均衡の一意性をもたらしている可能性がある。
再考ステージの存在によって均衡が一意に決まるとすると、ファンダメンタルな変数がある値をとるときは、バブルが継続し、別の値のときは、バブルが崩壊する、と言い当てることが可能になる。つまり、バブル崩壊などの現象について、モデルの予測精度が上がるので、様々な政策判断を行う際に、「再考」モデルは非常に強力な支援ツールとなるだろうと考えられる。