ノンテクニカルサマリー

HANKモデルに基づく人的資本形成

執筆者 猪瀬 淳也 (三菱総合研究所)
研究プロジェクト 人口減少社会における経済成長・景気変動
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。

産業フロンティアプログラム(第五期:2020〜2023年度)
「人口減少社会における経済成長・景気変動」プロジェクト

本稿は、家計の資産・所得分布を分析するフレームワークの1つであるHANK(Heterogeneous Agent New Keynesian)モデルを用いて、①人的資本が所得や資産とともにどう変化するかを分析するための手法を構築し、②ベーシックインカム導入の効果を分析した。

具体的には、何ら社会保障制度等の再分配政策がない均衡点からベーシックインカム制度を導入した場合に、マクロおよびミクロの家計行動がどう遷移するかを分析した。この結果、何ら再分配政策がない状況からベーシックインカムを導入する場合、①流動性制約に直面する家計の割合は上昇しうる(下記Figure 2)、②経済全体としての人的資本は減少しうる(下記Figure 6)、③消費性向が高まる結果金利は上昇しうるなどの結果が導出された。

Figure 2: Difference in initial and terminal Distribution.
Figure 2: Difference in initial and terminal Distribution.
Figure 6: Dynamics of Aggregated Share of Time Spent Investing in Human Capital (year).
Figure 6: Dynamics of Aggregated Share of Time Spent Investing in Human Capital (year).