通商システムとガバナンスに関するサブグループ研究会

第9回研究会

概要

日時:

2013年12月25日(水)

場所:

経済産業研究所 1119国際セミナー室(経済産業省別館11階)

議題:

1)WTO交渉の結果と今後等について
発表者:経済産業省通商機構部 金子知裕参事官
参考)経済産業省、第9回WTO閣僚会議(MC9)でのバリ・パッケージの合意

2)FTAの現況について
発表者:経済産業省通商政策局経済連携課 猪俣明彦氏
配付資料 [PDF:1.3MB]

3)ブルッキングス越境データフロー会合・TPPセミナーの報告
発表者:中富道隆コンサルティングフェロー
配付資料1 [PDF:306KB] / 配付資料2 [PDF:984KB] / 配付資料3 [PDF:1.2MB]
参考)http://www.brookings.edu/events/2013/12/16-japan-us-mega-trade-agreements

質疑・議論

WTO交渉
  • 今後のワークプログラムについては、ラウンドが動かない原因などについて本質的な議論をし、意思決定問題やプルリの取り込みなど本質的な議論をすべき。WTO改革について国内で識者を集めてきっちり議論すべき
    (←WTOが日本の通商政策の基本という立場に立ち、小さくとも意味のある結論を出し続けることが基本。たとえばITAの拡大実現は重要。WTO改革についての議論の場は検討すべき課題)。
  • 今後ますますFTAが加速化する。このままだとWTOは駄目になる懸念大。ラウンドをやっているふりは止めるべき。日本から提案してはどうか
    (←バリでは、ラウンドの議論はなし。新しいアプローチが必要であることは間違いない。投資等も挙がることになろう)。
  • メガFTA台頭の中で、ハイレベルでWTOが重要との声はあるのか
    (←直接の議論はない。バリ閣僚会議では、中国等途上国がWTOが重要と言い出している。アゼベドを支援するためであったかもしれないが。米国・EUはWTOに幻想を持っていない。スパゲティーボウルが出来るから、WTOが必要という議論にはまだなっていない)。
  • 貿易円滑化は重要な成果だが、効果如何。途上国のキャパビルを行い、金の支援もしないと状況は変わらないのではないか
    (←長期の猶予期間が途上国には与えられるし、キャパビルが条件になっている項目もある。世銀などと協力しながら、真剣にキャパビル・支援をやる必要あり。東アジアはまだよいが、アフリカや中南米は問題あり)。
FTA
  • メガFTAの優先順位如何。中期的目標は?
    (←日中韓、TPP、RCEPはFTAAPへの途との位置づけ。どれを先という公式位置付けはないが、日本が交渉する前から交渉が行われているTPPが先行しているのは事実。)
  • TPPと中国との関係如何。中国もTPPに入ってくるのではないか。
    (←関心表明はあるが、他方でTPPのレベルの高さと中国国内改革の状況とがマッチするかどうか。)
  • TISAの重要性如何?
    (←日米EU3極が交渉に参加している枠組み。米はサービスへの関心が強く、TISAをプッシュしている。ただし、本格的な交渉はこれから。)
  • 日EU交渉のレビュー条項をどう見るか。
    (←日EU交渉の実質進展が不可欠。また、TPP等の他のEPA交渉の進展にも影響される可能性あり。)
  • 米EUのFTA戦略如何。日本も望ましいシナリオについて戦略を持つべき。
    (←米EUのFTA戦略は明らかになっていないが、先進国同士でグローバルスタンダードの土台づくりを主導したいという思惑があろう。日本もそうした米EUの動きも注視しながら交渉に臨んでいるところ。)
  • 米にTPAがないと、交渉相手国は真剣な決断が出来ない。他方、TPAの見通しは国内政治そのもので不透明であり、これからしばらく目が離せない。米の国内問題の責任を日本に転嫁されてはたまらない。
  • 中韓FTAの状況如何。
    (←日中韓FTAより先行しており、既に多くの交渉会合を積み重ねてきている。)
越境データ問題
  • 今後どの場で議論が進むのか?
    (←TTIPでは、米EUが本件で激突する見込み。米は、アジア太平洋で、CBDFについての支持増大を目指すことになろう。具体的な議論の場はこれから。)
  • ヨーロッパの対応如何。
    (←本件は、貿易問題であると同時に、EUではプライバシーや人権問題。扱うのも貿易関係者ではなく別の部局の声が強い。産業界の声も届きにくいし、EU産業界も日和見になる。)