通商システムとガバナンスに関するサブグループ研究会
第7回研究会
概要
- 日時:
2013年10月28日(月)
- 場所:
経済産業研究所 1119国際セミナー室(経済産業省別館11階)
- 議題:
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1)サービス業のアジア展開動向と課題
発表者:丸紅株式会社経済研究所 副所長 猪本有紀氏
配付資料 [PDF:681KB]2)サービス交渉の課題と方向性
発表者:中富道隆コンサルティングフェロー
質疑・議論
サービス業のアジア展開
日本のサービス業は米国からアジアへ関心をシフト。最近では中小企業が動き出している。また、B to B からB to C(飲食・コンビニ・旅館など)へのシフトも見られる。サービス分野でのM&Aも最近拡大。製造業に付随する卸・運輸・通信・工業団地等のビジネスも重要。
Eコマースへの進出も盛ん。
メガFTAには、規制の不透明性や参入規制の解決を期待。サービス分野では外資規制や様々な規制が残っている。
- 最近はFTAでもモノからサービスに関心が移っている。RCEPなどでもサービスは重要な分野。他方、モノに比べてサービスはwin-winとなることを説明しにくい。これをやればwin-winとなるという軸はあるか
(←人材教育。近代的小売に向けての訓練などは喜ばれる。交通混雑対策、都市作り等と一体的に進めれば評価される。 - 日本と欧米のアプローチの違いはあるか(←欧米企業は動きが早い。ルール未整備の段階で進出した上で、弁護士・会計士などを活用しながら、政府との交渉を有利に進めるような動きをするケースが見られる)。
- 日本の対応が鍵を握るJCKやRCEPへの期待如何。
(←モノの移動に関する規制をそろえることがまず重要。人の育成も重要。) - サービス全体で議論すると広すぎるのでは。モノの生産流通との関係でのサービスという軸が重要ではないか。
- 米やEUの「狙い」をよく分析し、相乗りしていけるものは乗って行く思想も重要。(たとえば、EUは統一市場・基準を海外に普及する等の思想あり)
(←認証・安全性・環境等の軸がそれに該当するだろう。日本のハードに沿ったソフト・システムをアジアに作っていくことが必要)。 - 製造業のサポートが重要。製造業関連サービスについては、過去のFTAでも実績がある分野。国により、メンテナンスを日本企業が出来ない等のケースあり。
- 産業界からは、製造業関連サービスとICT関連サービスの要望が中心であり、他の声は余り聞かれないのが実情。
サービス交渉
- 製造業関連サービスとの視点は重要。丁寧に対象を拾っていく必要があろう。
- ネガリスト・ポジリストについては、日本は双方の対応をテスト中。TPPはネガでやっている。ネガについては、既存規制を書き出すアプローチになるので透明性が高まる一方、途上国には負担となる。約束範囲の明確化からは慎重な対応が必要であり、ネガポジそれぞれのメリット・デメリットあり。
- モノとサービスの規律比較については、項目にメリハリをつけて整理すべき。
- 紛争処理条項のあり方についても追加すべき。
- SG基準については、日本は従来から不要との立場ではないか
(←途上国を取り込んでいくためにも検討が必要。また、約束したら後戻りできないと言うシステムは、すべての国にとりリスクがある)。 - サービスのAD措置は不要。データも不確実で濫用される
(←モノの規律との比較は重要。ただし、AD措置をサービスに導入せよといっているわけではない)。 - モノ・サービス・カネは一体的に見る必要あり。
- セクター提案については、更に具体的に提案すべき
(←更に検討する)。 - サービスといっても、極めて範囲が広いので、類型化して議論する必要あり。