通商システムとガバナンスに関するサブグループ研究会

第1回研究会

概要

日時:

2013年4月25日(木)

場所:

経済産業研究所 1121国際セミナー室(経済産業省別館11階)

議題:

1)研究会の趣旨と今後の進め方
2)グローバルバリューチェーンについて
発表者:中富道隆コンサルティングフェロー

中富から研究会の趣旨と、狙いの説明(グローバルバリューチェーン、サービス(GVC)、競争、電子商取引関連の動きに重点を置く)。最近のGVCに関する国際的な議論、ISCA提案(中富)、WTO2.0(ボールドウイン教授)についての説明。

質疑・議論

WTO2.0
  • ボールドウイン教授のようにMNEに視点を置くか、付加価値分析のように生産ネットワークに視点を置くかで、GVCの議論は大きく変わるのではないか。MNEの観点だけからGVCを見ていくことには無理があるのではないか。
透明性・手続き
  • 行政手続きの透明性、支店・JV設置の自由度、撤退の自由度、BITの利用可能性等もGVCに関連する。
  • 透明性はNAFTAに規定あり。横断的な規定をFTAやISCAのような枠組みに置くことは重要ではないか。
  • 政府調達の透明性がラウンドから落ちたのは残念。途上国における手続き透明性の向上は重要。
  • パブコメ手続きは重要。
GVC
  • 産業界は、GVCに関心あり。ISCAのような発想も面白い。モノだけでなく、サービス、マネージメント、知財、人の移動等を総合的に見ていくことが必要。
    特に、インターネットを通じたサービスに対する規律が遅れていることに懸念あり。モノとサービスの境界もはっきりしない。世界中同じルールにすることが重要。ITA拡大、TISAに関心大。
  • 他方で、産業界のサービス分野の連携は2000年頃からむしろ減退。サービス産業に意義をうまく説明できず、また、サービス産業間の立場がバラバラであること、WTOでもFTAでもGATSプラスが実現できていないことが問題。
  • サービスについては、サービス一般ではなく、金融とか流通とかセクターを決めて議論する必要あり。クラスター作りが必要。W120に基づくポジリストでの約束には限界がある。
  • GVCは実態が先行し、ルールが追いついていない。ISCAは、GVC全体に取り組むということだとすると野心的すぎるのでは?
    (←中味は、産業界と政府とが連携して決めていけばよい。FTAだけだと世界解が生まれない)。
  • 産業界の関与は重要。ABACへの評価は高い。
    (←WTOにも産業界の諮問委員会を作る発想があってよいはず)。
  • WTOが理想と言っていられる時代は終わった。DSしか動いていないのは由々しき事態。WTOをフォーマルな組織にしたことの功罪あり。形だけきれいにしすぎた。その意味で、ISCAのようなプルリのアプローチは必要。