国際貿易における信頼

開催日 2026年7月16日
スピーカー シロー・アームストロング(RIETIノンレジデントフェロー / オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院教授・豪日研究センター長・東アジア経済研究所長)
コメンテータ・モデレータ 冨浦 英一(RIETI所長 / 大妻女子大学データサイエンス学部長)
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開催言語 英語
開催案内/講演概要

近年、「信頼できるパートナー」との取引を重視する動きが広がっている。これは、経済のレジリエンスや安全保障、サプライチェーンの信頼性を高めるための戦略として語られることが多い。しかしその一方で、こうした潮流は、各国によるご都合主義や威圧、さらには突発的な政策変更から市場参加者を十分に守ってきた既存の貿易ルールや国際的な制度がその「信頼」を低下させていることを映し出しているともいえる。本来、ルールに基づく貿易体制が適切に機能しているのであれば、企業や政府は相手国との政治的な立場の一致や友好関係の有無によって取引相手を選別する必要はない。重要なのは、契約が確実に履行され、その内容が公平に執行されるという制度への「信頼」である。
本講演では、RIETIノンレジデントフェローでオーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院教授のシロー・アームストロング氏をお招きし、最近著しく変化している、国際貿易における「信頼」(取引相手に対する「信頼」と、取引を支える制度やルールに対する「信頼」を区別)について考察する。
歴史的にみると、経済発展やグローバル化は、特定の相手との関係に依存した「信頼」から、制度に対する「信頼」へと依拠する基盤を移行させることで進展してきたことを論じ、また、近年の貿易を巡る不確実性の高まりが、経済主体を再び関係性に依存した取引へと向かわせており、それが効率性や所得分配の面でどのようなコストをもたらすのかを検討する。さらに、フレンドショアリングやデリスキングといった政策の広がりを踏まえ、限定的な仲間内の「信頼」に依拠することが、開かれた国際貿易体制の持続的な基盤となり得るのかについて考察する。