グレート・ファイアウォールが学術知の拡散に与える影響

開催日 2025年10月2日
スピーカー アンドリュー・バーナード(Kadas T'90 Distinguished Professor, Tuck School of Business)
コメンテータ 齊藤 有希子(RIETI上席研究員(特任)/ 早稲田大学政治経済学術院 教授)
モデレータ 冨浦 英一(RIETI所長 / 大妻女子大学データサイエンス学部長)
開催言語 英語
開催案内/講演概要

本研究は、国境を越えた知識の流れに対するインターネット規制の影響を検証しています。
中国は「グレート・ファイアウォール(GFW)」を通じて、Google.comおよびそのサブドメインへのアクセスを遮断するなど、国内外のデータの流れに対して大きな制限を課しています。
これにより、Google Sites(sites.google.com)にホストされた学術研究者のウェブページは、中国国内からアクセスできなくなっています。
分析の結果、Google Sitesに個人ウェブサイトをホストしている著者による研究論文は、他の論文と比べて引用数が有意に少ないことが明らかになりました。この引用数の減少は、中国によるGoogle遮断の開始時期と一致しています。
さらに、タイトルや要旨に「中国」への言及がある論文では、Google Sitesにホストされていない場合でも、引用数の減少がより顕著に見られました。
特に、若手研究者のチームによる論文ではその影響が大きく、中国にいる研究者は、Google Sitesを使っている著者の論文を引用しにくい傾向があることも分かっています。
本セミナーでは、ダートマス大学タック経営大学院のアンドリュー・バーナード教授をお招きして、こうした知識の拡散に対する障壁が、学術界にどのような影響を及ぼしているのかを議論します。