グローバル・インテリジェンス・シリーズ

インド太平洋地域秩序の動揺と日ASEAN関係

開催日 2020年9月30日
スピーカー 大庭 三枝(神奈川大学法学部・法学研究科教授)
コメンテータ 小野寺 修(RIETIコンサルティングフェロー / 経済産業省通商政策局通商交渉官)
モデレータ 渡辺 哲也(RIETI副所長)
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開催案内/講演概要

世界が不確実性を深める今日、アメリカが主導してきた「リベラル国際秩序」は、激化する米中対立や米国の対外的な関与の低下によって大きく変容している。さらに、世界を襲うコロナ危機は、こうした国際秩序の不安定性をさらに深刻なものとしている。今回のBBLでは、アジアの国際政治を専門とする神奈川大学の大庭三枝教授をお招きし、「インド太平洋地域秩序の動揺と日ASEAN関係」についてご講演をいただくとともに、経済産業省通商政策局の小野寺修通商交渉官から包括的なコメントをいただいた。米中対立のなか、日本とASEAN諸国は多くの課題を共有しており、今後は欧州諸国との連携に加え、日本とASEAN各国との個別・多国間アプローチを併用した地域ガバナンス体制の構築が提唱された。

議事録

米国主導のリベラル国際秩序

日本はASEAN地域と歴史的にも深い関係にあります。近年は国内でも対ASEAN関係に注目が集まっており、政府もASEAN諸国との関係構築に熱心である印象を受けます。しかし、その関心は中国の台頭を受けてのもので、ASEAN諸国の現状や各国が抱える課題をしばしば軽視して議論を進めてしまいがちです。長期的な視点からインド太平洋の現状を見据え、今後の日本とASEAN諸国との関係における展望と課題について考察すべきです。

冷戦終結後の1990年代から2000年代は、リベラルな価値や規範が優位に立つ、いわゆる「リベラル国際秩序」の時代でした。しかし、2010年代になると秩序の動揺が如実に見えるようになり、新型コロナウイルスの流行によってさらに秩序変容が推し進められました。このような流れを踏まえて、インド太平洋のなかの日本とASEAN諸国を位置づけて行きたいと思います。

リベラル国際秩序は3つの柱で支えられていたと考えられます。1つ目は、リベラル市場経済です。リベラル市場経済は、グローバル化の進展に寄与し、またグローバル化の進展に伴って加速し強化されていきました。

2つ目は、リベラルな価値・規範です。リベラル国際秩序の時代には、国際社会のスタンダードな政治体制として、また価値・規範として、多元的な民主主義や人権保護の概念が広まりました。

3つ目は、国際協調主義で、国際政治的な意味でのリベラリズムです。つまり、自国の利益を追及しつつも、他国と協調し、国際制度を用いてさまざまな問題に対峙すべきだという考え方が強化されました。このようなリベラル国際秩序を支えていたのは覇権国である米国であり、欧州や日本といった先進国もその指導的な立場にあったわけです。

東アジアにおけるリベラル国際秩序

このようななかで、東南アジアを含む東アジア地域は、冷戦時代にすでに始まっていた外資導入・輸出主導型の工業化を加速させ、リベラル市場経済の展開を利用してグローバル化の一翼を担うことで発展してきました。

かつて東アジアの国々の多くは権威主義体制であったことから、2007年に採択されたASEAN憲章で、ASEANの目的の中に民主化や人権保護が明記されたことは非常に画期的でした。1990年代から2000年代にはASEANの協力やその枠組み、組織としてのあり方が深化し、ASEAN地域フォーラム、ASEAN+3、東アジアサミットといったASEANを中心とする広域の地域制度が創設されました。このようにリベラル国際秩序は、東南アジアを含む東アジア地域においてその姿を顕在化させていったのです。

ところが、2000年代半ばから米国の覇権衰退によってリベラル国際秩序に動揺が見え始めます。ブッシュ政権の一国主義によるイラク戦争、さらには世界経済危機が欧米経済に大きな打撃を与え、中国をはじめとする新興国の発言力が増大したのです。

2010年代になると、リベラル国際秩序の動揺は一層顕在化します。中国および新興国の台頭がさらに顕著になり、中国の政治的かつ経済的プレゼンスが増大し、外交戦略も積極化しました。特に東シナ海や南シナ海における活動や海洋覇権獲得に向けた動きが活発化しました。

さらに、それまで諸外国から援助や支援を受けていた地域で、中国が一帯一路を通じた支援や投資、あるいはアジアインフラ投資銀行の設立といった、Win-Winの関係を築いていく姿勢を見せたことに多くの国が呼応し、中国の影響力が増していきました。

また、それまでは「経済発展と民主化はセットで考える」というのがリベラル国際秩序のなかでの1つの要諦でしたが、「民主化を切り離しても経済発展に影響はない」というモデルを中国が示したことで、国内での民主化が十分でない国々は中国モデルに従って経済発展を目指すようになりました。一方、環境・気候変動、格差拡大など、リベラル市場経済のある種の行き過ぎがもたらしたグローバルリスクも、2010年代に顕在化しました。

「インド太平洋」概念の登場と発展

「インド太平洋」という概念が登場したことは、実はリベラル国際秩序の動揺と非常に深い関係があります。既存の国際秩序のフォロワーであるとみなされていた中国がチャレンジャーとして活動を活発化させてきたことがその背景にあります。

海上活動の活発化、一帯一路の提唱、そして製造強国、技術覇権への意思の明確化がその例です。特に2015年に発表された「中国製造2025」は、製造大国から製造強国への転換を掲げ、単に大量の低廉な未熟練労働者の力を結集して競争の優位性を保つのではなく、中国自身が次世代情報技術産業の技術を開発して技術大国になるという意思を明確にしました。

また、国内の政治体制も、習近平氏の国家主席任期延長の決定、香港や台湾への対応、ウイグル人への人権侵害など、リベラル国際秩序のもとでの価値や規範に反することを公然と行うものとなりました。こうした中国の影響力増大を看過できなくなったことで、この「インド太平洋」概念が生まれたと考えられます。

もともと「インド太平洋」の発想は中国を牽制する色彩が非常に強いものでしたが、加えて、インドの経済発展と大国化も「インド太平洋」地域という戦略空間を定義する大きな背景になっているといえます。「インド太平洋」概念が急速に発展するのは2010年代であり、これはいわば秩序変容の副産物であったと考えられます。

米中対立のエスカレーションと日中・日ASEAN関係

すでにオバマ政権時から激化していた米中対立は、トランプ政権下で加速しています。かつては、米国は軍事と安全保障、中国は経済支援というように棲み分けがありましたが、その構成は2010年代から次第に崩れ、覇権争いが激化しているのが現在の状況です。

中国の台頭に加えて、米国の経済的な下支えが弱くなってきたこと、そしてリベラル国際秩序を支える存在としての米国の信用力の低下が米国の影響力を低下させています。トランプ政権下のアメリカ・ファースト政策やTPPからの離脱といった国際協調主義の軽視はもとより、国内でも多元的民主主義、人権保護の点において非常に深刻な分断を抱えています。米国は自身の行動や国内問題よって信用を落としているわけです。

2010年代は多くの地域構想や地域統合に向けた動きが活発化した時期でした。ASEAN共同体の発足、CPTPPの締結、そして中国による一帯一路構想の提唱など、さまざまな国のなかで米中対立に対応する動きが浮上してきた時代でもありました。

米中対立が高まり、かつリベラル国際秩序が非常に動揺しているなかで、ASEAN諸国も日本も、米中との距離の取り方や今後の秩序構築について一層苦慮する状況が続いています。

安倍政権の前期は対中牽制の色彩が非常に強く認識されていましたが、日中関係が改善するにしたがって「自由で開かれたインド太平洋」構想も変化してきました。政治のトップレベルでは関係改善の方向に向かってきたわけですが、中国の政治体制への不信感は日本国民の間でも高まっており、日中関係全体としては非常に複雑な構図となっています。

こうしたなか、2010年代に日本は日ASEAN関係を変化させたと思われます。それまではもっぱら経済協力に比重を置いていたものが、安全保障や防衛分野での協力にも重点を置くようになりました。2016年の日ASEAN防衛協力イニシアティブの表明やASEAN諸国の沿岸警備隊の能力向上支援など、これまでにはない形の協力が強化されました。

ASEAN諸国の外交的スタンス

ASEAN諸国の外交的スタンスは、バランス外交あるいは多方向戦略とも呼ばれ、どの大国とも良好な関係を維持しながら一定の距離を取り、自らの外交的自立性を確保するものです。ASEANというまとまりを活用しつつ、域外諸国を巻き込んで制度化を図り、そうした広域制度を利用してASEANの影響力を確保する戦略を取ってきたわけです。

しかし、これはASEAN諸国が各大国と良好な環境を保つことを各大国が了解し、大国同士の関係が一定程度安定的でなければいけないわけですが、今の米中関係はそうなっていません。ASEANが域外諸国と連携していく戦略では、大国側が加盟国のまとまりを尊重しなければいけないのですが、中国はASEANを分断し、自国に有利な方向に話を進めており、それがASEAN諸国にとっては頭痛の種となっています。

こうしたなかでもASEAN諸国は伝統的な外交的スタンスを維持しようと一生懸命やっているというのが私の見解です。中国からの無理な要求に対しては抵抗しながら粘り強い交渉を続け、中国だけに飲み込まれるというわけではない。米国に対しても米国側に寄るのでなく努力している姿勢を感じます。

ASEAN諸国は中国に対して経済的支援や投資に対しては期待があるものの、中国の急激な勢力拡大については懸念しています。しかし中国の影響力拡大は止められないという諦念に至っています。

米国に対しては、中国の牽制役として東南アジア、インド太平洋へのコミットメントを期待しつつ、過度な対中牽制がASEAN諸国にも影響を及ぼすのではないかという大きな懸念があります。また、米国の長期的なコミットメントについては不確実であるという諦念を抱いています。

日本に対しては、中国とはまた別の出資国あるいは経済協力の供給元として期待しており、一部のASEAN諸国は、中国を牽制するという意味で日本による安全保障協力を歓迎している節もあります。他方で、日本一国だけでは中国を牽制するには力不足であるといった諦念も抱いています。

新型コロナウイルスの流行による新常態の現出

新型コロナウイルスの流行によって、すでに顕在化していた秩序の不安定性がさらに深刻化したといえます。米中対立は激化し、中国やインドだけでなく、一部のASEAN諸国においても強権体制を強化する動きがさらに推し進められました。各国内で拡大していた経済格差も、コロナ禍によってさらに増大しています。

また、人の移動の制限に伴い、デジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に加速しました。これは今後われわれの生活、そしてASEAN諸国の人々の生活を大きく変えることになるでしょう。注目すべき動きとしては5G導入をめぐる状況です。東南アジアではファーウェイなどの中国企業の進出が目立ちますが、あえて中国企業を避ける動きも顕在化しています。

これはASEAN諸国それぞれが自分たちの利害・利益のあり方を検討し、さまざまな選択肢のなかから選ぼうとしているということです。大国の支配に飲み込まれないようにバランスを取りつつ、自分たちの自由度を確保しようという姿勢の表れであるといえます。

今後の日ASEAN関係のあり方

米中は覇権をめぐる対立をますます激化させています。しかしASEAN諸国は、米国には不信感は抱きつつも一定の役割を期待し、中国とは経済関係を重視しつつも、それに飲み込まれないように自立性の維持と利益の確保に努めています。

そういったなかで、日本とASEAN諸国は多くの課題を共有しています。1つ目は、米中それぞれとの距離の取り方や対中依存の相対化をどう図るかということ。2つ目は、コロナ危機を越えたビジネスの再開。3つ目は、南シナ海や東シナ海等の安全保障環境の安定化。4つ目は、自らの自立性を確保しうる、安定的かつ自由で開かれた地域秩序の構築。そして5つ目は、コロナ禍で深刻さが浮き彫りになった格差、公衆衛生のあり方、気候変動やエネルギーなどのグローバルリスクへの対応です。

このような共通課題に対応するためには、新たな地域ガバナンス体制の構築が重要です。日本とASEAN各国間の個別アプローチ、また多国間アプローチの併用、あるいはASEANを中心としたアーキテクチャの活用が必要だと思うわけです。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の内容を一層具体化し、その現実化に向けて取り組むべきです。民主化と人権は非常に難しい問題ですが、我々にとって望ましい秩序を構築するという観点からは、民主化や人権の保障強化をASEAN諸国に対して呼びかけていくことがとても重要でしょう。

コメント

コメンテータ:
日本は歴史的かつ長期的な視点を持ってASEANと向き合い、相手目線で考えていく必要があると思います。第2次世界大戦後は罪人の立場であった日本ですが、いまや安全保障も含めた穏健な支援者としての役割を果たすことを求められています。ASEANに対応し能動的に働きかける上で考慮すべきこととして次の3点についてご説明いただけますか。

1つ目は、ASEANの求心力と遠心力があるなかで、今後日本がASEAN諸国に対して取るべき個別アプローチと多国間アプローチにおける留意点。2つ目は、米国の理念・規範が薄れていくなかで日本が打ち出すべき理念や規範について。3つ目は、豪州、欧州、英国など米中以外の国との連携のあり方についてです。

スピーカー:
まず、個別アプローチと多国間アプローチについてです。ASEAN諸国はもともと非常に多様で、それぞれがさまざまな政治体制や問題を抱えていますが、同時に共通の問題も抱えているわけです。ですから、経済のみならず、ASEANとしてあらゆる面を統合することで力を維持しようと努めています。日本はASEANと、新型コロナウイルスの対応についても協力する枠組みを作っていますので、その協力関係を維持しつつ、各国の事情に鑑みて二国間でもそれぞれの国々にアプローチをかけていく必要があります。

ASEAN諸国も日本も、これからの安定と発展を考えていく上で、格差や環境・気候変動、エネルギーといったグローバルリスクの問題は避けて通れません。その取り組みにおいて日本はまだ多くのアセットを持っていますので、果たせる役割は大きいと思います。ASEANやその周辺地域を底上げするための大きなプロジェクトと、各国への個別のきめ細かい対応を組み合わせていくべきだと考えています。

理念や規範については、私見を述べると、日本では、報道の自由、言論の自由、参加型民主主義が担保された社会が望ましいと考えられていますし、そういった考え方はアジアにもかなり広まったと思います。やはりそこを妥協してはいけないと感じています。ただ、欧米と全く同様のアプローチをとれば反発を生むと思われ、慎重に行わなければなりません。

しかし、日本として絶対に譲れない、リベラル国際秩序のなかの政治的な価値や規範は絶対に守るべきであり、そこを明確にしたほうが長期的には良いのではないかと考えています。リベラルな市場経済一辺倒は良くありませんが、長期的なグローバルリスクへの対応を盛り込んだ新しい理念や規範の構築に日本も貢献すべきでしょう。

もちろんこれは日本が一国で行うことは無理ですから、米国、欧州、ASEAN諸国でそういったことに敏感な国々と連携を組み、新しい理念や規範を構築していくのが良いのではないかと思います。

中国の台頭については肌で感じていても、東南アジア諸国のイメージがまだ昔のまま固定化されてしまっているところがあります。ASEAN諸国はいまやグローバル経済の中の重要なプレイヤーでもあり、日本にとっても今後インド太平洋秩序をふさわしいものにしていく際に欠かすことのできないパートナーです。それを念頭に置き、ASEANの一体性を強化するべく、欧米諸国と連携した戦略や日本の行動が重要になってきます。

質疑応答

Q:

今後ASEANの指導国はシンガポールから、インドネシアに移っていくのでしょうか。

A:

もともとASEANの指導国はインドネシアでした。持続的な経済成長を遂げているシンガポールですが、小国で、冷戦時代は華人の割合が多かったこともあり、当時は中国共産党の影響力の浸透を非常に恐れていた東南アジア諸国からすると、シンガポールへの疑念が非常に強かったのです。シンガポールもそれを理解しており、外交的な戦略は非常に抑制的でしたので、ASEAN諸国の中で一番人口規模が大きいインドネシアが影響力を行使してきました。

ユドヨノ政権はASEAN内でリーダーシップを取ろうという意識が明確でしたが、今のジョコ・ウィドド政権の第1期目はその辺が非常に不明確で懸念されていました。インドネシアに指導力が移っているというよりは、かつての指導国であったインドネシアが存在力回復に向けた態度を取りつつあると私は見ています。

Q:

今後日本はどのような分野でASEANと組めばよいのでしょうか。公衆衛生、気候変動、エネルギー等について、かつての福田ドクトリンのような枠組みは必要でしょうか。また、米中対立でASEANが分断され、空中分解する可能性はないでしょうか。カンボジア、ラオスなど中国に接近する加盟国もあるなかで、ASEANとしての求心力とは何ですか。

A:

福田ドクトリンは1970年代後半に打ち出されたもので、1)日本の軍事大国化の否定、2)心と心の対話の樹立、3)ASEANの対等なパートナーとして、インドシナ諸国との架け橋としての役割も果たしつつ地域の安定と繁栄に寄与、を三本柱とする指針ですが、いまだに必ず日ASEAN関係の基本として援用されます。

今明らかに日ASEAN関係は以前より関係が相対的に水平化していますし、米中対立が激化し、かつグローバルリスクに関するさまざまな問題意識も存在する、ということを考えると、また福田ドクトリンのような新しい指針を非常に簡潔な形で出すタイミングではないかと思います。

ASEANの分断についてですが、ASEANは、事務局や憲章を備えている国際機構であり、ASEANの名のもとに協力を行ってきたという内実があります。よってそんなに簡単には瓦解しないと考えています。また、カンボジアとラオスについても、個別に見ると中国への対応は異なる部分があることにも留意が必要でしょう。カンボジアはフンセン体制のもとで急速に中国に接近している一方で、ラオスは力が弱い一方で、社会主義体制下の集団指導体制が機能していて、政府内に中国依存に慎重な意見も強いようです。

なにより、どのASEAN諸国も、今自分たちが持っているアセットの1つであるASEANの団結を簡単に手放して大国の支配に飲み込まれることはないのではないかと私は見ています。ASEANと各国政府との協力の積み重ねを実証的に見て判断すべきでしょう。カンボジアもラオスですら、結束を固めることの重要性への認識は持っているように見受けられます。ASEAN各国が自国が大国に飲み込まれないための1つの拠り所として、ASEANという存在を非常に重要だと考えているのは事実だと思います。

さらに言うと、ASEAN諸国の関係そのものがASEANなしでは安定しないのです。かつてはASEANが反共組織として機能する一方で、加盟国同士は対立する側面もありました。ASEANが果たしてきた東南アジア諸国間の関係安定化という役割は非常に重要です。彼らは隣国との関係も意識しています。中国や米国への対応だけが彼らの関心ではないのです。

Q:

5Gの問題も含め、EUとASEANの関係をどうご覧になりますか。

A:

米中関係が悪化しているなかでどのように均衡を保つかというと、日本や欧州との関係が重要になってきます。実際にシンガポールなどが導入している5Gの技術もエリクソンやノキアですし、欧州との協力は今後非常に進んでいくでしょう。引き続き注視していきたいと思っています。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。