基礎的財政収支黒字化目標はいつ達成するか:「中長期試算」を解剖する

開催日 2017年11月22日
スピーカー 土居 丈朗 (慶應義塾大学経済学部教授)
モデレータ 伊藤 新 (RIETI研究員)
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消費税率の10%への引上げに伴う増収分の使途変更に伴い、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標の達成が困難となった。他方、「経済・財政再生計画」における改革集中期間(2016-2018年度)後の我が国の財政運営については、来年検討される予定である。2018年度までに着手される社会保障改革を踏まえ、財政健全化目標の達成の見通しについて議論する。その際、内閣府「中長期試算」の子細が公開されていない点にも言及し、試算の裏側に肉薄する。

議事録

内閣府「中長期試算」の現状と問題点

土居丈朗写真安倍首相は9月25日、消費増税分の使途を変更すると表明しました。これに伴い、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が困難になることから、2018年の「骨太の方針」で、新たな黒字化の時期を意識しながら健全化目標を設定するとみられています。そこで、いつ目標達成するのかという問題関心をできるだけ皆さま方にも共有していただき、世の中に注意喚起していきたいと思っています。

その考察にあたり、内閣府が公表している「中長期の経済財政に関する試算」(以下、「中長期試算」)の数字が基礎となります。しかし、「中長期試算」は詳細なデータが公表されていないため、政策変更後の財政収支への影響を簡単には分析できません。まずは、私が知っている限りの公開データで「中長期試算」の数字に迫ってみようと思います。その意味で、副題を「解剖する」としています。

今年7月の「中長期試算」によると、2019年10月に消費税率を10%に引き上げても、2020年度のプライマリーバランス(PB)は8.2兆円の赤字で、黒字化は実現しません。さらに、10%引き上げ時の増収分を2兆円程度、歳出に振り向けることになるので、赤字幅は拡大するだろうといわれています。

「中長期試算」で2020年度に8.2兆円のPB赤字というのは、国が13.6兆円の赤字で、地方が5.5兆円の黒字という足し算でそうなっているのですが、問題は試算にその収支のデータしか公表されておらず、収入と支出のそれぞれを公表していない点です。そのことがいろいろと厄介なことを引き起こします。確かに内閣府では、国の一般会計と地方の普通会計の収入と支出は公表しています。しかし、これを単純に足せば先ほどのようになるかというと、全然そうではないのです。

私が一番厄介だと思っているのは、歳出の伸び方が現実的ではないことです。心理的に、収入がそれほど増えもしないのに支出がこんなに増えるなら、財政収支は改善できるわけがないといって諦めるようなことがありはしないかということです。8.2兆円という数字の裏側には当然、収入と支出があるのですが、消費税率を10%にしても8.2兆円の赤字が残っているということは、それだけ歳出が増えているわけで、これではPBの黒字化は無理だと思われてしまいます。

もう少し現実的な政策運営や改革をすれば、8.2兆円から大きく縮小するなら、財政健全化にちょっと頑張ってみようという感じになるのですが、頑張ってみようかという数字なのか、それとも絶望的に無理だから諦めるしかない数字なのかが分からないという点が、「中長期試算」の公表の仕方で難しい問題を引き起こしていると思います。

ですので、本当は内部資料を使えれば、私がここで言っていることが合っているか間違っているかと簡単に言えるのかもしれません。しかし、今回は内部情報を一切使っていません。ここでは、公表されているデータだけで、どこまで内閣府の試算の数字に迫れるかにチャレンジしています。

「中長期試算」を解剖する

私は、既に公表されているデータから、「中長期試算」の数字を極めて忠実に再現できるものを見つけました。それは、内閣府が公表している国民経済計算(SNA)の中にある「一般政府の部門別勘定」です。収支が「収入-支出」であることを意識するならば、IMFの政府財政統計マニュアル(GFS)に準拠した形で出している部門別勘定を使えば、解剖が相当進むことが分かりました。部門別勘定には純貸出・純借入が出ていて、そこから金利の受け払いを除けばPBが分かります。

ただ、問題は一般政府内で部門間移転があることです。中央政府と地方政府の間ではかなり多額のやりとりをしています。典型的なのは、国から地方への補助金です。こういうものが混じっていては駄目で、重複分を相殺しなければなりません。国と地方を合わせた支出と収入を出すには、ダブルカウントせずにそれぞれを算出することが必要なのです。

内閣府のSNAには中央政府と地方政府のどちらがどれだけ渡して、どれだけ受け取ったかという数字がきちんと載っているので、それを使って重複を相殺すれば、「中長期試算」とほとんど一致します。すると、8.2兆円の赤字という数字は、何の収入と何の支出を引き算することで出てきたかに迫ることができます。

上記の分析によると、2015年度のPBが15.6兆円の赤字(復旧・復興対策の経費および財源の金額を含んだベース)というのは、国と地方の重複を除いたベースで、税収等の112兆円からPB対象経費127.9兆円を引いたものです。ですので、大体100兆円オーダーの収入と支出を引き算していたことが分かります。

SNA-GFSの収入・支出のデータから中央政府と地方政府のPBを算出すると、15.6兆円の赤字というのは、中央政府の17.9兆円の赤字と地方政府の2.3兆円の黒字を合わせたものであり、中長期試算とはずれがあります。トータルでは一致していますが、国と地方の数字になると、ずれがあるようです。

さらに、内閣府の数字では、国と地方のトータルの収支と国の収支、地方の収支、国の一般会計の収支、地方の普通会計の収支という、5つのパーツが公表されています。それを見ると、国の一般会計以外、ないしは地方の普通会計以外がほとんど無視できるのであれば無視していいと思ったのですが、結構看過できない金額の収支となることが分かります。つまり、国、地方それぞれに特別会計などの「他会計」があるのです。そこも要チェックだと私は思いました。

加えて、国の一般会計の歳入・歳出における加除が微妙に食い違っていることも見付けました。というのは、内閣府が公表している数字によると、「PB対象経費」と「国債費」を合わせて歳出合計になるのは整合的です。それから、「税収等」と「歳出と税収等との差額」を足すと歳入合計になるはずなのですが、歳入合計と歳出合計が一致していないのです。

たとえば2015年度は、歳出合計が98.2兆円で、歳入合計が98.5兆円であり、決算段階では歳入合計の方が上回っていたことになります。収入と支出を足し算したら一致すると思っていたら、実は微妙に食い違うわけです。

しかも地方の普通会計の場合、実はPBの計算に残差のようなものが入り込んでいて、これを解剖しないと一体何年にPBが黒字になるのか分析できません。これはどういうことかというと、「税収等」と「歳出と税収等との差額」を足すと、歳出合計とほぼ一致しますが、PBの定義に基づいて「税収等」から公債費を除く歳出を引くと、「中長期試算」で公表しているPBの金額と食い違う。要するに、決算時に収入が超過した分(歳計剰余金)があるわけです。この点もつぶさに見ておく必要があります。

地方財政には実質収支や単年度収支とかという形でお釣りが出た場合、それを会計上差額として出す指標があります。しかし、上記の残額はこれらの収支の金額と合わなくて、結局は解明できていません。しかし、とにかくお釣り(収支黒字)があることだけは確実なので、このお釣り分をカウントしないと「中長期試算」での地方のPBと金額が合わないのです。

このように、「中長期試算」の数字とSNA-GFSの数字を比べると、収入側は税収とその他の収入に分かれて、税収ではSNA-GFSの方が金額が多いのですが、その他の収入はSNA-GFSの方が金額が少なく、直近ではその両者はほぼ同額となっています。ですから、この後の分析で2016年度以降の予測値を取るときに、一般会計・普通会計以外の「税収等」を考慮に入れなければならないほど金額は大きくありません。ところが支出側では、2015年度の実績値で6.1兆円という多額の支出が一般会計・普通会計以外からなされていると推測されるので、さすがに無視できません。この部分をきちんとカウントすることが2016年度以降の予測値を分析するに当たって求められます。

分析に当たって一番厄介な問題は、国から地方に渡す補助金などを含む財政移転の扱いです。この数字を的確に計算できないと、重複を排除することはできません。ところが、内閣府の「中長期試算」では、成長率や物価上昇率は分かっても、賃金上昇率が公表されていないので、国から地方への補助金額を予測する手だてがありません。ですので、将来の地方交付税や国庫支出金の額を無理に予測するのは断念し、重複が残ったままの「税収等」から重複が残ったままの「PB対象経費」を差し引いて、PBを計算する段階で重複を打ち消すことにしました。

そうして、「中長期試算」で公表されている2016年度以降の数字を見てみると、PB対象経費の中には、なお説明できない部分があります。国の一般会計と地方の普通会計の金額は公表されていますが、国と地方の「他会計」の金額と推測されます。この部分はどうやら支出側にあって、5兆〜6兆円規模の数字が2020年代にもずっと続きます。これは、内閣府の「中長期試算」数字とぴったり合うように算出されています。

それから、内閣府の「中長期試算」では国の一般会計の社会保障関係費は公表されているのですが、地方の扶助費など社会保障関係経費は公表されていないので、私が独自に推計し、国の社会保障関係費と同率で増加すると仮定しました。

やはり予測段階でも、先ほど地方の普通会計で示したような収入超過分は存在するらしいので、この部分もしっかり意識しながら計算しなければならないと思います。

消費増税の使途変更の影響

安倍首相は、消費増税分の使途変更で2兆円規模の新たな政策を実施することを表明しました。そのうち0.3兆円は経済界に出してもらう話(事業主拠出)もあるので1.7兆円規模になるとして、果たしてこの使途変更がどのような影響を及ぼすのかをみてみましょう。

当初予定の2015年10月に税率を8%から10%に消費増税したときに、増税初年度で増税分の税収が半年しか入らないので、単年度で増収が幾らになるかを示した財務省の試算を踏まえ、2019年10月に消費増税したときに2019年度の増収が約9.5兆円とすると、子ども子育ては消費税8%時に予定していた0.7兆円のままで、基礎年金も3.2兆円のまま、社会保障給付の引き上げが0.4兆円、社会保障の充実は1.1兆円となり、残りは4.1兆円です。新たな政策である教育無償化は1.7兆円の半分の0.9兆円で、残りの3.2兆円が借金返済に充てられます。

そうすると、2020年度は8.2兆円の赤字からさらに1.7兆円支出が増え、9.9兆円の赤字となり、なかなか難しい状況になってきます。

そこで、「中長期試算」の想定で、2019年度以降は新たな改革効果を織り込まないとすると、本当にそういう数字になるのかを分析してみました。増えもしない歳出におびえて、こんなに赤字が増えて大変だと言っているだけかもしれないので、もう少し裏付けを取ってみたのです。

私が以前、独自に医療・介護・年金の長期推計を行っていて、そこからデータを取って、「中長期試算」と比べてみたところ、社会保障費の伸びのうち、税財源で賄わなければならないとされる分を2017年度=1とし、2025年度までの額を指数化すると、実は「中長期試算」の方が大きく伸びていることが確認できました。2025年度時点で、「中長期試算」では1.25程度まで増えますが、私の推計では1.2程度しか増えません。

私の独自の長期推計では、既に織り込まれている改革や制度のみ、給付が物価や成長率や人口動態によって変わっていく部分のみを反映したものでも、これだけ社会保障費の伸びを抑えられることが分かるので、将来的に歳出が大きく増えて赤字が増えるというのは杞憂ではないかと考えられます。

医療改革による黒字化の見通し

以上の分析を踏まえ、ここから新たな改革効果がどのぐらい出て、PB黒字化はいつ実現できるかを分析してゆきます。まず、歳出抑制策として、地域医療構想と医療費適正化計画と外来医療の標準化という、3つの新たな改革を加味してみました。

地域医療構想は入院医療の改革が中心であり、単純化していえば、単価の高いベッドを減らして、より需要に合った高齢者向けの単価の低いベッドに置き換えるものです。これを進めると、2013年に135万床だった病床数が、地域医療構想を各都道府県で実行すれば、2025年には約119万床まで減らすことができ、入院医療費もその分減らせます。ただ、入院医療費をカットするためにベッドを減らしているわけではありません。そもそも患者が減るから入院医療の需要が減るのであり、そんなにベッドは要らないので、病院経営を安定化させるためにも病床数を減らした方がいいというのが地域医療構想の狙いです。

そこで、地域医療構想の実行によって医療費をどのくらい抑制できるのかを見るために、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分けて医療需要を指数化して試算してみました。すると、2025年は対2013年比で90%程度の入院医療費で済むことが見込まれることが分かりました。

それから、医療費適正化計画は来年度から始まるのですが、入院医療費が抑制されるだけでなく、外来医療において健診を強化したり、後発医薬品(ジェネリック)の使用を促進したり、重複・多剤投与を防いだりといったいろいろな適正化メニューを進めることで、まずは0.6兆円削ることができ、さらなる取り組みによって2023年度までには1兆円程度を抑制できると推計しています。

加えて、外来医療の標準化ですが、現在、外来医療には地域差の問題があります。年齢構成を調整した後の1人当たり外来医療費を見ると、都道府県によって大きな差があり、何か理由があるとしか考えられません。たとえば、アレルギー性鼻炎などに使用するネブライザーの医療費は、一番低い県と一番高い県と比べると約5倍も異なるということが実際に起こっており、外来医療を標準化する必要があります。

かかりつけ医を定着させることが外来医療の標準化の狙いの1つでもあるので、軽い病気でいきなり大病院に行くのではなく、近くのかかりつけ医にまずは診てもらい、その代わり医療を標準化する必要があると思います。

厚生労働省は、外来医療費について地域差の縮減とまでは言っていませんが、ある程度縮められたとして、どれぐらい医療費が減るかを試算してみると、2025年は対2015年比で95.5%まで抑制できることが分かりました。

これらを総合すると、社会保障費が「中長期試算」の見通しで2020年度に51兆円となるところから、私の長期推計並みの伸び率にすると21.2兆円減の49.8兆円程度にとどまります。そのうち、社会保障費の中の医療部分18兆円(2020年度)が、上記の医療改革によって1.6兆円減の16.4兆円に抑制されるので、計約2.8兆円の削減効果が生まれます。さらに2020年度に2.8兆円の削減効果は、2023年度には5兆円になります。

2017年7月の「中長期試算」では、2023年度の国と地方のPBは3.0兆円の赤字でした。それに消費増税の使途変更で1.7兆円赤字が増えると、PB赤字は4.7兆円となります。そこから、上記の改革効果で5兆円の歳出抑制が実現すれば、2023年度にはPBは黒字になる見通しとなります。2023年度には医療改革だけでもPBは黒字化するので、あとは介護保険など他の政策を変えれば、もしかしたら2022年度に黒字化できるかもしれません。医療改革だけ行えばよいというわけではありませんし、医療改革を他の改革より優先して行えと言いたいわけでもありません。他の改革もしっかりと取り組むことが重要です。

介護保険の改革には、そもそも介護給付に地域差があるので、まずは要介護認定を厳格化して、介護サービスの入口からきちんと適正化すれば、もう少し抑制できると思います。さらなる改革としては、2019年に年金の財政検証があるので、そこで何か追加策が出せるかもしれません。年金課税の強化も含めて可能かもしれませんし、年金とのタイアップで高齢者に対する生活保護給付の見直しもできるかもしれません。幾つか可能性があるので、さらなる収支改善は、ものすごく無理をしないとできないわけではないと考えています。

「骨太の方針2017」では、政府債務残高(対GDP比)の引き下げ目標が格上げされたという話もあります。しかし、政府債務残高は足元では上がってきているので、やはり根本はプライマリーバランスの黒字化に向けた取り組みをしないと、金利と成長率だけに頼って下がると言っていても、捕らぬ狸の皮算用になってしまうのではないかと思います。

質疑応答

Q:

後期高齢者の増加に伴い、疾病構造が変化することによる医療費の増加は、今回の推計にはまだ反映されていないのでしょうか。

A:

どういう疾病構造かまでは立ち至っていませんが、1人当たりの年齢階級・性別の医療費は、2012年当時のものと変わらないと仮定して推計しています。年齢階級別の1人当たり医療費は2025年まで同じだという計算になっているという意味で、疾病構造が変わらないと仮定しています。その上で、医療の高度化で診療報酬が年率1.9%上がることと、薬価が下がることを仮定して推計しています。

Q:

療養型病床廃止のインパクトについては、どのようにご覧になっていますか。

A:

療養病床の単価や介護報酬の単位がまだ決まっていないので、分析に反映できていません。ただ、医療・介護にかかる長期推計は、入院から在宅介護への移行までを含んだシミュレーションになっているので、その部分は反映されているといえるかもしれません。

Q:

国保の市町村単位から都道府県単位への移行に伴い、法定外拠出金3800億円はどうなっていくのでしょうか。それも今回の推計に入っているのでしょうか。

A:

国保の都道府県単位移行でどうなるかは、まだ予断を許さないところがあります。収支に関して都道府県がより責任を負うことになったので、しっかり保険料も取りながら、法定外の拠出をやめることになるのか、今の段階では見通せないと思います。

Q:

これは、デフレ脱却に成功するという前提の下での試算ですが、仮に2025年ごろまでデフレから脱却しないで金融緩和が続いた場合、プライマリーバランスの黒字化はどうなるのでしょうか。

A:

特段の社会保障費の抑制をしないとすれば、2025年でも2%の赤字が続くと想定されると思います。議論の立て方として、PB黒字化のために10%超の消費増税を行うという議論は今のご時世、なかなか難しいと私は思うので、歳出抑制だけで可能かどうかを確認するために今日のような議論をしてきました。その代わり、経済再生ケースを想定しないと当然PB黒字化はできません。

もう1つの議論の立て方としては、低い経済成長率を前提としつつも、歳出抑制には取り組み、もしそれよりも高い成長率が実現できれば、それで入ってきた自然増収分の全額をボーナスとして財政収支の健全化のために使い、プライマリーバランスを改善させていくという考え方です。

小泉内閣のときの「骨太の方針2006」でも、目標年次をいったん2011年と定めて歳出削減を図ったことがありました。それでも黒字化を達成するための要対応額が残り、その部分を増税で補うか、追加の歳出削減をするかで対応するとコミットしていたことがあったので、それに近いようなことを来年あたり、骨太の方針の中で定めて行うことがあるかもしれません。私は、あまり実現可能性は高くないと思いながらも、頑張ればできるのだから諦めるなというのが本当のところかなと思っています。

Q:

私も、中長期試算再現の作業を政策実務の現場したことがありますが、SNAベースの数字と、国の一般会計あるいは地方の普通会計との接合がうまくいかず、とても苦労した記憶があります。そこで、内閣府がやっている中長期試算的なものを作って、政策実務をしている者が気軽に操作できるものをオープンにし、アップデートを定期的にしていただけると助かるのですが、その点についてどうお考えでしょうか。

A:

非常に重要なポイントだと思います。どの政策を動かしたら、どうなるかというリンケージが分かるような形での復元や簡易版のモデルがあるといいと思います。内閣府が精緻に計算した結果が、より簡素で、政策とのリンケージがはっきり読み解けるようなモデル、ワークシートとして公表されることは、極めて重要と思います。今回の内容は、あいにくマクロ経済とのリンケージが全くないことだけは付け加えたいと思います。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。