2015年版中小企業白書及び小規模企業白書

開催日 2015年5月28日
スピーカー 水野 正人 (経済産業省中小企業庁事業環境部調査室長)/桜町 道雄 (経済産業省中小企業庁経営支援部小規模企業振興課長)
モデレータ 上野 透 (RIETI 国際・広報ディレクター(併)上席研究員)
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開催案内/講演概要

2015年版中小企業白書
第1部では、最近の中小企業・小規模事業者の動向についての分析に加え、より中長期的な観点から、中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化(企業の収益構造の変化等)について分析を行っています。
第1部の分析結果を踏まえた上で、第2部では、中小企業・小規模事業者が収益力を向上させる上で課題となる、「イノベーション・販路開拓」「人材の確保・育成」を取り上げました。イノベーション・販路開拓については、商圏が広い事業者ほど積極的に取り組んでいる実態がある一方で、商圏が狭い企業も、そうした取組を行うことで、利益を伸ばす可能性があることを示しています。人材については、中小企業・小規模事業者においても、研究開発、営業、IT等の分野の専門人材が不足していることを明らかにするとともに、地域ぐるみでそうした人材の確保・育成に取り組んでいる事例の紹介などを行っています。
第3部では、中小企業・小規模事業者が根ざす「地域」についても取りあげています。具体的には、地域資源の活用や地域社会の課題の解決を通じた地域活性化の取組について、豊富な事例で紹介しています。

2015年版小規模企業白書
小規模企業振興基本法に基づく第1回目の小規模企業白書です。
第1部では小規模事業者の構造分析を行っています。第1章では、小規模事業者の業種構成の分析や、従業者に占める親族の割合などを明らかにし、第2章では、より中長期的な観点から、小規模事業者の事業者数の推移、事業の好不調の時期などの経年的動向について分析を行っています。
第3章では、小規模事業者の販路開拓のための取組や、新しい働き方として注目されているフリーランスの実態について取り上げており、第4章では、小規模事業者の地域との関わり合いについて分析を行いました。 第2部では、時代の変化に翻弄されながらも地域とともに逞しく活動している様々な小規模事業者や支援機関の42の取組事例を紹介しています。

議事録

第1部 2014年度の中小企業・小規模事業者の動向

水野 正人写真水野氏:
我が国には、およそ386万者の企業がありますが、うち大企業はわずか0.3%の1.1万者、あとの99.7%は中小企業が占めています。中小企業の内訳として、小規模事業者は86.5%の334.3万者、中規模企業は13.2%の51.0万者となっています。売上高の比率をみると、大企業が56%、中小企業は44%という状況です。

従業員の割合は、全国では、大企業3割、中小企業7割となっています。これには地域的な違いがあり、三大都市圏でみると、大企業4割、中小企業6割、それ以外の地方では大企業15%、中小企業85%となっています。つまり地域の経済は、中小企業によって担われているといっても過言ではないでしょう。

我が国の景気は、個人消費などの内需が主導する形で回復してきましたが、2014年4-6月期以降は消費税率引き上げの影響もあり個人消費に弱さが見られ、GDP成長率は同年4-6月期、7-9月期の2期連続でマイナスとなりました。その後、輸出の伸びや個人消費の持ち直しから同年10-12月期にはプラスに転じています。中小企業の景況は2013年1-3月期以降、着実に改善を続けてきましたが、2014年4-6月期に悪化。その後は横ばいの時期もあったものの、足下では持ち直しの動きが見られます。

2013年以降、円安方向への動きを背景に国内石油製品価格は上昇。これに伴い中小企業・小規模事業者の原材料・仕入単価は上昇し、この間、売上単価・客単価も緩やかに上昇していたものの、原材料・仕入単価の上昇が利益を下押ししています。

2014年秋以降は、原油価格の下落に伴い、国内石油製品価格も下落。他方、中小企業・小規模事業者の採算は依然として厳しい状況であり、仕入単価の上昇を販売価格に転嫁できるよう、引き続き対策を講じていくことが重要です。政府では、昨年秋以降、3度にわたる価格転嫁対策パッケージを講じているところです。

次に80年代以降の変化を製造業を例にとって見てみたいと思います。従来、大企業と中小企業・小規模事業者との間に存在した相互依存関係の下、受託加工を事業の中心にしてきた中小企業・小規模事業者は、大企業が市場から獲得してきた需要の恩恵を享受してきました。しかし、グローバル化の進展などを背景に、大企業と中小企業・小規模事業者との間の相互依存関係は希薄化。これにより、中小企業・小規模事業者は自ら市場と向き合い、需要を獲得する必要に迫られています。

大企業と中小企業・小規模事業者の長期的な成長パターンを見ると、1980年代は共に成長していたものの90年代に変化が生じ、2000年代に入り両者は再び成長しています。しかしながら、同じ規模の企業同士の間で収益力に差が出てくるなど、状況の変化が見られます。

同じ規模の企業同士の収益力の差は、趨勢的に拡大。とりわけ小規模企業同士で差が開いており、低収益企業の収益力が低下する一方、高収益の小規模企業の収益率は、大企業をも凌いでいる状況です(同一規模内の売上高経常利益率が上位25%の企業を高収益企業、下位25%の企業を低収益企業と定義)。

「大企業と中小企業の構造的な競争力に関する調査」(2014年9月)をみると、収益力向上に向けた課題について、高収益企業、低収益企業とも「新規顧客・販売先の開拓」に強い意識を持つ一方、高収益企業は低収益企業と比べ「優秀な人材の確保、人材育成」「技術開発の拡大」を強く意識していることがわかります。

第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍

「イノベーション活動」は、比較的規模が大きく広域に事業を行う者の取り組みという印象が一般的に強いと思います。今後最も力を入れたい市場を「同一市町村」「同一都道府県」とする中小企業を地域需要志向型とし、「全国」「海外」とする中小企業を「広域需要志向型」として、それぞれのイノベーション実現に向けた活動状況を見ると、広域需要志向型企業の方が積極的に取り組んでいることがわかります。

具体的な取組内容を規模別に見てみると、中規模企業では小規模企業と比較して、「部署を越えた協働」や「中途採用による新しい空気の取り込み」など、組織や人材を活性化させる取り組みが活発に行われています。また需要志向別に見ると、広域で事業を営んでいる企業ほど、市場での差別化をするための研究・開発、社外との協働が増えるような取り組みなど、社外を意識した取り組みを活発に行っている様子がうかがわれます。

地域需要志向型であっても、イノベーションの実現に向けた活動に取り組んでいる企業は、取り組んでいない企業に比べて利益を伸ばしている傾向があります。地域需要を志向する企業もイノベーション活動に取り組み、生産性を向上させ、収益力を高めることに積極的に取り組んでいくべきだと考えられます。イノベーションに取り組む際の課題を見てみると、中規模企業では「人材」に関する課題、小規模事業者は「資金」に関する課題を挙げる割合が高くなっています。

イノベーション活動に取り組む上では、企業間の連携が大切です。企業連携による事業を成功させるには中核となる機能の存在が重要であり、単なる水平の連携ではなく、中核となる企業や事務局があることで全体を調整する役割を果たし、川下企業からの受注を獲得しやすい状況が生まれていると考えられます。今回の白書では、ゼネラルプロダクション社などいくつか事例を紹介しています。

中小企業・小規模事業者の販路開拓の取組状況を「既存市場」と「新規市場」に分けて見ると、製造業と卸売業は、新規市場の販路開拓に取り組んでいる企業の割合が他業種に比べて高くなっています。他方で、「販路開拓の取り組みなし」という回答が2~4割以上存在します。

市場の把握状況別に売上目標を達成した企業の割合を見ると、新規市場は既存市場と比較して総じて売上目標の達成状況は低く、中小企業・小規模事業者における新規市場開拓の難しさをうかがわせる結果となりました。他方で、市場のニーズ、商圏、市場の規模を把握していると回答した企業は、把握していないと回答した企業に比べて、目標の達成度合いが高くなっています。

新規市場開拓時の課題を見ると、売上目標を達成することができなかった企業では「人材」に関する課題が最も多く、次いで、情報収集・分析などの「マーケティング」に関する課題が多くなっています。人材が不足している企業の半数以上で外部人材を獲得できておらず、その理由として「コストに見合う効果が期待できない」を挙げる企業が多くみられました。

これからは、「よいもの」をつくるという発想から「売れるもの」をつくるという発想への転換が求められます。市場のニーズを取り入れ、デザインを活用するなど、ブランドを構築することで新たな販路開拓の可能性が広がります。国内市場のみならず、成長する海外市場を取り込んでいくことも地域の中小企業にとっては重要であり、販路開拓にあたっては、海外での展示会に出展するほか、直接海外の消費者にインターネット販売を行う方法もあります。

中小企業・小規模事業者の従業員の不足感は全国的に高まっており、質・量両面での「人材不足」に直面していることがうかがわれます。とくに販路開拓(営業)のための人材、研究開発・製造、IT関連、経営など、多岐にわたる中核人材の不足感が強い状況です。中小企業の「中核人材」の採用手段や供給源は、主としてハローワークや友人・知人の紹介など、事実上極めて限られていることが明らかになりました。

中小企業・小規模事業者における就業者の離職率(3年目)は、中途採用においては約3割、新卒採用においては約4割と高く、小規模事業者では新卒採用の過半数が3年以内に離職しています。

また、中核人材の育成に関する課題として、「指導・育成を行う能力がある人材の不足」が顕著です。人材の定着や育成に関しては、経営資源の限られる個社単位での取り組みに限界がある中、地域を挙げた人材の定着・育成を行う取組事例も見られます。

第3部 「地域」を考える -自らの変化と特性に向き合う-

1986年時点では、北海道を除く全国の多くの市町村において、雇用を担う中心産業(各市町村で最も従業者数が多い業種)は製造業でした。2012年時点では、製造業の従業者数の減少やサービス業・医療福祉の増加など、地域ごとに異なる社会構造変化により、地域の雇用を支える産業の多様化が進行しています。

地域活性化のためには、域内だけでなく域外の需要を取り込むことが重要です。そこで、地域固有の資源(地域資源)に注目する必要があります。未利用資源の活用事例として、北海道の落石ネイチャークルーズ協議会では、その地域に普通に存在していたものの世界的には希少な海鳥「エトピリカ」の繁殖地である海の可能性に着目し、漁船を使ったクルーズ事業を開始。今では年間乗客数が1000名近くに上り、海外からの旅行客も見られるようになっています。

経済産業省では、「地域経済分析システム」の開発を行い、2015年4月から供用を開始しました。このシステムは、公的統計や民間企業が保有する各種データ(企業間の取引データや携帯位置情報など)を活用し、地域経済における産業構造やヒト・モノの流れを、面的(空間的)かつ時系列に把握することを目的としています。

「地域経済分析システム」は、産業マップ、人口マップ、観光マップ、自治体比較マップの4つのマップから構成されています。これらのデータを組み合わせることで、産業政策にとどまらず、都道府県および市町村による「地方版総合戦略」の策定における活用も期待されます。

2015年版小規模企業白書について

桜町 道雄写真桜町氏:
「小規模企業」は、中小企業基本法(第2条第5項)および小規模企業振興基本法(第2条第1項)に基づいて作成されています。その第1回目にあたる2015年版小規模企業白書では、第1部として、小規模企業の実態をとらえることをねらいに構造分析を行いました。さらに第2部では、小規模企業の経営者あるいは従業員の方々が多くのヒントを得られるようにという思いで、42事例をまとめています。

小規模事業者の業種構成をみると、「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「建設業」「製造業」「生活関連サービス業・娯楽業」「不動産業、物品賃貸業」で8割を超えており、半数弱の小規模事業者が常用雇用者を雇わずに経営している状況です。

小規模事業者334万者のうち、312万者(93%)は小企業者(おおむね常時使用する従業員の数が5人以下の事業者)であり、個人事業者206万者のうち205万者(99%)、法人128万者のうち107万者(84%)は小企業者となっています。業種別に見ても、「電気・ガス・熱供給・水道業」など一部の業種を除くと、業種を問わずほとんどが小企業者といえます。

小規模事業者の従業者は親族依存度が高く、とくに個人事業者では7割弱が親族によって支えられています。手取り年収は、個人事業主で300万円までが6割強を占め、家族や親族全体の収入で家計を支えていることがわかります。

従業者(経営者を含む)の出身地は本社所在地と同じ市区町村、最終学歴は高等学校が多いという結果が出ています。経営者から見た従業員の評価については、会社や事業に貢献しているとする回答が9割を超えています。人材の採用方法は、知人からの紹介や個人的な勧誘とする回答が3割を占めています。

現経営者が事業の引き継ぎを躊躇する要因として、後継者の人生に配慮(厳しい経営環境下で事業を引き継ぐことへの躊躇)しているほか、事業を引き継いだ後の自らの収入・生活面での不安が際立っています。他方で、現経営者のうち半数超は先代を扶養しておらず、逆に2割は先代から資金援助を受けています。

施策情報の入手方法として、多くの小規模事業者は、顧客との会話、業界や地域の会合など、日頃のさまざまなコミュニケーションから経営や支援施策に関する情報を得ています。そのため国、自治体、商工会・商工会議所などの支援機関は、こうした日頃のさまざまなコミュニケーションの中に、施策などの情報を展開していくことが重要といえます。

我が国の事業者数および事業所数は、1986年までは増加傾向にありましたが、それ以降は減少に転じています。他方、現在事業を営んでいる小規模事業者のうち、1984年以前に設立された割合が5割弱を占めています。業種では「小売業」「製造業」が減少し、横ばいに推移している「サービス業」のシェアが拡大。サービス産業化が進んでいる状況です。

事業の好調・不調の要因については、マクロ的要因として多くの経営者が、経済の成長・停滞、消費者の購買意欲や販売単価の状況に左右されると考えています。今後、デフレから脱却して販売単価が上昇すれば、小規模企業の経営にもプラスの面が出てくるものと思われます。個社の要因では、ニーズに対応した商品・サービスを提供できているか否かが大きな要因となっています。

経営の好調・不調の時期における経営者の生計手段を比較すると、好調期に比べて不調期には、事業収入とそれ以外の収入を合わせて生計を立てている割合が約2割も増加しています。事業収入以外の収入内訳を見ると、経済全体の動向も厳しい不調期には、家族が他の会社で働いて得る給与や所有不動産の賃料も減少します。それに代わって生計手段の中で重要なウェイトを占める「年金」や「貯蓄の取り崩し」をはじめとした「セーフティネット」が重要といえます。

小規模事業者の未来に向けて、大きな課題として販路開拓が挙げられます。販路開拓のため「営業能力の高い人材の新規採用」に取り組んでいる事業者は、足下の売り上げも増加傾向にありますが、その数は比較的少数となっています。他方、多くの事業者が取り組んでいる「顧客への売り込み」などが売上増加につながっている割合は高くありません。

平成25年度補正予算で措置された「小規模事業者持続化補助金」の採択事業者アンケートによると、全体の約6割が同補助金の活用をきっかけに、初めて経営計画を作成したと回答しています。

経営計画作成後の事業者の意識面では、「自社の強み・弱みが明らかになった」「新たな事業を企画できた」とする回答が5割を超えたほか、「事業の見直しを行うきっかけとなった」が約4割になるなど、経営に向き合おうとする意識が生まれています。

新たな経営計画を作成した持続化補助金採択事業者に「新たな取引先や顧客の獲得状況」について尋ねたところ、約51%が「獲得した」と回答。「獲得する見込み」を含めると約97%の採択事業者が、新たな取引先や顧客を獲得すると回答しています。また「売り上げの増加状況」を尋ねたところ、35%が「増加した」と回答。「増加する見込み」も含めると約90%の採択事業者が、売り上げは増加すると回答しています。こうした経営計画の作成による「気づき」が、顧客への売り込みの精度を高めることにもつながると思います。

ソフトウェアの設計・開発(SE)、ウェブデザイン、ライティング、翻訳・通訳など、自らの持つ経験や技能をよりどころに、組織に属さず個人で活動する、いわゆる“フリーランス”も新しい働き方の一形態であり、小規模事業者でもあります。小規模事業者の外部人材の活用手段としても期待されるわけですが、フリーランスになる前の職業は中小企業の役員・正社員が過半数を占め、経験・技能や人脈を形成した40~50代が中心となっています。

フリーランスは、「自由度・裁量」「内容・やりがい」「生活との両立」について満足する傾向にあり、これらの回答が6割を超えています。他方、「社会的評価」「収入」については、満足する傾向が少ないことが示されています。

またフリーランスの弱みとして、事業を営む上で収入が不安定であることを不安・悩みとして抱える割合が最も多くなっています。一方、フリーランスを維持していきたいという回答は7割以上を占めています。フリーランスという生き方・働き方について、今後「とても広がると感じている」「広がると感じている」という回答は、合わせて約4割を占めました。

戦後70年となり、企業では2度目の大きな代替わりの時期を迎えています。現経営者の事業承継時の年齢別に事業承継後の業績推移を見ると、事業承継時の年齢が若いほど、承継後の業績は上向く傾向が見られます。また事業承継の際、経営革新に取り組む事業者の5割弱で業績が改善しています。

地域の人口減少は地域の需要衰退要因であり、小売業においては小規模店舗(商店街など)が大幅に減少しています。しかし、地域で小さな会社を起こし、地域課題・需要に対応しながら持続的な事業展開を行う事例も見られます。

地域住民が小規模事業者から購入している商品で多いものは、「日用品(食料品、日用品雑貨など)」が約14%と比較的高く、「衣料品」は3.4%、「家庭用耐久財(家電・家具など)」は4.7%と低いことがわかりました。地域住民が商店街にあまり行かない理由として、「魅力的な個店がない」が約48%、「価格が安くない」が約18%、「店舗に多様性がない」が約8%、「自宅からのアクセスが良くない・駐車場駐輪場が少ない」が約12%、「商店街全体の雰囲気が良くない」が約4%となっています。一方、小規模事業者が提供する商品・サービスの満足度では、「価格」や「品揃え」よりも「店員・社員の対応」、「人間関係」、「利便性(電話一本で対応してくれる人など)」について、満足度が高い傾向がうかがえます。

地域のリーダーには、「人望・カリスマ性」(26.4%)、「人的ネットワーク」(16.3%)などの素養が求められており、小規模事業者が担っている割合は高くなっています。小規模事業者(経営者、自営業など)は、地域のお祭りやイベントといった事業以外の活動でも地域に貢献し、地域住民もそうした小規模事業者の地域活動に一定の評価をしています。

質疑応答

Q:

今回の中小企業白書で、イノベーションというテーマを取り上げた背景について教えてください。

A:

需要や販路の開拓が重要になる中で、新たな取り組みがなければ、下りのエスカレーターのように業績が傾いてしまう恐れがあります。そこでイノベーションの必要性を取り上げることで、新商品を生みだすなど、収益にプラスの影響を及ぼす取り組みが広がればいいと考えています。

Q:

小規模事業者数が減少しているということですが、中小企業全体として、母数を増やすことでイノベーションを起こす可能性も高まると思います。そこで、開業を促進する施策があれば、教えてください。

A:

近年、減少した中小企業のほとんどが小規模事業者となっています。ご指摘の通り、開業は重要だと考えており、政府の成長戦略においても開業率を10%に引き上げることを目指しています。これは廃業率を上回り、米国と並ぶ高い水準です。また、昨年は産業競争力強化法を改正し、市町村と共に創業者を支援する枠組みを整備しました。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。