イオンのIT活用によるビジネス革新

開催日 2006年7月10日
スピーカー 縣 厚伸 (イオン株式会社常務執行役IT担当)
コメンテータ 濱邊 哲也 (経済産業省商務流通G流通・物流政策室長)
モデレータ 河津 司 (RIETI総務ディレクター)
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議事録

※講師のご意向により、掲載されている内容の引用・転載を禁じます

コメンテータ:
イオンはITを活用し、ビジネス革新を実現しているリーディングカンパニーです。また、常にグローバルな視点を取り入れ、ウォルマートやメトロ等の欧米の先進的流通業を意識した取り組みも進めています。

IT化は各社がばらばらに進めるのではなく、電子商取引等企業間でやり取りする商品コードやデータ項目は標準化する必要があります。これは政策課題でもありますが、イオンはこの標準化の必要性も強く認識しています。業界全体としても、競争関係にある企業間で情報システムの標準化作業が進んでいますが、これは非常にめずらしい事例です。経済産業省もこの標準化作業をユーザー主導の観点から支援しています。

本日はイオンがIT活用の取り組みでグローバルな視点をどのように取り入れたのか、業界全体で標準化に向けてどのような取り組みが進められているのかといった点をお伺いしたいと思います。

イオンの経営戦略

スピーカー:
イオンは2001年に「世界に通用する小売業を目指す」という「イオン2010年ビジョン」を打ち出し、コアビジネス領域を設定しました。世界に通用する小売業を実現するためにまずは経営改革に着手しました。2001年8月21日には社名をジャスコ(株)からイオン(株)へと変更し、業態や機能別に、ガバナンスとグループシナジーを十分発揮できるようにグループマネジメント改革を現在進めています。さらに2003年5月の株主総会で委員会等設置会社に移行し、透明性の高い企業経営の実現や、グローバルな基準や一般社会の価値観を取り入れた経営判断基準の実現を目指しています。

ビジネス改革とIT戦略構想

イオンはウォルマートやアホールド、カルフール、メトロ等グローバルリテーラーの動きに大きく注目しています。こうしたグローバルリテーラーは現在、全世界規模でM&Aを展開しています。タイ、マレーシア、香港等ではイオンが20年かけて実現した店舗数を3~5年で実現しています。こういった現象はいつ日本で起きてもおかしくないというのが基本的認識です。

イオンのコアビジネス領域でもあるGMS事業やSM事業、ドラッグ事業を主力事業とする企業はグローバルリテーラートップ10ランキングの中にも並んでいますが、これら上位企業に共通して見られるのは「Everyday Low Price(継続的低価格)」を実現している点です。この継続的低価格を実現するには「Everyday Low Cost(継続的低コスト)」が必要となります。グローバルリテーラーはグローバルな生産拠点から安いものを大量に買い付けているため、商品原価はイオンを含む日本の量販店と比較して圧倒的に低く抑えられています。販売管理費(2001年)を比較してみるとイオンで28%、ウォルマートで16%と総じて大きな差があります。今回イオンではグローバルリテーラーがどのようなビジネスプロセスやビジネスモデルで低コストの商品調達を実現しているかを調査しました。さらに業務の進め方に関連して、人件費の引き下げ等の効率化にITをどのように活用できるかも検討しました。

ITを活用したビジネス革新に取り組むにあたって、グローバルスタンダードの導入とグループシナジーの追求を方針に掲げました。グローバルスタンダードの導入については、グローバル企業のベストプラクティス獲得を目指しました。またグローバルベースでのB2B(企業間取引)活動も必須と認識しています。グループシナジーの追求については、イオンの経営戦略が大きく変わるなかでグループシナジーを発揮できるインフラ整備を目指しています。スケールメリット・機能集約による効果を実現するために、マーチャンダイジング(MD)、物流、IT、後方業務のシナジーを追求しています。さらにシナジーを実現することでベストプラクティスの交換や協力作業が促進されると考えています。

「ITは戦略に従う」

重要なのは「ITは戦略に従う」という考え方です。まずはビジネス戦略に基づいてMD戦略や物流戦略を決定する必要があります。その後、戦略を実施する組織・プロセスを検討する。ここで欧米型ベストプラクティスを採用することにしました。次に組織・プロセスを支えるシステムを構築する。システム面ではベストプラクティスに含まれているパッケージソフトを採用するアプローチがメインとなっています。

グローバル化の進展に伴い競争が激化するなかで、どのようなビジネスプロセスで商品原価を引き下げるのか、後方人件費を中心とした販売管理をどう改革するか、グループシナジーを発揮できるインフラをどう整備するか――こういった点がIT投資の課題となっています。

以上をまとめると次のようになります――イオンのビジョン「世界に通用する小売業」を実現するにはコアビジネス領域で「Everyday Low Cost」を実現する必要がある。商品原価を引き下げるために、海外開発商品を直接仕入れ、メーカーとの直接取引、プライベートブランド商品の開発等が可能となる業務プロセスを実現すること。
また、販売管理費を引き下げるために、店舗後方などの業務を効率化すること。
そしてこれらをグループとして活用できるインフラとして実現すること。

IT物流プロジェクトとBPRプロジェクト

イオンのITを活用したビジネス革新のプロジェクトとしてはIT物流プロジェクトとBPRプロジェクトを立ち上げ、構想策定、システム開発、導入・展開、活用とすすめてきました。

IT物流プロジェクトの取り組みテーマは、(1)自主マーチャンダイジングを可能とする自社物流ネットワークの構築と商品在庫情報のリアルタイム可視化、(2)計画を重視したマーチャンダイジングのプロセスの高度化と本部店舗間のコラボレーションの強化です。2001年の仙台のリージョナル・ディストリビューション・センター(RDC)を皮切りに全国各地に在庫型物流センターを設置して、2005年に全国のグループ店舗への供給体制整備が完了しました。2000年にアパレルから新しいマーチャンダイジングシステムが稼働し始め、グローサリー、ノンフーズ等への展開を完了しています。また、陳列計画、商品計画のパッケージも導入が完了しています。

BPRプロジェクトの主要な取り組みテーマは、(1)店舗のバックオフィス業務のオンライン化と集約化、(2)経理業務のグループ集約化と財務会計情報の一元化です。2001年から構想策定を行い、2002年から開発フェーズに入りました。2003年9月からR/3が稼働し始め、2006年2月時点では49社で稼働しています。また店舗後方業務をペーパレス化するための電子申請システムや新勤怠管理システムも2003年8月に稼動し、現在、GMS事業やSM事業へと展開しています。新給与システムは2004年12月、17社で同時に稼動し、現在、グループ各社へ展開中です。シェアード・サービス・センター(SSC)の展開としては、会計業務サポートセンター(ASC)と後方業務サポートセンター(BSC)をまずはイオン単体で立ち上げ、グループ各社からの業務受託を通して業務を拡大しています。

IT物流プロジェクトでは、オープン・データベース・マーチャンダイジング・システム(ODBMS)というシステムを導入しました。これは、計画重視の高度なマーチャンダイジングプロセスを実現できるように店舗の品揃えと在庫数量を管理するためのシステムです。またロジスティクスに関しては、物流センターの建物・設備は外部パートナーに運営を委託し、物流管理のシステム(ハード・ソフト)はイオンが整備し、ネットワークを通じて商品在庫管理システムと連携できるようになっています。この物流ネットワークを活用してグループの31社に商品を供給しています。卸を通さずイオンと直接取引を行うメーカーも64社にまで増加しました。

BPRプロジェクトでは、SAPのR/3を導入し、現在53社で稼働しています。こうしたシステムを活用して会計業務で26社、給与業務で6社の業務受託を行っています。総合量販店のジャスコでは、全店でシステムの入替を行った結果、紙ベースの後方業務がなくなったので、2001年度に平均18人であった後方人員は2004年上期時点で5.7人にまで削減されています(年間70~80億円のコスト削減)。また現在では20社18万3000人(立ち上げ時17社)の給与処理を新給与システムで行っています。

以上のようなシステムを通してイオンのプライベートブランド「トップバリュ」商品の売上高は5年間で2倍となり約2000億円に達するようになりました。メーカーとの直接取引による商品原価の削減は約4%を達成しています。マーチャンダイジングプロセスが高度化し、計画や在庫管理がしっかりとできるようになったことで、衣料品分野で在庫が前年比で約12%(2005年度2月期)減少し、荒利率が1.7%改善しました。店舗発注人時は従来の3割の時間で発注が終了するようになりました。欠品率も半分以下に抑えられ、後方人員も7割削減できています。決算数値の確定も当初15日程度かかっていたところ、現在では6日間で確定できています。

IT物流プロジェクトの取り組み

EDLC実現にはPB商品やメーカー直取を拡大し、海外開発商品を増加させる必要があります。そのためには計画販売、計画購買を可能にするプロセスが必須です。これは日本の従来型量販店では実現できません。日本のプロセスでは卸任せのマーチャンダイズしかできないからです。そこでパラダイムを転換して、本部が商品配分や補充パラメーターを設定し、店舗在庫もコントロールするようにしました。成功の鍵は本部の計画力と店舗の販売力です。さらに、生産コスト・リスク、流通在庫・物流コストは小売、メーカー、卸、物流業者で役割分担するようにしました。こちらの成功の鍵はコストのオープン化です。改革の取り組みを通して、社内サプライチェーンの可視化と売場実現力が強化されるようになりました。

開発商品の管理については、青島、上海、深センにグローバル・クロス・ドック(GXD)という集荷拠点を設け開発商品を集めています。ここから国内のリージョナル・ディストリビューションセンター(RDC)に直送しています。どの商品がどの段階に来ているのかをインターネット上で確認できるようにする仕組み作りも今年は8メーカーにまで拡大することを目指しています。

物流の出入、在庫の管理はウェアハウス・マネジメント・システム(WMS)でデータ管理しています。これは日々更新され物流センターの在庫が把握できるという仕組みです。店舗の商品管理としては2時間ごとに在庫更新を行っています。物流業務については物流予測システム、物流センター内の業務生産性管理の仕組み、輸配送管理システムが動いています。

昨年ビールメーカーが卸に小売の値上げにつながる提案を行った際にも、メーカーからRDCに直接商品を持ってきて店舗に運ぶ仕組みを活用したことで卸の倉庫を経由するコストを省き、従来の売価を維持することができました。

次に計画系についてお話します。マーチャンダイジング(MD)計画プロセスではArthur、スペース計画/カテゴリーマネージメントではINTACTIXというパッケージをそれぞれ採用しています。Arthurについては、たとえば、衣料品の全体予算をグループや部門に分けていき、最終的に店舗ごとの売上予算にするのですが、このプロセスは従来、一括管理できていませんでした。部門や担当者によって方法もばらばらでした。それをArthurという1つのシステムで管理することで、誰がどういう計画を立てているのかを上司や営業が把握できるようにしました。実績も明らかになるので、どれくらい計画から外れているのかも常時把握できるようになりました。Arthurは衣料品で大きな効果を発揮し、衣料品全体で1店当たりの平均在庫は5年間で3割削減できました。荒利も改善しました。

陳列計画について、ドライグロッサリーやHBC等の陳列台のある商品は、従来お店任せになっていました。現在は本部で各店舗の什器サイズやゴンドラ本数を登録し棚割を作成しています。店舗は本部が作成する陳列指図書通りに棚替えを実施します。これにより新製品の投入や売場変更が容易になりました。INTACTIXを使ったすべての店舗で同じようなオペレーションが可能となったのです。INTACTIXでは実績の評価も行っています。

店舗の商品発注業務も大きく変えました。従来は店舗で在庫を数え、過去の販売数量を勘案しながら発注量を決定していました。そこで、まずは本部がODBMSで最低在庫と最高在庫を設定し、推奨発注量を計算、店舗はそれを参考に発注量を調整するようにしました。これで作業時間は従来比の半分になりました。データ精度やスキルが向上し、店舗の信頼も高まってきたので、次に店舗側は追加するだけという自動補充に変えるようにしました。これで作業時間は従来の7割削減され、その分、売場作りや接客に注力できるようになっています。欠品についても半減しています。

新店舗システムNewton(New Workstyle on Totalized Operation Network Store-System)の導入で売場からのダイレクトインプットとペーパレス化が実現できました。IT物流系のシステム変更としては、最初にレジの総入れ替えを行い、次に売価管理の仕組みを変えました。時間帯別売上高や売上個数といった営業情報を扱うフロント・オフィス・サポート・システム(FOSS)も導入しました。BPR系ではAEON インフォメーション・リテール・システム(AIR)、勤怠管理システム、経費計上システムを導入してペーパレス化を実現しました。
これらの導入により、本部は全店舗の棚位置、売価変更、返品作業の進捗状況、全従業員の勤務実績を把握できるようになりました。店舗側では、自店の入荷予定や在庫計画、近隣店舗の現在在庫数を把握できるようになっています。本部の計画をシステムに組み込み、システムから送られる情報に基づき売場作業をし、結果は自動的に本部に報告されるという仕組みです。これを実現するうえで店舗内の無線環境は非常に有効な武器となりました。

ビジネスプロセス改革プロジェクトの取り組み

ビジネスプロセス改革プロジェクトとしては、バックオフィス総人時の減少と決算の早期化を目指して取り組みを進めています。2002年時点で214種あった店舗後方業務を廃止・移管・負担軽減することで73種まで減らしました。その方法はウェブベースでシステムにデータ入力し、上司承認も画面上で行うようにするというものです。新勤怠システムや電子申請システム、資材発注システムを導入しました。こうしたシステムを通して店舗後方業務は本部側で集中管理をできるようになります。

決算の早期化については、当初は決算確定まで連結で71日、単体で23日かかっていました。R/3の導入で単体決算は6日後確定まで短縮できています(2004年)。現在は単体決算5日後、連結決算9日後確定に向けて取り組んでいます。

現場活用教育の取り組み

これまではシステムや物流に力を入れてきましたが、店舗や商品部がシステムを十分理解していないことが、執行役による店舗巡回で明らかとなりました。ですので、現在は教育、人材活用に力を入れております。

質疑応答

Q:

トップバリュについてお伺いします。生産履歴情報を共有する場合、情報のアカウンタビリティが問題になると思います。取引企業との責任分担を定めても消費者への透明性が確保できない場合は第三者監査が必要となりますが、この点で日本独特の商取引慣行があると思います。情報に関する責任分担の仕方、システム間の責任分担の仕方、第三者監査についてどういった工夫をされましたか。

A:

悪戦苦闘中です。商品部は膨大な量の資料作成に根を上げつつあります。トップバリュはプライベート商品であるが故にわれわれの責任コストで管理する必要があります。標準化が進めばシステム開発も促進されると思いますが、まだ各社でやらざるを得ないのが現状です。安心・安全については入り口段階でメーカー各社の情報を取れるようなものは準備しています。

Q:

たとえばウォルマートは自前の物流センターを持っており、それが効率化やメーカーとの直接取引にもプラスにもなっていると思います。一方、日本では小売業者が物流センターを持つケースはまだまだ限られていますが、この障害は乗り越えられるでしょうか。あるいは日本では現状が続いても物流のIT化は効率向上に向け進むのでしょうか。米国ではレイディオ・フリークエンシー・アイデンティフィケーション(RFID)マイクロチップでの双方向管理に着手していると聞きますが、イオンではこの点に取り組まれていますか。

A:

イオンの場合、建物・設備を自前で準備することでは変化に対応できません。既存の物流業者の倉庫であれば、われわれはシステムさえ持ち込めばすぐに使えるので、必ずしも自己所有にする必要はないと思います。加えて、サードベンダーとはコストオープンで取り組みを進めています。われわれ自身もセンター効率を上げることでセンターコストを下げる、ベンダー側も同様の目的で同様の取り組みを進める、という体制です。
RFIDについては、経済産業省等が提供する場での実験に参加しています。パレットやコンテナ等に取り付ける分にはそれなりの効果があると思いますが、どこまで実用化できるかは現時点では分かりません。

Q:

1つ目に、システムを導入するには業務プロセスを見直す必要があると思いますが、その際、商慣行の問題はどのように整理されましたか。2つ目に、小売りでは個人の消費の情報をメーカー以上に把握していかないと需要の予測力や店舗の販売力を高めることができないと思います。個人情報に踏み込む情報についてどのようにお考えですか。3つ目に、イオンの事例のような先進的取り組みはどのようにすれば川上まで流せるでしょうか。イオンでは川上に展開するなかでどのようなビジネスチャンスを見いだされましたか。

A:

商慣習についての質問からお答えします。メーカーとの直接取引の件数が少なかったので、トップとのやり取りを含め意志を確認した上で障害を特定し、障害をどのように取り除けるのかを検討する、ということはありました。これは今後も続くと思います。メーカーは卸と交渉しながら、小売りのバイヤーとは卸に収める値段の交渉とリベートの交渉をしています。何の要因で何が下がるのかを把握していない状況で交渉しているので、慣行を破るためにお互いどのように条件を合わせていくのかを考える必要があります。
個人情報については、イオンでは昨年から新システムを導入して全店のレシート情報を1時間ごとに吸い上げています。そのレシート情報を子会社のイオンクレジットサービスに送り、個人情報を秘匿したカード会員情報(性別・年齢等)と購買商品の関連の分析ができる体制にはなっています。ただし現状では、センターでの出庫を予測するための需要予測を立てるレベルには達していません。
川上については、イオンとNBメーカーがタイアップして川上にどうこうする程イオンのシェアは高くありません。日本ではメーカーに比べ小売りの規模はまだまだ小さいのが現状です。

Q:

商品部が売場に陳列方法等を一括指示ということでしたが、ダイエー等ではセントラルマーケティングから地域性重視の店舗管理法に変わりつつあるようです。商品部による一括システム管理と、店舗ごとに異なる傾向への対応――この2つのバランスはどのように保たれていますか。また、食料品等の予測が立てにくい商品でもMD計画は可能ですか。

A:

従来お店には自店の特徴を調べるような余裕はありませんでした。そこに発注時間が3割で済むようになって、個店対応の余裕が生まれたわけです。自店情報が本部でどのように登録されているかを端末で分かるようにした結果、お店からは「この商品はもっと売れるのでマックス値を上げてくれ」といった要望を受けるようになりました。基本は本部サイドで決定しますが、個店の作業を減らすことで個店がフィードバックしやすい体制にはなっています。全部店任せにすると業務内容によっては店舗間格差が発生する状況も生まれます。今後の課題としても「イオングローカル」(グローバル+ローカル)を目指しているので、ローカルのためのシステムやプロセスの開発はさらに進める必要があると認識しています。
今回お話した商品管理に生鮮分野は入っていません。ここは、個店の販売実績に基づく計画を立て仕入れを行うという従来の日本型、あるいはイオン流の仕組みで動いています。

Q:

IT導入に関して現場での教育が重要とのことでしたが、店舗での発注担当者の数は限られています。こうした限られた人材を対象に教育をしているのですか。

A:

従来、システム変更時に行われていた教育とはつまりは機械の操作説明でした。今回のシステム変更では、段階的に導入されるシステムの全体を見たうえで目的に応じた使い方にマニュアルを組み替えています。利用説明・活用説明を行ったのです。従来「How」しか教えていなかったところを「Why」、「What」から始めることにしたということです。
今回のプロジェクトでは人材をどう有効に戦力化できるかが大きなテーマとなりました。イオンではコミュニティ社員(パートタイマー)でも発注業務や売価管理業務を行います。マネジャーにはこうしたコミュニティ社員への教え方を教えています。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。