排出量取引をめぐる内外最新情勢

開催日 2005年12月5日
スピーカー 片桐 誠 (ナットソース・ジャパン(株) 代表取締役社長)
モデレータ 田辺 靖雄 (RIETI副所長)
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議事録

私どもナットソース・ジャパンは、官民の抱える環境やエネルギーのリスクをヘッジする手段に対するニーズの高まりを睨み、日本の主要の14社が集まって2001年に設立した会社です。お客様がこの分野で抱えるさまざまな問題を的確に把握して、その問題の解決に向けたイノベーションとソリューションをご提供しよういうものです。

京都メカニズム

地球温暖化問題は21世紀において「人類が自然環境と共存を図りつつ、如何に持続的な発展を維持していくか」を考える上で最大のテーマです。1997年12月に京都で開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第3回締約国会議(COP3)で採択された京都議定書は、大気中の温室効果ガスの濃度を如何に安定化させていくかを具体的に提示し、地球温暖化を防ぐ為、人類が初めて設定した世界共通の指針であります。

この議定書で、地球規模での温室効果ガスの排出削減目標を設定したということは非常に特徴的です。対象ガスはCO2、CH4、メタン、一酸化二窒素およびフロン系ガスです。これらのガスの削減目標を先進国毎に設定し、各国の削減を促し、大気中の温室効果ガス濃度の安定化を図ることが議定書の目的とするところです。その後、米国が離脱しロシアも態度を留保するなど京都議定書が果たして発効するのか疑わしい時期が続きましたが、最終的にロシアが批准し、京都議定書は2005年の2月16日に発効しました。

議定書上の各国の削減目標ですが、ロシア等市場経済移行国につきましては90年比0%、日本とカナダは-6%、EUは-8%、米国は(最終的に批准はしませんでしたが、採択の際は)7%の削減という数値が掲げられています。そして、この京都議定書の中で非常に新しい取り組みというものが京都メカニズムです。目標値をもった国は独自の国内削減プログラムを設定し、目標の達成に向け努力することが求められていますが、補完的仕組みとして国際的な協調によって削減目標を達成するという市場原理を活用して排出量を削減するメカニズムが認められました。これが京都メカニズムです。具体的には共同実施(JI)、クリーン開発メカニズム(CDM)、国際排出量取引(International Emissions Trading)3つの仕組みがあります。

JIは排出削減目標値を持つ国同士の事業のことで、たとえばロシアに於て日本企業が排出削減プロジェクトを実施した場合に、そのプロジェクトで創出された排出削減量を両者で分け合おうという仕組みです。

一方CDMは目標値が設定されていない途上国における削減活動です。議定書の枠組みの中に途上国を入れるということで非常に意義があり、この実行により途上国に資金と技術の移転が進むと思われます。具体的には目標値を持つ先進国の企業が途上国における温室効果ガス削減プロジェクトに技術なり資金を提供し、代わりに削減分のクレジットを受け取って自からの削減目標達成のために使うという形態のスキームです。

国際排出量取引につきましては、排出枠の取引です。初期割当量以上の削減ができる国乃至企業は、目標値以上に排出する先に、排出枠を移転することができるという仕組みです。

京都議定書目標達成計画

日本の削減目標は-6%ですが、2004年までに7.4%増えてしまい、6%削減どころかこれから13.4%減らさなくてはなりません。これは非常に大変なことです。そういう中で日本政府は、まずは官民の自主的な努力によって何とか減らしていこう、結果を見て次の施策を構築していこうというステップ・バイ・ステップ方式を採用し、削減目標を達成しようとしています。2005年度からは京都議定書目標達成計画が実施されています。

目標達成計画の基本姿勢は、世界をリードする環境先進国を目指すということと、環境と経済の両立です。これはまさに私どもナットソースも目指しているところです。京都メカニズムを活用して皆様の抱えているリスクを軽減する機会を提供しようと日々努力しております。

計画の実行にともない、情報公開の制度や、個別の産業部門、民生部門に対する新しい制度・施策が導入されてきています。国内排出量取引の試行事業、政府による京都メカニズムの活用は来年から始まるようです。温暖化対策推進法も改訂され、2006年度から施行されます。また、京都議定書上どうしても実施せねばならないのが削減目標達成の為の国別報告書の作成で、2006年の9月1日までに日本政府としてどういう形でどういうふうに削減を実行していくのかを記載した報告書が提出される予定です。

次に削減コストを見てみます。ラフにCO2を1トンを減らすのに大体どのくらいのコストがかかるのか、これは排出主体の特性によってかなり違いますが、平均して日本では110ドル前後、欧州では80ドル、米国では50ドル強と言われています。日本は1970年代のオイルショックもあり省エネを一所懸命推進した結果、既に世界に名だたる省エネ大国であります。そうした中でCO2の排出を1トンでも減らすのは本当に大変で、既存の技術だけでCO2排出を削減することは非常に難しいのです。このような背景がある為、日本の国際競争力維持の観点からも京都メカニズムを使って削減コストを減らしていくことは現実的且つ経済合理性のある選択肢かと存じます。

さて、民間の中心的な動きは日本経団連の環境自主行動計画に代表されます。自主行動計画が対象とする国内産業界のCO2排出は、日本全体の排出量の約45%を占めており、産業部門およびエネルギー転換部門のCO2排出量の82%をカバーしています。この計画に参加している産業界全体の2004年度のCO2排出量は2003年度とほぼ同じ5億200万トンで、90年比-0.5%という数字が出ています。民間企業による積極的なCO2削減努力がこの数字から読み取れます。但しこのままBusiness as Usualで推移すると、2010年には6%近く増加すると予想されており、更なる努力が求められています。

活発な欧州のマーケット

欧州の排出量取引制度は2005年の1月からスタートしました。EUの25カ国を対象とした世界初の多国間取引市場です。エネルギー、金属、鉄鋼、セラミックなど非常に多くの業界が対象とされています。第1期間は2005~2007年で、対象となる温室効果ガスはCO2のみでスタートしました。第2期間以降他の温室効果ガスが含まれる可能性があります。

取引方法についてご説明しましょう。加盟各国が設定する、国内対象施設の排出総枠を元に、各国は国内施設への排出枠の割り当てを行いました。各施設は経済活動を推進しつつCO2排出量がこの枠内に収まるように努力します。排出枠を下回る排出量に抑えられた企業は、余剰排出枠を他企業に販売できることができます。罰則は2005~2007年の第1期間がトン当り40ユーロ、第2期間は100ユーロ。しかしこの罰則だけで済むわけでなく、足りなかった分を次の期間の割当量から減らされることになります。

この制度の下での排出枠は、アローワンス単位で取引されています。1トン分のCO2を削減すると1アローワンスとなります。アローワンスは京都議定書上のCDMとかJIから生じるクレジットでも代替できます。CDMにより創出されるCERについては2005年から、JIから出てくるERUは2008年から使用することができます。

EUの制度が京都議定書の発効前にスタートしたことからも判るように、EUは京都議定書をリードしていこうという強い意思を有しており、京都の市場に先駆けて動くことによって、先行者利益を享受しようというしたたかな目論見も感じられました。 BIS規制への対応が遅れた日本の金融界がその後に背負った深い苦しみを繰り返さない為にも、私どもはこのグローバル・スタンダードに乗り遅れず、そして負けないように動かなければいけないと常々感じております。

日本のマーケット~売り手と買い手

日本には法的に裏打ちされたEUのような施設毎への排出枠の割当制度はありません。しかしCDMを中心とする京都メカニズムの活用に関する記事が連日新聞紙上を賑わしています。
買い手は、気候変動問題へのリーダーシップと先行利潤の期待、経団連自主行動計画への達成のツール、将来の排出削減コスト上昇に対するリスクヘッジ、それから将来課される可能性のある規制の遵守目的への早期対策、調査目的等さまざまな動機により取り組みを開始しています。

一方、売り手の動機としては、今まで価値のなかったCO2削減が新たな収益源になる可能性、それからプロジェクトの収益改善のテコとしての活用、売却益の確保といった点が挙げられます。

現在、さまざまな種類のクレジットが取引されていますが、次第に京都議定書上有効なクレジットに集約されてきています。その前段階としてVER(Verified Emissions Reductions)と呼ばれる第三者認証を伴った排出削減量も多く取引されています。これは将来的には議定書で使えるクレジットに代替できる可能性を秘めていますが、それを保証したものではありません。

取引形態としては、将来創出されるであろうクレジットの先渡し取引が中心です。但し、売り手が将来的な受け渡し量を保証するのか、受け渡しがなされなかった場合に買い手は代金を支払わなくていいということだけなのか、それとも売り手が不足分を代替クレジットで補填する義務を持つのか、こうした売買条件によってクレジット価格は異なってきます。

先渡し取引の他には、現物(Spot)/オプション/スワップがあります。たとえばコール・オプションは将来ある価格で購入する権利を確保する取引です。またスワップは、たとえば2006年のクレジットと2008年ものを交換するというようなビンテージ(Vintage)の交換や異なった枠組/制度上のクレジットの交換です。

クレジットの価格と市場規模

排出量取引にはさまざまなリスクが内在します。
CDM化に関するリスク、ホスト国のカントリ-リスク、制度リスク、操業に関するリスク、事業者の信用リスクといったものです。価格の変動のリスクもありますが、これはなかなかヘッジができません。一概にクレジットと言っても一物一価ではなく、その起源によりリスク・ファクターが異なり、その違いが価格に反映されていくのです。

即ち、各種クレジットの価格は、マーケット状況とクレジットの種類、リスクの大きさによって千差万別です。たとえばCDMのクレジットであるCERはEU取引市場の枠内でアローワンスの代替が既に可能ですが、正規のCERとなる為には最終的にCDM理事会で認証される必要があります。そのコストと時間、認められないリスク、カントリーリスク、フィナンシャルなリスク、ホスト国による京都議定書離脱のリスク等があり、プロジェクトの内容によってCER価格が異なってきます。EUのアローワンスはその価値が均一で、既に流動性のあるマーケットと位置づけられるようになり、誰が保有しても1アローワンスは1アローワンスである訳ですのでCERとの価格差がでてくるのです。

EUETS(EU排出量取引制度)での取引価格ですが、制度が始まる2年ほど前から先渡しで取引が行われており、2003年頃は1アローワンス当り大体5ユーロぐらいで落ち着いていたのですが、2004年初頭には13ユーロ台をつけ、その後アローワンスの総量と国別の割り当てが明らかになるにつれて次第に下がり、2005年の初頭には7ユーロ前後まで下落しました。しかし、2005年2月頃から価格は右肩上がりに上昇し、7月11日には30ユーロに近いところまで急騰しました。その後数日で20ユーロ近くまで落ち込み、この12月初旬は22~23ユーロ前後で推移しています。

価格の変動要因としては(1)国別割当計画の動向(2)大規模排出者の動き等市場の需給状況(3)天然ガス価格(4)投機資金の影響、等が考えられます。一方取引量を見てみますと、2003年~2004年は1日数万アローワンスの取引程度でしたが、現在では日によってばらつきはあるものの概ね1日当り100万アローワンスを挟んだ量が取引されています。

さて、欧州とは離れ世界の市場に目を向けますと、プロジェクトベースのクレジットの取引が主流となっています。ここ数年、取引量は着実に拡大しており、私どもナットソースの調査によると今年は6月までの段階で2004年1年間の1億700万トンを軽くオーバーして1億5900万トンに達したと推定されます。買い主は、京都議定書の遵守目的に使えるクレジットへの志向が強くなっています。

日本企業による温暖化対策

クレジットの調達手段として(1)CDMプロジェクトへの参加(2)ファンドへの参画(3)取引による調達、の3つがあります。中でもファンドを通じた調達は日本でも大変ポピュラーになってきています。数百万トン以上必要とされる企業は幾つかのファンドに参加され、ポートフォリオを組まれていることもあります。数万から数十万トンの規模の需要を持つ企業の一部も調達を検討乃至開始されていますが、ホスト国側はファンド等の大口顧客を優先する傾向にありますので、個別取引は若干難しくなってきているというのが実態です。

(1)のCDMプロジェクトへの直接参加ですが、経済産業省や環境省でFS(フィージビリティ・スタディ)の為の補助金が用意され、商社・エンジニアリング会社等多くの企業が検討を始められています。日本政府の承認済み案件はこの11月末現在27件であり、これら全ての案件が実施された暁には年間2400万トンの削減が生まれる予定です。温暖化係数が大きなフロン系ガスの削減案件については、初期投資が小さい割に創出されるクレジット量が大きい為、韓国、中国、インド等に於て先進国企業による案件の争奪戦が繰り広げられています。

(2)のファンドへの参画についてお話ししましょう。世界銀行はPCF(世銀炭素基金)を200年初頭に設立して以来、CDCF(コミュニティ開発炭素基金)、BioCF(バイオ・カーボン・ファンド)と矢継ぎ早に炭素ファンドを世に送り出してきています。それぞれ若干性格が違います。CDCFは小さな途上国での小さなプロジェクトからの排出権を確保しつつ地域コミュニティへの貢献もしていこうというファンドです。BioCFは、どちらかというと民間が単独では手をだしにくいバイオ系のプロジェクトを中心とする炭素ファンドです。

炭素市場の育成で世銀が果たしてきた役割は非常に大きいものがありますが、民間も次第にノウハウを実に付け、ファンドの運営も順次民間の手に移ってきています。ナットソースも、グリーンハウスガス・クレジット・アグリゲーション・プール(Greenhouse Gas Credits Aggregation Pool, 正確にはファンドとは異なり共同買付の仕組みとなっています)をこの9月末にクローズしました。単一では世界最大のプールで、参加者からのコミットメント総額は5億5000万ドルを超えております。世界の26社が参加されており、日本からは9社、欧州、それからカナダから参加がありました。また、JBIC、DBJ、電力会社、商社が中心となってJGRF(日本温暖化ガス削減基金)も設立され、そのファンド規模は約1億4000万ドルとなって活動されています。

この様に企業、業界によって排出権のとらえ方・対応の仕方には違いがありますが、排出権に対するニーズが着実に高まってきているということは否定できません。更にリスクヘッジにとどまらず新たなビジネスチャンスとしてとらえ始めている企業も増えてきており、emergingな排出権市場が次第に成長・拡大していることを肌で感じる毎日です。

質疑応答

Q:

国連の認定基準が非常に厳しいというふうに承っていますが、この認定基準がどういうような基準で認定されていて、それが将来どういうふうに変化をしていくのでしょうか。

A:

一番の問題となるのは、追加性の証明で、当該削減プロジェクトが、CDMとして認定される可能性があるからこそ実施するのか、経済性があるのでビジネス・アズ・ユージュアルでも実施していたのではないかという疑問に論理的に答える必要があります。たとえばHFC23はフロンの代替であるHCFC22を製造する過程で発生するガスですが、経済価値を見出せないガスですので中国とか韓国ではそのまま大気に放出されています。従って通常このガスを回収・償却するプロセスを加えることは政府による規制措置がない限りビジネス・アズ・ユージュアルでは起こり得ないと説明付けることができるのです。一方で省エネというのは「これは経済合理性があり、例えCDMと認定されなくとも企業の利潤拡大の為に実施するのではないでしょうか?」という議論に反論することが難しいのです。こういうことではCO2に代表される温室効果ガスを削減するインセンティブやメリットを見つけ出すのに苦労し、CDM認定が確かとは言えない状況では社内的にも案件を実施する承認の取得が難しくなってしまいます。CDM認定基準がもう少し簡素化されれば世の中で排出削減プロジェクトがもっと実行に移され、大気中の温室効果ガスを更に減らすことができるのではないかと考えております。個人的には、今のCDMの認定基準が厳し過ぎるという感を持っています。

Q:

日本企業の行動というか、需要みたいなものを教えて頂けますか。また、欧州においてCDMをアローアンスの代わりに使えるということですが、その状況も分かる範囲でお教えいただければありがたいと思います。

A:

この数カ月、特に本年2月に京都議定書が発効した後にクレジットに対する需要・興味が非常に高くなってきているということを実感しています。私どもナットソース・グループが立ち上げましたGG-CAPですが、実は欧州企業に比べ日本企業の方が反応は早かったのです。2月に第1次の締め切りをした際は、コミットメント総額の約80%が日本企業でした。最終的にはファンド規模が600億円を越すことになり、その中で60%前後が欧州になりました。欧州はかなりこういうした取り組みに慣れていますが、そういう中で、日本も乗り遅れないように一所懸命努力している状況であると思います。

Q:

ロシアのホットエアーというのはさまざまな意味で大きなかく乱要因になる可能性があり、取り込もうと思えばどの程度具体的にあるのかというきちっとした計測がいると思います。ナットソースとしてはこのホットエアーをどのように認識しており、どんな形で取り組もうとしておられるのか伺いたいと思います。

A:

個人的見解ではありますが、ロシアのホットエアーは現時点で民間として取り組むにはあまりにもリスクが大きいような気がします。インベントリーやモニタリングの制度がきちっととワークするのか、一体誰が責任を持って運営していくのか、私どもも各方面で調査をしておりますが、確実なところは見えてきません。ただでさえCDM/JIはリスクがあると思われる中で、ロシアのホットエアーはハイリスクなクレジットであると思われます。私どももロシアからのクレジット調達のお手伝いはできますが、まずは政府間で大きな枠組みを構築して頂ければ有難いと存じます。

Q:

削減コストの比較で、アメリカと日本の差、何でこんなにコストが違うのかということを、もう少し詳しくご説明いただければと思います。

A:

端的に申し上げますと、アメリカはあまり削減努力をしていないということです。一方で日本は、それこそエネルギーの自前化は不可能ですので、これ以上できないというほどの省エネを進めてきた訳で、自ずと限界削減コストが大きくなってしまいます。欧州はその中間です。

Q:

排出量取引はなかなかビジネスの内容が見えにくい内容なので分かりにくいのですが、御社のビジネス内容はアドバイザリーが主体ですが、アドバイザリーというお仕事がどのような位置付けになるのか教えいただければと思います。

A:

私どものビジネスは、アドバイザリーとトランザクション・サービス、そしてその中間に位置付けられるリスク・マネジメントの3本柱です。この3つが有機的に作用することによって総合力を発揮できるものと考えております。特にアドバイザリーは、市場を無視してお客さまにサービスをご提供してはならないと存じます。我々と通常のコンサルタントとの違いは、やはり市場を熟知しており、そういう中で現実的なsolutionをご提案する点であると思います。アドバイザリーといっても内容はさまざまです。プロジェクトベースのPDD作製、Feasibility Study実施、各国・地域の制度調査等の委託研究などもあります。それから排出削減のポートファリオ・マネジメントに関するアドバイザリーもありますし、個別案件のリス評価というものもメニューとして取り揃えております。

Q:

世界のCDMビジネスで一番焦点になるのは中国ではないかと思います。ナットソースもCDM案件を中国で仕掛けておられるかと存じますが、中国のカウンターパートから、大変強い要求を受けたりとご苦労されていることがあると思います。更に中国の中でのCDMの承認の政府プロセスになりますと、これは私の理解では、国家発展改革委員会が中心となって承認するプロセスになっていると思います。そういう今のメカニズムでのオペレーションについても中国のビジネス、中国の政府というところに課題があるようにも思います。
それから、これから第2約束期間でCDMをもっと使いやすくした方がグローバルな公共財のためにいいと思うわけです。それに向けて、日本政府ないしは他国の政府が中国政府と交渉していかなければならなくなり、全体を上手く進めていけないと思います。そういうことについて何かコメントなりご提言がありますでしょうか。

A:

私どもも中国とのビジネスを進めていますが、中国ではまだまだ不透明なディシジョン・メイキング・プロセスが存在するということを感じざるを得ません。こういう中で具体的にどなたと話を進めたらよいのかわからないケースも見受けられます。透明性のある形で交渉できるインフラが求められます。また一民間だけではなかなか乗り越えることができない障壁もございます。そういう問題を1つ1つ解決していくために、日本の官民が一緒になって対応することが必要と思います。引き続き経済産業省、ほか皆さまともご相談しつつ取り進めていきたいと存じます。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。