現代日本企業の課題と対応―知識経済化時代の日本企業論―

開催日 2004年9月9日
スピーカー 三本松 進 (RIETI上席研究員)
モデレータ 児玉 俊洋 (RIETI上席研究員)
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議事録

本日は、企業の経営戦略と組織人材育成・研修に関して日本の先進企業9社に対して行なったヒアリング調査の結果をご紹介しつつ、現代日本企業の課題と対応について、配布の「現代日本企業の課題と対応――知識経済化時代の日本企業論」を参照しながらお話をさせていだだきます。

知識経済化と知識資本主義

配布資料のP3P4ではそれぞれ、知識経済化と知識資本主義について説明しています。情報化の時代においては、専用通信回線を利用したクローズドの処理プロセスに知識を付与する業務のシステム化が本質となってきていました。一方で近年では、インターネットを利用した組織内外での知識の共有と創造が図られる知識の経済化が進展しています。

P4~5では、資本主義の発展形態からみた情報技術(IT)の活用について東京大学の岩井克人教授が整理なさった点を紹介しています。特に現在は、残された領域である未来の価値体系(商品体系)を現在化するということを意図して、個人、組織のもつ科学的知識、技術、新たなビジネスモデルを源泉としたイノベーションを行なう知識資本主義の時代であるということができます。

コーポレートガバナンス

知識経済化した先進国経済では、対外的に説明可能で透明性の高いコーポレートガバナンスの構築が急務となっています。スタンフォード大学の青木昌彦教授の『比較制度分析に向けて』の中でコーポレートガバナンスに関する論点が整理されています。

P6~8では、日米の制度改革の比較を行なっています。日本では、1997年の独占禁止法改正により純粋持株会社が解禁されました。その後の一連の制度改革により会社分割等が可能になりましたが、中でも米国式の「委員会等設置会社」の選択導入制度は大きな注目を浴びました。しかし、会社の能力は売れる商品をいかに順番に造り市場へ供給し得るかに掛かっており、このような制度があるからといって、必ずしも企業の発展につながるわけではありません。会社法制については、2003年10月に法制審議会会社法部会がまとめた「会社法制の現代化に関する要項試案」で新たな有限責任形態の会社組織について提案がなされています。

価値創造システムとしての企業

企業とは、利害関係者(金融市場、労働市場、財・サービス市場、地域社会)のための組織体であって、短期的な視点での株主の利益最大化のためにあるものではありません。

P11では価値連鎖の考え方について整理しています。企業における価値連鎖の間を相互に行き交う業務(手渡し)プロセスの連鎖に関する業務連鎖の考えについても整理が必要で、企業の組織的オペレーション能力の検討も課題となっています。具体的には、いかにして組織の壁を乗り越えて、企業全体として各業務プロセスの整流化を図るかが課題となっています。この観点から、価値連鎖と業務連鎖が2大キーワードとなっています。

企業の戦略と組織

企業の戦略と組織についてヒアリング調査を行なった結果、各企業ともに、(1)グローバルネットワーク経営・組織、(2)分社・生産子会社化、(3)事業戦略の再構築による組織の切り離し・リストラ戦略、(4)現場力の強化、(5)組織・人員のスリム化等を実施していることが明らかとなりました。

企業の組織形態は、その成長戦略に従っています。具体的には企業成長の度合いに応じて、機能別組織、事業部別組織、マトリックス組織、ネットワーク連携型組織に分類することができます(P12)。

コーポレートと事業本部の役割についてお話いたします。各事業部が研究開発から生産販売に至るすべてのプロセスを担当する事業本部制においては、それが正常に機能している限り、コーポレートがしなければならない仕事は限られています。携帯電話のようにさまざまな機能や技術が融合する場合、各事業部が横でつながることになるので、それぞれが自分達の所属を主張することはできなくなります。

組織戦略変更の態様と論理

企業が最終的に目指すところは事業の多角化です。会社として今売れるものは何か、今投資をすべきものは何か、今事業を停止すべきものは何か、どのような基準でそれらを決定するのか――これらを事業のライフサイクルを見極めながら決定するのが事業本部長や全社の重役です。

P14に、ボストンコンサルティングの考案したプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)を紹介しています。これは製品のマーケットシェアの大小、市場成長率の大小を「花形事業」「金の成る木」「問題児」「負け犬」の4つの側面に区切り、それぞれの評価と対応の方向を示すものです。「問題児」「負け犬」への対処法を判断するための指標として経済付加価値(EVA)があります。大企業では、EVAによるマッピングで「危険」と判断された事業を停止することで多事業本部のプロダクト選択を行なっているようです。

長期繁栄企業の企業発展の要素と組織的管理運営能力

優良企業とそうでない企業を判断するために総資産利益率(ROA)の値が用いられる場合があります。ROA値の高い企業は日本にはあまり多く存在しません。1990~2000年初頭の日本企業の状況や問題を示したのがP15の「長期繁栄企業の企業発展の要素と組織的管理運営能力」です。

長期繁栄企業の発展の要素は、以下の通りです。
1)市場で競争優位を示しうるビジネスモデルの構想力と実現力
2)そうしたビジネスモデルと製品のポートフォリオを革新し続ける力と企業文化
3)各事業ユニットの革新や進化を常に促す企業全体としての組織体制、システム、文化
4)これらの仕組みと組織能力を高め、方向付けを行なうリーダーの存在と輩出

さて組織能力とは何でしょうか。藤本隆宏氏は「経営資源、知識、組織ルーチンの体系で、企業独自のもの。差別的優位性を発揮するもの。結果として競争力、製造能力を高めるもの」と定義されています。ただし、藤本氏も指摘しているように、コーポレートの能力、研究開発の能力、オペレーションの能力、とそれぞれのポジションに応じて必要な知識やノウハウの体系は異なります。また、権能もそれぞれのポジションに応じて異なります。組織は外部の環境変化に対応すべく、戦略と組織構造を変革する――これが組織的管理運営能力の基本的な考え方です。環境の変化が小さい場合は漸進的に対応でき、その逆の場合は組織全体の枠組みを変えざるを得ません。

企業において経営変革の契機となるのは、大別して以下の2点があります。
1)研究開発から生産・流通・販売・顧客へのイノベーションによるプロセス変革に起因し、自律的に展開されるもの
2)主として経済環境、競争、資金、制度規制改革等の外部環境変化への対応のための事業構造の見直し等に起因し、その変革が強制的に行なわれやすいもの

組織的管理運営能力の要素としては、(1)基本的価値、(2)組織制度の設計、運営能力、(3)経営管理システムの設計、運営能力、(4)リーダーシップ能力と人材育成、の4つに大別できます。中でも、(2)と(3)が本質となり、(4)が(2)と(3)を動かすか動かさないかがポイントとなります。

ここで重要になるのは権限と資源の配分調整です。知識が体系化されていれば、これはうまくいきます。これまでの日本企業の問題は、知識の体系化が不適切であった、つまり、各事業本部の業務をうまく調整することができなかったところにあります。

グループ企業全体としての利益・価値の最大化に向けた経営資源の再配分を行なうことが事業の選択と集中です。日本企業においては、垂直統合的再整理と水平結合的再整理の2つの考え方に基づいて選択と集中がなされてきました。

人事制度改革と人材マネジメント

人事制度改革を考える上でポイントとなるのは、経済のグローバル化、知識経済化の進展により雇用形態も変化したという点です。これまでの日本企業では、「何をすべきか(What)」の部分は社長が、「どう行なうか(How)」の部分は中間管理職が、「実行(Do)」の部分はその部下が行なうという構造になっていましたが、これからは、第一線でWhat/How/Doを行なうという自立型組織が重要となります。

日本企業の賃金体系は1990年代以降、「ブロードバンド型の職務給体系の下での成果主義賃金」に移行している、といわれています。今回ヒアリング調査を行なった企業は、基本的な賃金体系については「職能給を採用している企業」と「職務給を採用している企業」の数はほぼ同数でしたが、ボーナス支給についてはほとんどの企業で職務給が採用されており、目標管理・業績評価が活かされていることが明らかとなりました。

また、これまでの企業内大学においては、分解・解剖学的な知識・スキルだけをポジションごとに教授する方法を採っていましたが、ここにきて経営人材に企業の価値観やリーダーシップを教える研修が増加しています。

知識イノベーションと事業創造、企業創造

イノベーションというのは技術開発を含みますが、技術開発そのものではありません。イノベーションとは、(1)消費者に知られていない新しい商品、商品の新しい品質の開発、(2)未知の生産方法の開発、(3)従来参加していなかった市場の開発、(4)原料、半製品の新しい供給源の獲得、(5)新しい組織の実現のすべてを含み、さらに市場で製品・サービスが受け入れられる必要があります。

最近、知識による分類である知識イノベーションとそこから派生するビジネスモデル形成、事業創造、企業創造が推進されてきている。そして知識イノベーションは次の5つに分けることができます。
1)研究開発部門で既存の技術知識・ノウハウを組み合わせ、必要な技術を確保してイノベーションし、ビジネスモデルを構築して事業創造、企業創造するタイプ
2)顧客価値創造と効率向上のための、調達・生産・流通・マーケティング・販売の各プロセスの現場におけるベストの暗黙知を共有して広義のオペレーション上のイノベーションを実現するタイプ
3)情報・知識を産業化し、新しい情報・通信事業、企業、産業を創造するタイプ
4)世界のベストプラクティス等の経営上の知識ベースを基に価値連鎖上の組み替えを行なうイノベーションを行なって、新しいビジネスモデルを構築し、事業創造、企業創造するタイプ
5)産学連携等により、科学技術上の新知識を創造・市場化してイノベーションし、事業創造、企業創造するタイプ

企業の知識創造には、コアの能力、実現能力、補完的能力が必要となります。コア能力は、(1)組織の価値観、(2)スキルと知識、(3)物理的システム、(4)マネジメントシステムから構成されます。組織の価値観とマネジメントシステムはダイナミックな知識の蓄積プロセスで、知識の方向付け・促進と制御の両方に作用します。組織が硬直化するのは、これらが制御の方向に向かう場合です。

製品アーキテクチャーと「もの作り」の進化と方向

製品アーキテクチャーは、モジュール型とインテグラル(統合)型に大別することができます。クリステンセンは『イノベーションへの解』の中で両型の関係を次のように説明しています。

インテグラル(統合)型アーキテクチャー:市場に供給する製品の機能レベルの水準が顧客のニーズを満たすに十分でない状況では、企業はできるだけ優れた製品を創造して競争優位を確保する必要に迫られる。その場合、独自仕様の相互依存型の統合型のアーキテクチャーで機能を最適化する。
モジュール型アーキテクチャー:顧客のニーズを上回って機能水準が向上している状況では、顧客のニーズが変化し、「要求水準を満たすものを必要時に手軽に入れる」ことになる。この場合、企業は競争圧力によりスピードと応答性を高めるため、アーキテクチャーをモジュール型に進化させることになる。

産学連携の進化、MOT、産業クラスター

国立大学の独立行政法人化に対応する大学発の主なイノベーションプロセス改革の方向については、(1)研究から知識創造、(2)新知識の権利化、(3)価値創造支援、(4)イノベーションサイクルの好循環の確保、(5)コーディネーションの相互進化、の5つを挙げることができます。

技術マネジメント(MOT)は、「企業のバリューチェーンにおける技術課題を体系的に経営すること」と定義され、製品技術、オペレーション管理、研究開発マネジメントすべてを含みます。

新商品を作る際に要素技術を組み合わせるのが研究開発です。しかし要素技術が揃ったからといって製品デザインやプロセスデザインが進むわけではありません。ここで価値連鎖の概念が必要となります。たとえばシャープは、研究開発からマーケティングまでを一貫して担当する事業本部を事業部と並列して設置しています。

会社の管理運営機構の中で研究開発から時系列のパイプラインが流れるわけですが、このパイプラインをトータルで管理して、最終的商品にまでつなげる能力を組織的イノベーション能力と定義し、これが重要です。

グローバル経営と企業の課題

グローバル化段階における企業の戦略は、商品・サービスの性格、各国の市場規制等に応じて、グローバル戦略とマルチドメスティック戦略に分けることができます。現在大方の大企業はグローバル戦略をとっています。

まとめ

知識経済化、知識資本主義化が進展する中、日本企業は、今後とも、長期繁栄企業の企業発展の要素を意識し、各産業における製品のライフサイクルとイノベーションの方向を見極め、自社の位置づけを明確にしたダイナミックな経営戦略を構築する必要があります。さらに、これまでの組織改革、人事制度改革の成果と課題を評価して今後の発展につなげる必要があります。

コーポレートガバナンス、会社制度、会計制度等の今後の進化の方向をにらんで、それぞれの企業にとって最適な会社組織のあり方を検討していく必要もあります。これらに加えて、経営人材の育成に努め、組織的管理運営能力の向上に努めることも重要です。

企業発展の基本は持続的な成長ですが、これまでの経験を踏まえた製品ポートフォリオの見直しと新規事業の育成に努める必要があります。その際には、知識イノベーションを念頭に置いた、(1)自社内の知識ノウハウに加え、産学連携等による補完的な外部知識の導入の加速化、(2)製品アーキテクチャーにも配慮した新たなビジネスモデル創造、事業創造、(3)MOTによる経営の分かる技術人材育成、によるトータルな組織的イノベーション能力の向上が不可欠になります。

経営のグローバル化に対応するには、グローバル化の態様に応じた現地経営のあり方と統合化のバランス、知的所有権、技術の標準化等への戦略的対応がますます必要となることでしょう。

質疑応答

Q:

グローバル経営が極端に追求されているため、現場のモチベーションが低下しているのではないかと感じています。日本ではホワイトカラーの生産性が低いといわれています。これからはMaster of Service (MOS)が必要になると思いますが、この点についてご意見をお聞かせください。

A:

業務連鎖でプロセスをどう効率化するかというのがサービスの効率化です。また、サービスは規制産業ですので、規制緩和をしてサービスの自由化を行なうことでサービスオペレーションは大きく進展していくでしょう。

Q:

生産性について事務系の場合、アウトプットよりもインプットの問題の方が大きいと思います。権限の配分の意識が効率化のためのインセンチブを奪っているという印象があります。果たしてベストな組織形態とはあるのでしょうか。あるいは、組織形態と企業の成功は結びつくのでしょうか。

A:

これまで収益を上げてきた商品に選択と集中を行い、コアコンピタンスのある商品から利益を得続けている企業は組織を変革する必要はありません。社内カンパニーの設置等、企業が変革を迫られるのは、顧客の激減や競合他社の出現といった外部環境に大きな変化が生じた場合です。このことは、電子・電気産業の場合、優れた企業は組織変革を行なっていないことからも明らかとなりました。

Q:

同種の業界内で、異なる企業形態をとる企業がそれぞれにうまく機能する場合もあると思います。環境が変化すると企業もベストな組織形態に変革するというのは、理論化し得るモデルとしてあるのでしょうか。

A:

企業が環境の変化を認識し、なおかつ、その変化が収益やパフォーマンスに悪影響を及ぼすものであるとの認識を持つ場合に、企業は自ら環境を変えようと努力します。シャープやキャノンの場合、独自のコアコンピタンスで収益を上げる仕組みを築いていたので、デジタル革命という環境変化においても、組織体制を変革する必要には迫られませんでした。

Q(モデレータ):

3人の方からそれぞれ重要なご指摘をいただきました。第1に、トップが判断するか現場が判断するかそのバランスに目を向ける必要があるとのご指摘、第2に、ベストな企業組織があるかどうかよりも環境変化に応じた対応能力が重要というご指摘、第3に、消費者の効用関数が変わってしまうときに研究開発や製品開発をそれにどう結びつけるのかいう視点のご指摘いただきました。これらのご指摘に共通する点は、誰がどこで判断するのか(現場の視点で判断するのか、消費者の視点で判断するのか、研究開発の視点で判断するのかなど)、それを誰がコーディネートするのかというところで、権限配分の問題に集約されるのではないでしょうか。三本松さんのご説明にもそのような趣旨がありましたが、組織設計の本質は権限配分であるとの観点から、うまくいっている会社とそうでない会社の権限配分関係を比較分析するということは研究として興味深いのではないでしょうか。

A:

権限配分については、組織が大きすぎる場合、成長分野への資源配分ができていない、意思決定のスピードが遅い、戦略方針の周知徹底が行なわれていない、間接部門や調達部門にコストが積みあがるという弊害が生じます。このような状況に対しては、組織をスリムにしたり統合したりすることで、マクロの財務体質や経営体質を強化することができます。
イノベーションプロセスは、顧客価値と研究開発はつながっていない、という議論と、パイプラインでつないで流れを全部管理する必要がある、という議論があります。

Q:

個人と組織(課・部)の関係、組織同士の関係における組織心理学的距離感と金の流れを合わせて考えると、企業構造やビジネスモデルにおける企業の強さを別の側面から明らかにすることができると考えています。このような距離感とそれに対する指標の置き方が課題となると思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

A:

知識を共通化するのは難しいことですし、指標に関しても難しい問題だと思います。業務連鎖の考え方に基づくならば、業務のプロセスに応じて知識の体系は異なります。

Q:

組織における人間関係、部と課の関係、子会社とコーポレートの関係、どれにも当てはまることですが、関係性において、どれだけ影響力を与えてもらえるのかという指標があります。マイナスバリューのもの、プラスバリューのもの双方がありますが、いずれの場合も、どのような影響が、誰から誰に及ぼされているのかという指標が非常に重要であると考えますが、いかがでしょうか。

コメント:

日本では、イノベーションに対するイメージがばらばらであることを考えるならば、距離という場合は、組織の平均値としての距離というよりも、そこに参画している人々がどれだけ意識しているかが重要になります。日本の組織の場合、各人の意識の分散が大きいので、組織で定義をしても結果的に分散が生じることになります。
指標という意味では、個々の人間に注目して距離を測るとなると、統計力学的な判断になるので、無理だと思いますが、環境として「見える化」がどこまで進んでいるのかという指標については、どのくらい情報の共有化が可能であり、かつ、目的が明らかになっているか、というところで計測することができるのではないかと考えています。

A:

選択と集中とは、組織の権限を変えると同時に、経営資源の配置換えを行い、縮小するものと拡大するものを決めて、それをベースに定常オペレーションをすることであるということができます。その際には、新たな権限分配と新しいマネジメントシステムの中で、経営資源が配分されます。

Q:

グローバル化の中での日本企業の課題について、意思決定の速度が遅い点や、権限がとくに海外の現場に落とされていないということがあり、海外の現場でのフラストレーションが高まっています。マネジメントのレベルで可視化を進めるのも1つの課題だと思います。

A:

日本人は権限も資源も与えられたものとして管理しています。つまり、再調整が意識されることは少ないようです。原理的に日本人はあまりこういうことを国内で考えないで、そのまま海外に持ち込んでいる印象があります。ただ今は国内でも再調整する局面にありますから、海外との関係においても今後は再調整する構造は構築されてくると思います。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。