大震災復興ビジョンの安定性
匿名希望
「研究開発や人材投資は本質的に長期の投資なので、制度・政策の安定性が意思決定の前提」という筆者の説明を聞き、すぐに、政権交代後の事業仕分けによって、産学官連携による研究開発へのある支援制度が「廃止」とされ、同制度によって、長期研究計画の下に採用され、寝食を忘れて研究に没頭していた大学等の若手研究者に非常に大きな不安を与えてしまったことを思い出した。これと同様に、現在政府が策定準備を進めている東日本大震災の復興ビジョンは、今後、長年にわたる復興事業のバイブルとなるもので、当然、この復興ビジョンに基づく長期的な事業に多くの人が雇用されることになるので、復興ビジョンが、政権交代によって簡単に変更させられるような不安定なものであると、復興事業に携わる人々に余計な心労を与え、復興事業の円滑な推進を妨げることにつながる。したがって、これから策定される政府の復興ビジョンは、政党の枠を超えて、だれもがその素晴らしさに共鳴でき、長年にわたって色あせないものでなければならない。